| 2006年8月31日更新 プレゼント |
「手紙」 試写会ご招待
※この回は、映画の内容関係なく、“手紙”というタイトルだけで引っ張ったようですね。
挙句、そんなに手紙を中心に話していないという体たらく。 |
| 2006年8月31日更新 今週のひとこと |
中学2年の夏休み、私宛に一通の手紙が届いた。差出人はS子。
数日前、私の家に電話をかけてきた女子である。
折りしも夕食時、家族ががん首揃える時間帯であり、しかも家の電話は皆が集まっているその居間にしかなかった。
そんな状況のなか、私が電話にでるやいなや、彼女はやおら告白をはじめるではないか。
「私…二年八組のS子と言います。あの…付き合ってください」
これがテレクラであるならば、実に幸先の良いスタートだ。だが、如何せんここはテレクラではない。ただ、敢えてテレクラとの共通項を挙げるとするならば、私は彼女のことを全く知らないという点だ。今この電話で初めて彼女の存在を知ったのである。顔など知る由もない。
そんな『BOYS BE…』的アプローチにたじろいでいる私を見て、何かピンとくるものがあったのか、家族は、気を利かせ隣の部屋へと移動していった。が、襖は微妙に開いており、その隙間からは立に連なった家族の顔が覗いている。
そんな、伊藤家特製トーテムポールの目前で人生初の告白を受けている私の課題は、もはや付き合うか否かではなく、いかにしてこの状況を家族にバレることなくやり過ごすか? であった。とはいえ、気が動転していた私が、口にしたセリフはこうである。「ごめん…俺…ダメなんだ」
ともすれば、「ホモセクシャルであるが故にアナタを受け入れられません」といった時代背景から考えても実に早すぎるカミングアウトに聞こえなくもなかっただろう。
とにかく、恋の告白に対し別のベクトルの告白でもって答えるという斬新なスタイルでS子のド肝を抜いた私は、意気揚々と電話を切った。んが、結局家族にはもろバレしており、囃し立てられたのは言うまでもない。年頃の若者にとって、その辺を家族にイジられる事ほど鬱陶しいことはないのだ。
そんな興奮も冷めやらぬ頃、今度はS子からの手紙が届く。しかも郵送で。無論、中身はラブレターであり、またも家族に囃し立てられたのは言うまでもないだろう。
二学期が始まるやいなや、私はすぐにS子の顔を確認した。“かわいい”と思っだが、これ以上家族に囃し立てられる煩わしさを想像すると行動を起こす気にはなれなかった。
あの頃、同じような理由で恋愛に臆病になってしまった若者達が、現在の携帯電話やメールの普及に尽力したのではないかというのが私の見解だ。彼らによって誰に気兼ねすることもなく告白を受けられるようになった。顔がわからなければ写メールを送ってもらえばいい。さあ、いつでも飛び込んでおいでハニー。
しかし、準備は整ったものの、あれ以来さっぱり告白されなくなってしまい、仕方なく自分から電話やメールをしている毎日だ。人生とは実にままならないものである。 |
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