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Interview

週刊 トップリーグ男前列伝 川下修平(コカ・コーラウエストレッドスパークス) 「ラグビーのない生活は想像できない」

川下修平(コカ・コーラウエストレッドスパークス)

Text●村上晃一 Photo●大崎聡

野球にサッカー、格闘技などスポーツジャンルは数あれど、トップリーグの会場に集う女性の美人度の高さは群を抜いている(ぴあ編集部経験調べ)。それはなぜか? ド迫力のタックルに醍醐味と言えるトライ、そしてノーサイドの精神……。理由はいくつもあるが、トップリーガーにハートを兼ね備えたイケメンが多いこともトップリーグの会場に美人が集まる要因のひとつだろう。
そこで、トップリーグ全14チームから毎週ひとりずつイケメン戦士をピックアップし、彼らの男前な素顔を探っていく。

185cm、95kgの“小柄なロック”

巨体をスーツに包んで、川下修平はささやくようにアンケートに答え始めた。「長所ですか?……」、しばし沈黙の後、いったんパスして先の質問に答える。最後にもう一度長所を尋ねると、「誰とでも仲良くなれるところ、でしょうか」。話し方からは大人しい印象を受けるが、人見知りせずに誰とでも話し、イベントなどの余興では長渕剛の歌で場を盛り上げ、好きな格闘家・魔裟斗が着ているブランドを調べてみたりする一面もある。そんな愛すべきイケメン川下修平がラグビーを始めたのは、小学4年生の頃だった。

川下修平(コカ・コーラウエストレッドスパークス)

「本当は野球をしたかったのですが、地元にラグビースクールしかなかったんです。小学校の友達がほとんどラグビーをしていて、ずっと誘われていました。とりあえず一回だけ見学に行ったら、入部させられてしまったんです」

生まれ育った長崎県佐世保市の柚木という地域は、そこに生まれた男の子のほとんどがラグビーをするという、ラグビー熱狂地帯だった。その中心が「ゆのきラグビースクール」であり、川下もそこで楕円球と出合った。

「めっちゃ田舎なんですよ。実家も農家で米を作っていました。牧場もいっぱいあったし、今でもイノシシがたくさんいるようなところです。通学路は田んぼのあぜ道で、よくヘビを捕まえたりして遊んでいました。学校から帰ってもすぐに飛び出して、田んぼで野球したり、池や川で泳いだり、野生児でしたね」

野生児がラグビーによってさらに逞しく成長していく姿は容易に想像できる。川下は足も速く、スクール時代はトライを量産。長崎県スクール選抜に選出されるなど才能を開花させ、進学した西海学園高校でもラグビー部に入った。

「身長は中学3年で180pくらいありました。強豪の長崎南山高校からも誘っていただいたのですが、佐世保から長崎市内まで2時間くらいかかるので、地元の高校にしました。高校の時は、コンタクトプレーに自信があって佐世保の大会では敵なしです(笑)。面白かったですよ。でも、長崎県の招待ラグビーで大阪の啓光学園と戦った時に衝撃を受けました。コンタクトの強さとか、スキル(技能)が全然違ったからです」

レベルの違いを感じたことも手伝ってか、縁あって東京の帝京大学へ進学する。通学2時間の長崎市内までも行かなかった男が東京の大学に出るのは、それだけでも大冒険だが、日本中から集まってきたラグビーエリートたちのレベルの高さは、さらに衝撃的だった。しかし、人一倍ある向上心から先輩に熱心に指導を仰ぎ、19歳以下日本代表にも選出され、大学4年生時はFWリーダーも務めた。そして2005年4月、福岡を本拠地とするコカ・コーラウエストレッドスパークスへ。入社2年目からトップリーグに昇格し、着々と力を付けるチームの中にあって、地味な仕事を一手に引き受けるロックとして活躍している。

「僕はロックとフランカー、両方できるのですが、どちらかと言うとロックがいい。裏方に徹することができるから面白い。僕はあまり目立つプレーは得意ではない。フィットネスには少し自信があるので、そこで頑張りたいんです。他チームとは違うロックとして存在感を出していきたいですね」

川下修平(コカ・コーラウエストレッドスパークス)

185p、95sと言えば一般的には大柄だが、「ロック」では小型選手の部類に入る。ボール争奪戦の中心的役割を果たす強い男の象徴的ポジションであり、195p、110sが当たり前のロックで川下が活躍できるのは、その一所懸命で手を抜かないプレーぶりがあってこそ。

「自分はセンスも何もない。練習から一所懸命。それがいい方向につながっていると思うし、頑張るのみです」

ただし、常に全力プレーで頑張るだけにケガも多い。膝や指の腱など、高校時代から昨年まで計6度の手術を経験している。

「ケガをしても、前向きにリハビリできるタイプで、ラグビーを辞めようと思ったことは一度もないですね。回復後は、ちょっと怖い時もあるけど、大丈夫です!」

会社では営業職として勤務。朝7時15分には出社し、8時を過ぎると同僚とともにトラックを運転して午前中いっぱいは自動販売機にジュースを詰める作業を行う。午後はラグビーのトレーニング。疲れ果てて寮に戻ると、午後10時には眠りに就くという。現役生活をコカ・コーラウエストで全うし、引退後はこの会社で働き続ける気持ちだ。

「ラグビーをして楽しいことですか? 勝った時の嬉しさがいいですね。練習がキツイからこそ、勝った時が嬉しいし、仲間と一緒に喜べる。接戦に勝つと最高です。ラグビーは、自分の人生になくてはならないものです。ラグビーのない生活は想像できない。いま辞めても、すぐにしたくなると思います」

レッドスパークスの真っ赤なジャージの背番号4に注目してほしい。ボールを持っての派手な突進は少ないけれど、いつも仲間にいいボールを供給するために地味な働きに徹する姿に心を打たれるはずだ。

男前が10の質問に答える

好きな食べ物:ウインナー
趣味:スポーツ観戦
長所:誰とでも仲良くなれる
短所:面倒くさがり
好きな動物:犬と牛

理想の女性像:身長が高くてキレイな人
尊敬する人:魔裟斗(K-1ファイター)
ラグビーとは:なくてはならないもの
座右の銘:一所懸命
今後の目標:ケガをせず、レギュラーに定着する

特集「大解剖!ジャパンラグビートップリーグ2009-2010」へ

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PROFILE

かわした・しゅうへい
1983年3月4日、長崎県生まれ。185cm、95kg。ポジションLO・FL。小学4年生から、ゆのきRSでラグビーを始め、西海学園、帝京大学を経て、コカ・コーラウエストレッドスパークス入部。本当は「野球がしたかった」というが、まわりにラグビースクールしかなかったためにラグビーの道に進んだという。
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