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『シンデレラIII 戻された時計の針』然り、現在公開中の映画『バブルへGO!!〜タイムマシンはドラム式』然り、最近は“過去に戻ってどうにかしよう”というのが流行っているようだ。
まあ、そうは言っても最近のJ-POPのように、無闇やたらなポジティブシンキングを高らかに謳う私が、そう簡単に波に飲まれるわけにはいかない。男たるもの、過去にとらわれず、まっつぐに前を見て歩んでいきたいものである。
そんなことを思いながら、定食屋でディナーとしゃれ込んでいた時のこと、仕事熱心な私は、プレゼント原稿を眺めながら納豆に醤油をたらしかき混ぜ始める。しばらくするとコクのある香が鼻をついた。
ん!?…コク? 嫌な予感がしたので、醤油が入っているとおぼしき瓶を手に取って確かめる。ビンゴ。そこには思いっ切りウスターソースと書かれていた。
やらかしちまった悲しみのなか、切に願うのは“過去に戻ってどうにかしたい”ということだ。
ここで一つの真理が見て取れる。 所詮「前を向いて生きよう」などと言えるのは、利害関係のない第三者の意見であるということだ。実際に自分が、実の娘の横で養女の方が幸せになっていくもどかしさを、バブルに浮かれて転落した口惜しさを体験した時に、それでも過去を振り返らない強さがあるのか?
という話なのである。
今回おいても然り、たかが納豆と思われるかもしれないが、何を隠そう私はそれほど納豆が好きなわけではないのである。その私が、何故か「納豆食べたい」と思った非常にレアなケースであるわけで、その機会を逃したという意味で今回の損失は大きい。
これを聞いても、まだ「失敗をポジティブにとらえよう」などと言うのであれば、敢えて飛び込んでみようではないか。確かに思ったほどヒドイ味ではなかったし、驚いたのはちゃんとフワフワになるにもかかわらず、糸のキレは良く、食べやすかったという事実。
ただこれは、前向きというよりも、負け惜しみではなかろうか。実際、じゃあ次回からソースで食べようなどとは決して思わない。それならば、過去をどうにかしようと努力の末にタイムマシンを作ってしまうことの方が、よっぽどポジティブなんじゃないかと思うのだがどうだろう?
後ろに向って前向き。ポジティブって何かね?
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