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Interview

トヨタ自動車ヴェルブリッツ編 菊谷崇×北川俊澄 「常にチャレンジャーの気持ちで」(菊谷) 「ボール持つのは1試合に1回か2回(笑)」(北川)

菊谷崇×北川俊澄

トップ4の常連であるトヨタ自動車ヴェルブリッツは、トップリーグで毎年優勝候補に挙げられながら、未だ優勝はない。しかし、第9節では王者・東芝ブレイブルーパスを真っ向勝負で下し、底力を見せつけた。今回はプレーオフに向けて勢いづくトヨタ自動車の主力であり、日本代表でも活躍する菊谷崇選手と北川俊澄選手の登場である。インタビューは東芝戦の前日(12月3日)に行われたのだが、勝利を予言するような明るい言葉が続いた。

Text●村上晃一 Photo●久保暁生

「ジョン・カーワンヘッドコーチは怖い人」(北川)

――11月はトップリーグの休止期間で各チームは課題の修正などをするわけですが、日本代表選手はチームを離れます。そのあたり難しい点もあったのではないですか。

菊谷「今回は日本代表の活動期間が短かったので、僕らが日本代表に行っているときはチームがオフで、帰ってきてから新しいサインプレーなども練習しました。影響はなかったですね」

――後半戦に向けて戦い方は変わっていくのですか。

菊谷「いや、大きくは変わりません。細かなところの徹底と、激しさの部分をもっと出していく練習をしました」

北川「前半戦はブレイクダウン(ボール争奪局面)のところが、あんまり良くなかったので、そのあたりを修正しました」

――第3節の神戸製鋼戦はひとり退場者が出て、ほとんどの時間を14人で戦いながら勝ちましたね。

菊谷「あの勝利は大きかったです。開幕戦でサントリーにトップリーグで初めて勝ち、3戦目はほとんど14人で勝った。良い波が来たと思ったのですが」

北川『あれで『行ける』という感覚が強くなった。チームの若さかもしれないです。負けたNTTコミュニケーションズ戦は、油断をしたわけではありませんが、ミスが多くなった。雨もあったし、悪条件が重なりました」

――チーム力としては十分に優勝争いできるという自信はあると思いますが。

菊谷「過去、ほとんどのシーズンでトップ4になっている。それを当たり前のように思っていたら危ない。常にチャレンジャーの気持ちでいなければ。トップリーグは全体のレベルが上がっていますから」

菊谷崇

菊谷崇

――菊谷選手は日本代表のキャプテン、北川選手は以前トヨタでキャプテンを務めていました。現在の役割は?

菊谷「うちのキャプテン(中山義孝選手)はあまり口数の多いタイプではないので、僕の感覚でチームを集めて話したりすることもあります」

北川「僕はあまり話さなくて、練習の雰囲気が悪いときに厳しく言うくらいです。それ以外のケアは、菊谷や麻田一平(前キャプテン)がしていますから」

――キャプテン経験者は、キャプテンのサポートにも何が必要かが分かるのでしょうね。

北川「今の中山キャプテンは、体を張ってみんなを引っ張っていくタイプです。僕もそうだったので分かるのですが、周囲がうまくサポートして言うべきことは言っていかないといけない。キャプテンは自分のプレーに集中してもらえればいい」

――グラウンド上での菊谷選手と北川選手の役割分担は。

北川「簡単に言えば、菊谷はボールキャリアで僕はサポートプレーヤー。役割は明確に分かれます。ラインアウトの時は、一緒に話ながらやりますけど」

菊谷「最近の僕は、ボールを持つ機会が少ない。以前は、1試合で20回くらいボールタッチすることもあったんですけど、最近は10回くらい。戦術的なこともあってそうなっているのですが、もっともっと自分で行きたいですね」

北川「僕はサポートに徹しています。ボール持つのは1試合に1回か2回で」

菊谷「ひたすら仕事してますよね。ラックでのテイクオーバーの数とかすごいですよ。3回連続でボールを出しているときもあるし、『よく頑張ってるなぁ』って後ろから見てます(笑)」

