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Interview

サントリーサンゴリアス編 小野澤宏時×畠山健介 「トライ王は毎年狙っている」(小野澤) 「チームが目指すべき戦いができている」(畠山)

小野澤宏時×畠山健介

激しい順位争いの末、第11節終了時でプレーオフ進出の4チームが確定した。プレーオフセミファイナルの組み合わせは、1位対4位、2位対3位となる。なかでも、第10節で三洋電機ワイルドナイツに土をつけたサントリーサンゴリアスは「アグレッシブ・アタッキングラグビー」を掲げて勢いがある。そのサンゴリアスのスクラムの要であるPR畠山健介選手、トライゲッターのWTB小野澤宏時選手に今季のチーム状況、そして2011年ワールドカップについて訊いた。

Text●村上晃一 Photo●長岡洋幸

「どんなチームでも『小野澤は選ぶね』って言われたい」(小野澤)

――三洋電機ワイルドナイツに勝ちましたね。

畠山「僕は、入社してから三洋に勝ったのが初めてでしたから単純に嬉しかったですね」

小野澤「対三洋というより、自分達がやってきたことを、ワンプレー、ワンプレー積み重ねて、その結果、勝ったということが大事です」

――やってきたことというのは?

小野澤「自分達のアタックを信じ、フィットネスを信じて、アグレッシブ・アタッキングラグビーのスタイルを貫き通そうということです」

――過去に負けているときは自分たちのスタイルを貫けなかったということですか?

畠山「これまでは、『三洋にはこうしよう、東芝にはこうしよう』というような、相手に合わせるところがあったかもしれません」

小野澤「相手の弱みに対して、自分たちの強みを当てていく、そういう感じかな。」

畠山「今年は、相手に関係なく、自分たちの強みを出していこうと、エディ・ジョーンズ監督も、コーチ陣も口を酸っぱくして言っています」

小野澤「三洋電機戦で言えば、僕はエディさんの選手起用が良かったなぁ。後半、4人を一気に交替させたでしょう? しびれた(笑)。負傷で仕方がない交替ではなく、試合をテンポアップさせるための投入でしょう。タフに戦っていた15人がいて、さらにテンポアップさせる役割を持った4人が入ってくる。もうね、『来た〜っ』て思った。仕留めにかかる雰囲気にチームが加速しました」

小野澤宏時

小野澤宏時

――今季はスタイルも明確で、選手も戦いやすいのでは。

畠山「トップリーグ序盤の3試合は、準備してきたことが出せなかったですけどね」

小野澤「覚悟が決まっていなかったというのかな。夏合宿までの練習試合では、キックは蹴らないなど、ある程度の縛りを設けていたのですが、いざ公式戦になるとバランスをとったプレーをしてしまっていた」

畠山「それで2敗したことが転機になりました」

小野澤「3節で1勝2敗。ここで1週休みがあったのですが、そこで『やってきたことをやらなかったら、やってきた意味がない』という覚悟が決まった」

――三洋電機戦でのスクラムはどうでしたか。相手のフロントローにも川俣直樹選手など日本代表の仲間がいますね。

畠山「スクラム自体は悪くはなかったですよ。いいスクラムが組めたと思います。川俣は高校時代から知っているし、同期で早稲田と明治でも戦ってきた。昔は体の大きさで組んでいる感じでしたけど、今はほんとに凄くなりましたね」

小野澤「相馬さん(元日本代表PR)は? 一応、質問しておこうかと思って(笑)」

畠山「相馬さんは、いやらしいスクラムですよね。僕は対面ではないけど、金井(サントリーPR)の表情で分かりました」

――小野澤選手は、11節終了時点で13トライ。2年連続のトライ王に向かっていますね。

畠山「ほんと、取って欲しい。僕がもし独走しても、ザワさんがサポートに来たらパスしますよ」

小野澤「心強いねぇ。でも、ハタケの独走は、ボール持ったらすぐゴールラインだからなぁ(笑)」

畠山「やるべきアタックを決めて、フィニッシャーのザワさんがトライを量産している。チームが目指すべき戦いができている結果だと思います」

――トップリーグの1シーズンのトライ記録は、北川選手の19です。20を狙いましょう。

小野澤「そうやってね、みんな簡単にプレッシャーかけるんですよ。エディさんも。でもね、僕、調子上がってきてます(笑)」

畠山健介

畠山健介

――畠山選手は小野澤さんをどう見ていますか?

畠山「年齢(32歳)を感じさせない。ウエイトトレーニングでは、自分が調子がいいいときは重いものを上げるけど、調子が悪ければ軽くする。そういう判断もプロだと思います。マネージメントが優れている人ですね。フィールド上ではトライを決めて欲しいときに獲ってくれます。僕らFWからすればありがたい。頼もしいです」

小野澤「誉められるのは嬉しいなぁ(笑)。ハタケは、おしゃべりなのがいい。FW前5人は寡黙なポジションというイメージだからこそ、そこが盛り上がっているとチーム自体が盛り上がる。一番体を張っている人が、一番元気なのが、一番いい」

――プレーオフはどう勝ち上がりたいですか?

