夏フェス特集


特別な音楽ファンならずとも、いまや夏の一大イベントとなった夏フェス。各フェスともに解放感のある野外ステージで、洋邦の大物アーティストはもちろん、まだあまり知られていない新人アーティストが一同に観られるのが大きな魅力だ。
特に夏フェスの出演によって新人アーティストの人気が加速したり、知名度がグッと上がった例はこれまでにも少なくはない。近年ではチャットモンチー、銀杏BOYZ、髭(HiGE)などが音楽シーンの最前線に躍り出た最初のきっかけは夏フェスだったと言っても過言ではない。それゆえ、オーディエンスにとって次期ブレイクをいち早く見つける“新人青田買い”は夏フェスの楽しみの一つと言っても良いだろう。
デビューから19年、夏フェスが盛んではなかった頃から現在まで唄い続けるYO-KINGに話を聞いた。
「昔の夏は暑いだけで、うっとおしい季節だったと思うんです。ただ、夏フェスが盛んになったことで、夏を待ち遠しく思うようになったよね。だって、真夏にセックス・ピストルズが観られること自体が面白いでしょ(笑)。一方で、まだ知られていないアーティストを知れるのも楽しくて。今は夏フェスで鍛えられる若いバンドも多いと思う。お客さん同様、僕らにとっても夏フェスは、新人アーティストを知る良い場です」
かくいう彼も、今年も新人に負けない(?)アツいステージを控えている。
「いや、新人アーテイストには負けるでしょ、暑いし(笑)。出演するアーティストによって挑み方は違うと思うけど、僕は夏フェスの雰囲気を楽しみたいと思っています。自分のステージ以外では、まだ知らない、新人アーティストに出会えることを期待しています」
■YO-KING出演フェス
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2008


まだそれほど知名度はないものの、すでにメジャーデビューを果し、次期ブレイクが期待される4人組バンド。彼らが出演する夏フェスは計2か所。大物アーティストが多数顔を並べる夏フェスにあって、多くの人がスンナリ聴き込めるキャッチーなメロディとボーカルが武器だ。「いわゆる歌モノで、すごい気持ち良い。僕のツボをグイグイ押してくる感じですごい好き。フィッシュマンズとか、真心ブラザーズが好きな人は絶対ハマると思いますよ」とYO-KING。その真価のほどを夏フェスで確かめたい。大自然のロケージョンにも合いそう。

中学生にして銀杏BOYZの前座に抜てきされるなど、一部の間ではその才能を早くから見い出されていた5人組パンクバンド。すでに本家、コーネリアスとの2マンライブも実現させているというから驚きだが、一般的な知名度はまだない。「このネーミングセンス。素晴らしいですよね。この名前を見ただけで絶対にステージに行っちゃうでしょ(笑)」とYO-KING。出演する夏フェスは「FUJI ROCK FESTIVAL'08」の若手登竜門的ステージ「ROOKIE A GO-GO」。その脅威のサウンド、パフォーマンスに今から注目だ。

ご存じ今年大ブレイクを果したアイドル3人組だが、夏フェスとしては新人となる。すでに各方面で話題を呼んでいるが、もちろんYO-KINGも大絶賛。「僕の今年上半期のアルバムベスト3を挙げるとしたら、ローリングストーンズのライブ盤、宇多田ヒカルの『HEART STATION』、Perfume『GAME』です。ボーカルもメロディもリズムも声も良くて。野外ではどんなライブになるのか想像がつかないけど、きっと楽しいでしょうね」とのこと。気になるそのステージは「SUMMER SONIC」で体験できる。

荒っぽさと直接的なメッセージが心に響く新人4人組ロックバンド。「ポップの端っこにいながら、ROCKのド真ん中を目指す」を指針に精力的に活動中。YO-KINGによると、「ボーカルの有馬君(写真右)に、良い意味での気持ち悪さがあって好き。見た目も面白い」とのこと。すでにライブハウスシーンではジワジワと人気が高まっており、大物アーティストたちの間でも話題になっている。夏フェス出演は今年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が初。絶対に見逃せないバンドであり、以降の動向からも目が離せない。

ライブハウスシーンで、着実に動員を増やし続けている実力派3ピースバンド。シンプルな構成ながら耳に残るメロディと、圧倒的なライブパフォーマンスで、初めて観る人をも惹き付ける。YO-KINGに聞くと、「ボーカルの斎藤君(写真右)の声がカン高くて素晴らしい。野外だったら、そのボーカルの伸びをより気持ち良く感じることが出来ると思う」とのこと。彼らが出演する夏フェスは計3か所で、共演するアーティストは各所様々だが、個性派揃いの各アーティストの中で、新人の彼らがどうアプローチしてくるのかが見物だ。
取材・文:松田義人 撮影:源賀津巳