北川「はい、ひたすら働いています」

――それは、高校、大学の頃から心がけていたことですか。

北川「日本代表でJK(ジョン・カーワンヘッドコーチ)に仕事に徹するように言われてからですね。僕、日本代表でもほとんどボールを持たないでしょう?」

菊谷「ほんと、仕事人のイメージが定着している。たまに調子に乗って、キック蹴るけど(笑)」

――今年のスローガンは『考動』ですね。みんな、考えて動くようになりましたか。

菊谷「スタッフと選手が一緒に考えてチームを作っていくスタイルにはなっていますし、それは選手にとってとてもいいことです」

北川俊澄

北川俊澄

――トップリーグの優勝争いもこれから佳境ですが、昨季は王者・東芝に2勝(トップリーグと日本選手権)していますね(※このインタビューは、第9節の東芝戦直前)。

菊谷「僕の中で東芝戦は特別。試合に出ることはテストマッチ並みの意識があります。同じスタイルだからか、ガチンコ勝負になるんですよ。サントリーは僕らの強みをうまく避ける。三洋電機はその中間くらい。東芝に対しては真っ向勝負ができる」

北川「あれぐらい激しく来てくれたほうが、やり甲斐があって楽しいです。力で行くと、力で返してくる。お互いにやりやすい」

――優勝からは遠ざかっていますね。

北川「決勝まではいくけど負けちゃう。1998年の全国社会人大会で優勝して以降、タイトルはありません」

――何が足りないのでしょう。

北川「力勝負では強いけど、もっと考えて動くところが出てくれば、攻撃の幅も広がって相手も止めにくくなると思うんですけどね」

――お客さんには、トヨタのどういうところを見てほしいですか。

菊谷「アホなくらい体を当てるところ(笑)」

北川「キックが少なくて、よくボールをパスで回します。展開も速いし、楽しいと思いますよ。見てもらうには、そのあたりが魅力かな」

――イケメンはどうでしょう。

菊谷「城戸(雄生)が結婚したからなぁ。ルーキーの安藤泰洋かな。和田耕二も男前。彼は日本代表で成長しましたよ」

北川「ロシア戦で先発したのが自信になったのでしょうね。トヨタでのプレーも落ち着いてきました」

――日本代表に行くと成長するというのは素晴らしいですね。

菊谷「僕は日本代表がなかったら成長できなかったかもしれません。JKには2008年から代表に呼んでもらってプレーして成長できたからこそ今の自分がありますね。ラグビーの基本プレーを体に染みつくまで教えてもらえますから」

――具体的には。

菊谷「きめ細かいんです。タックルするときの足の踏み込み、肩のヒット、バインドも両腕同じ高さでするとか、そうしたポイントを理論的に指摘してくれる。だから、僕も若い選手に理論的に教えることができる」

北川「僕も学びました。試合後に、JKとの面談で、なぜ抜かれたのか説明してくれる。その積み重ねで試合ごとに成長を実感できる。勉強になっています。だからこそ、他の選手が出来ていないことを注意できる」

北川俊澄(左)、菊谷崇(右)

北川俊澄(左)、菊谷崇(右)

――来年はワールドカップです。

菊谷「試合に勝ち続けて、それがワールドカップにつながっていけば」

北川「まだ選ばれるかどうか分かりませんから」

――でも、JKはロックはあの3人(北川、東芝・大野 均、近鉄・トンプソン ルーク)でOKと言っていますよ。

北川「ほんとですか? マジで喜んじゃいますよ」

――JKは怖いのですか。

北川「怖い。この年齢で、人を怖いと思うのもそうはないと思います。面談とか、ほんと厳しくて怖いですから」

菊谷「言い訳させてくれないし、もう黙って聞くだけです。ワキ汗かいて(笑)」

――ワールドカップに行くとして、楽しみにしていることは?

北川「僕もキクちゃんも初めてだから、どんな雰囲気かも分からない。だから、とにかく行きたいです」

菊谷「大野選手が、『命を張れるところ』ってさらっと言うでしょう。そこに何があるんだろうなって思うし、そこに立てるように、選ばれるように、頑張っていきたいです」

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PROFILE

きくたに・たかし
1980年2月24日、奈良県生まれ。187cm、100kg。ポジションNo.8/FL。御所工高、大阪体育大学を経てトヨタ自動車ヴェルブリッツ入り。日本代表キャップ35。日本代表ではキャプテンも務め、ジョン・カーワンヘッドコーチからの信頼も厚い。
ポジション表

きたがわ・としずみ
1981年2月7日、京都府生まれ。195cm、110kg。ポジションLO。伏見工高、関東学院大を経てトヨタ自動車ヴェルブリッツ入り。タフネスぶりが特徴の密集の中心人物。日本代表キャップ33。
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