小野澤「確固たるもので勝負する。揺らぎない意志が大切だと思います。開幕で負けているトヨタ自動車には勝ちたい」

畠山「リベンジしたいですねぇ」

――そして東芝に勝って優勝すれば気持ちがいいでしょうね。

畠山「東芝には去年のプレーオフでも負けています。でも、どのチームが残っても盛り上がりますよ。その中で勝ちたい」

――今年のサントリーはルーキーも頑張っていますね。

小野澤「今年は何をするかが明確なのでチャレンジしやすいと思いますよ。あと、エディさんが細かく気を配ってくれていますね。ミーティング中も、『こういうときは9番がこうして』というような指示をするときは、9番全員の名前を呼ぶんですよ。そういうことによって、チームの一員だという意識も高まると思う」

――さて、2011年はワールドカップです。この質問をすると、ほとんどの選手が「まだ選ばれるかどうか分かりません」と言います。でも、お二人は大丈夫でしょう。

小野澤「いやいや、WTBもほんとに分からないですよ。ハタケは安泰だろうけど」

畠山「何を言ってるんですか。ザワさんこそ決まりじゃないですか。ただ、JK(ジョン・カーワン日本代表ヘッドコーチ)は、『(調子に)波のある選手は使いたくない』と言っています。トップリーグでも安定したパフォーマンスをしないと評価が下がる。それを理解しているからこそ、どの選手も、『分からない』と言うのだと思いますよ」

小野澤「おじさんを切るのは簡単だからなぁ…」

畠山「またまた〜。僕はワールドカップを経験していないから何も言えませんが、経験している人はチームにとっても重要な存在だし、JKもそれは理解しているでしょう。ザワさんには経験を伝える役割もあります。当確です!」

小野澤「おっ、当確出ました」

小野澤宏時(左)、畠山健介(右)

小野澤宏時(左)、畠山健介(右)

――小野澤さん、ワールドカップはやっぱり違いますか?

小野澤「う〜ん。他と違うということを自分たちで作り上げてしまっている気もするんですよ。そうではなく、いい準備をして、結果を獲りに行く大会だととらえたい。自分自身3回目の大会はそうありたい。やる以上は、他と同じ試合。そこまでいけたらいいチャレンジができる。そうありたいという想いが2007年(フランス)大会以降、僕を代表へ執着させたと思うんです。だから今回は、結果を獲りにいく。勝ちたい」

畠山「今のは、経験しなくては言えない言葉ですね」

――ワールドカップに対して何か楽しみにしていることはありますか?

小野澤「ない。勝ちたい」

畠山「未経験者から言わせていただくと、ニュージーランド大会というのは、きっとスタンドが満員になると思うんですよ。そういう中で試合ができること、それは純粋に楽しみです」

小野澤「僕はね、まず全員が最初に『勝ちたい』っていう雰囲気に持っていきたいな」

――最後にもう一度トップリーグのことを。2年連続のトライ王宣言で最後、締めてもいいですか?

小野澤「いいですか? ではなく、僕は毎年狙っているんですよ。去年も最終2節まで分からなかったし、緊張感あります」

畠山「昨季最後のザワさん、気合入ってましたもんね。異常に声出していたし(笑)」

小野澤「試合前に、『僕、緊張してます』って言っちゃったもんね」

――他の個人賞については。

畠山『ベストフィフティーンには選ばれたいですけど、あれはスクラムというより、理想のチーム像みたいな感じで選出されるところがあるでしょう」

小野澤「えっ、そういう感じだったら選ばれなくていいの? 俺は、どんなチーム編成をしても『小野澤は選ぶね』って言われたい」

畠山「それはそうですね」

小野澤「どの監督からも選ばれたいよ」

――実際、歴代日本代表監督に選ばれているじゃないですか。

小野澤「シアワセです(笑)。僕ね、ベストフィフティーンが、欲しくてたまらない」

畠山「僕だって、本当は欲しくてたまらないですよ。欲しいです!」

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PROFILE

おのざわ・ひろとき
1978年3月29日、静岡県生まれ。180cm、85kg。ポジションWTB/FB。静岡聖光学院高、中央大を経てサントリーサンゴリアス入り。トップリーグ通算トライ数は82(第11節終了時点)で最多記録を更新中。日本代表キャップ58は歴代3位タイ。
ポジション表

はたけやま・けんすけ
1985年8月2日、宮城県生まれ。178cm、116kg。ポジションPR。仙台育英高、早稲田大を経てサントリーサンゴリアス入り。高校時から各世代代表に選出され、トップリーグでも2年連続ベストフィフティーンに選出。日本代表キャップ15。
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