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Vol.4 |
風水に基づく 香港流の出産法とは? |
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息子の風水と出産
風水を信じている。というより、生活の一部になっている。実は私の出産も、風水と大きく関わっている。
もともと私は風水というものに魅力を感じていたのだが、香港人である夫と結婚してからさらに真剣に風水を生活に取り入れるようになった。夫の実家である楊家には、家族全員が見てもらっている風水師がいる。香港でも知る人ぞ知る存在で、カナダと香港に家を持ち、香港人が移民している場所を訪ねて一年中飛び回っているような方だ。連絡をとって見てほしいと頼んでも「今はその時期じゃない」と断られる時もある。実際に私自身、見てほしいと口に出してから3度断られた。4度目に頼んでから4ヶ月待ってやっと見てもらえた。それが、今から4年前のことである。
夫と一緒にオフィスを訪ねてみると、まず、私の両手のひらに黒いインクを塗られ、A3サイズくらいの白い紙に手形をとることから始まった。生年月日と時間を告げると、両手の運命線のところに何歳何歳と目盛りをふり、その時に起こるであろう主要な出来事を書き込みながら話してくれる。私の生まれた時から最期までのことが手のひらに隠されているという。生まれた頃から、見てもらったその時点までのことは当っていた。紙に全部書き込んでくれたので、自分の一生を照らし合わせていくことができる。例えばある時は大変な目に遭っていても、次にどんなことが起きるのかが大体わかるので、なんとかなるって気持ちになれると思った。
その時に「今年、男の子を授けてあげよう」と言われた。その後、家相を見てもらい、ベッドの向き、水槽に飼う金魚の数、カーテンの色、魔除けの置物の位置も替えた。
それから5ヶ月ほどして妊娠した。高齢出産なので妊娠5ヶ月の時に羊水検査をして胎児の健康を確認した。その時、性別が男の子であることが判明した。2分の1の確率やん!と言われたらその通りなのだが、マカオで大小とかバカラで勝つ確率と同じだと思ったらスゴイことだというのがわかる。
◆ これぞ、香港式出産?!
どんどんお腹が大きくなって出産を意識し始めた頃から、いろいろな雑誌の出産記事を真剣にチェックした。結果、私は自然分娩の立ち会い出産に憧れた。それが一番、夫婦の絆を感じる出産の形のような気がしたからだった。
妊娠中病院へ行く時、夫は欠かさずについてきてくれた。9ヶ月目に入った検査のときに、お医者さんから「どうされますか?」と聞かれた。つまり、自然分娩にするか帝王切開にするかだ。香港人は自然分娩の痛みを嫌がる人が多いらしく、無痛分娩か帝王切開にする人が主流らしい。実際私の周りの香港人で自然分娩をした人はいない。
私が返事をする前に夫が「帝王切開でお願いします」と答えていた。「それで、出産日時を指定したいのですが、いつからいつまでの間なら帝王切開ができますか?」。
夫は風水師に出産日時を指定してもらおうとしていたのだ。良い時間を選ぶことにより、子供の運命を少しでも良くしたいらしい。そういう話は聞いたことはあったけれど、まさか自分が経験することになろうとは。でも、生まれた年月日や時間で運命が決まるのなら、少しでも良い方がいいしなぁ。ちょっとびっくりしたけれど、香港らしい出産もいいかと納得した。
風水師は、出産の日時を決めてほしいというリクエストにはすぐに答えてくれた。その時に聞かれたのが「商売でお金持ちになる子供がほしいのか、政府の高官になる子供がほしいのか」という質問だった。「もちろん、商売!」夫と私の返事は同じだった。
私たちの希望に基づき、風水師は日時を決めてくれた。お医者さんにその時間帯を告げると、すぐに電話で手術室を予約してくれた。出産時間は本当に、風水師が私たちに告げてくれた時間通りであった。
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