アメリカン・リアリズムの代表的画家として、日本でも人気の高いアンドリュー・ワイエス(1917年ー)。
一般的にはテンペラ(卵などを溶剤とした耐水性の絵の具)の作品が知られているが、当初は水彩画家として出発。テンペラの画家として認識されるようになってからも、素描→水彩→テンペラの工程を踏み、時には水彩の後にドライブラッシュ(水気を絞った筆で描く水彩画の技法)が加わることも。こうしたテンペラ以前の作品も数多く制作しているのだ。
本展では、そんな素描や水彩を中心に紹介することで創造のプロセスに着目。完成されたテンペラ13点を含む計約150点の作品で構成される。水彩や素描からは画家の激しい感情のほとばしりが感じられ、テンペラ作品との対比では、関心の変化なども読み取ることができる。
その制作過程に光を当てた今展では、画家ワイエスの生の姿、息遣いにも触れられるだろう。