@ぴあTOP > インタビュー > 黒木孝太(九州電力キューデンヴォルテクス)

Interview

週刊 トップリーグ男前列伝 黒木孝太(九州電力キューデンヴォルテクス) 「ラグビーも日々の生活も『前へ』」

黒木孝太(九州電力キューデンヴォルテクス)

Text●村上晃一 Photo●岡本寿

野球にサッカー、格闘技などスポーツジャンルは数あれど、トップリーグの会場に集う女性の美人度の高さは群を抜いている(ぴあ編集部経験調べ)。それはなぜか? ド迫力のタックルに醍醐味と言えるトライ、そしてノーサイドの精神……。理由はいくつもあるが、トップリーガーにハートを兼ね備えたイケメンが多いこともトップリーグの会場に美人が集まる要因のひとつだろう。
そこで、トップリーグ全14チームから毎週ひとりずつイケメン戦士をピックアップし、彼らの男前な素顔を探っていく。

相手が強くなるほど燃える炎のタックラー

黒木孝太(九州電力キューデンヴォルテクス)

少年時代の愛称は「サル」、明治大学時代はファンから「野人」と呼ばれた。精悍な顔つきから受けるイメージそのままに九州男児は熱い。明治大学ラグビー部を67年にわたって率いた名将・北島忠治監督(故人)の教え、「前へ」が座右の銘である。

「『前へ』はラグビーの根本だと思います。明治で習ったのは、ラグビーだけではなく、人生でも常に前に行くということです。ラグビーも日々の生活も、壁にぶつかれば壊して乗り越える。この言葉は、自分の心の中にいつもあります」

黒木は1983年、宮崎県日向市で産まれた。父・義孝さんが、日向ラグビースクールの指導員をしていた縁で、長男(剛典さん)、次男(勇人さん)とともに物心つく前から楕円球を追いかけた。

「タックルがものすごく好きでした。僕には記憶がないのですが、スクールの親も混じってやっていた遊び感覚の試合で、大人を倒したらしいです」

大自然に囲まれて育ったせいか、仲良し三兄弟はやんちゃ坊主だった。黒木孝太はひとつのことに没頭すると周りが見えなくなるタイプ。海で泳いでいるとき、次男と潮に流されてしまったことがある。近所の住民と親が捜索に出たのだが、次男は別の浜で見つかり、孝太は元の浜に戻ってきた。ふたりとも無事だった。それも記憶にない幼い頃のことだ。

「かくれんぼをすると絶対に見つからない場所に隠れるんです。土管の中とか、マンホールのふたを開けて中に入ってしまったり」

無茶である。女の子には見向きもせず、親に連れ戻されるまで遊んだ。本格的にラグビーに取り組んだのは中学の部活から。遊びで鍛えた足腰と野生的感覚はラグビーでも発揮され、九州中学生代表として全国大会にも出場した。ふたりの兄を追いかけて進学した日向高校では、全国大会出場こそならなかったが、生涯の仲間も得た。

「練習は厳しかったけど、練習後にみんなといろんな話をするのが大好きでした。全国大会予選準決勝で負けて高校ラグビーは終わったのですが、仲間が泣きながら、『お前は大学でラグビーやれよ』って言ってくれた。大学でやることは決めていたけど、その言葉でもうラグビーは辞められないと思いました。負けたのは悔しかったけど、『やっぱりラグビーっていいな』って改めて思いましたね」

子供の頃からの憧れだった明治大学でもレギュラーポジションをつかみ、九州電力では常に先発メンバーに名を連ねる。激しいプレーゆえ怪我も多いが、すぐに治ってしまうのが特徴だ。大学時代、頚椎損傷で全治半年を言い渡されながら、2か月で復帰して周囲を驚かせたこともある。ただし、決して器用ではない。

黒木孝太(九州電力キューデンヴォルテクス)

「試合では気持ち9割です。あとの1割は日々の練習で培ったものが自然に出てくる。気持ちがなかったら、タックルもできないし、普段の練習の成果も出てこないです」

練習中の言葉数は多くないが、試合では大きな声で仲間を叱咤する。

「タックルに行かないヤツが一番嫌いなんです。相手が強いチームや、凄い選手になればなるほど燃えます。倒せば俺が上だって思える。一番燃える相手ですか? 三洋電機の霜村誠一さん。一番いいセンターだと思います」

九州電力の選手達は原則としてシーズン中も連日職場に向かう。黒木も福岡支店用地部に勤務し、夕方からの練習が基本だ。時間があれば仲間とともに居酒屋で焼酎を飲みながらラグビー談義に花を咲かせる。「身体が続く限り、気持ちが続く限りプレーしたい」とラグビー人生を全うする覚悟だ。

男臭いイメージが先行する一方で、休日は美しい景色を求めてドライブする優しい一面もある。母校・日向高校のラグビー部監督と連絡を取り、子ども向けのラグビー教室を開くことも企画している。多くの子ども達に魅力あるラグビーを紹介したいのだ。

「ラグビーは強くなれるスポーツだと思っています。何に対しても打たれ強くなる。ちょっと転んだだけで泣くのではなく、逞しく立ち上がって走っていけるようになります」

九州電力は主力の怪我などもあって、苦しい戦いが続いている。しかし、黒木孝太は前を向き、走り続ける。気持ちのこもったタックルで強いチームを倒すために。

男前が10の質問に答える

好きな食べ物:肉料理全般(肉食系)
趣味:ドライブ
長所:いい意味で物事を考え過ぎない
短所:短気
好きな動物:猿

理想の女性像:気を遣わないでいい人
尊敬する人:両親
ラグビーとは:生きていると感じられるもの
座右の銘:前へ
今後の目標:毎試合全力を出すこと

特集「大解剖!ジャパンラグビートップリーグ2009-2010」へ

インタビュー一覧へ戻る

おすすめトピックス

オススメキーワード【PR】

PROFILE

くろぎ・こうた
1983年7月3日、宮崎県生まれ。174cm、83kg。ポジションFB。ふたりの兄の影響を受け、5歳からラグビーをはじめる。日向RS、富島中、日向高、明治大を経て、'05年九州電力に入社。前回のインタビューの菅藤心は明治大の先輩にあたる。九州男児らしいワイルド系で、タックル大好きの根っからのタックラーである。
九州電力キューデンヴォルテクス公式サイト
ポジション表

INFORMATION

九州電力キューデンヴォルテクスのチケット情報

チケット情報

@ぴあに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)はぴあ株式会社の承諾なしに無断転載することはできません。

ページTOPへ