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過去のインタビュー
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150回を超える「SATURDAY NIGHT R&R SHOW」の長い歴史において、それぞれ数々の名演を刻んできてくれた、THE COLLECTOTRSとソウル・フラワー・ユニオン。
だが、「SATURDAY NIGHT〜」に限らず、対バン形式での共演は今まで一度も実現していなかった(!)という。表現方法は違えど、間違いなく日本のロック・シーン/ライブ・シーンを牽引してきたふたつの巨星。唯一無二の存在がふたつ在り続けてきたというファンタジーの謎が今、紐解かれる!というか、ライブ当日初めて顔を合わせるというのは何か緊張感がありすぎるので、まずは対談してもらいましたー。

――Wぴあ編集部にとっての今年初の音楽イベントが、コレクターズとソウル・フラワー・ユニオンの顔合わせなんて嬉しいです。ありそうでなかったと言われているんですが、実際になかったんですか。

古市 ないです。

中川 でも、おれはコレクターズのレコードを売ったことがあるよ、「キングコング」(大阪にあるレコード店)で店員やってたときに(笑)。だから「チューインガム」が入ってるレコードはよく聴いた。

加藤 「ロックンロール・オリンピック」って仙台のイベントで、’92年かな・・・いっぱい出たんだけど、一緒にやって、その前か後かな……駒沢大学の学祭で一度やってるんだよね、ニューエスト・モデル(ソウル・フラワー・ユニオンの前身バンド)のころ。

奥野 2つ?

古市 違う、2つじゃない。

加藤 3つ4つ出てた。

――つまり、ソウル・フラワー・ユニオンと2つではないわけですね。

加藤 ない。

古市 ニューエスト・モデルだったっけ。

加藤 そのときはニューエスト・モデル。

古市 「ロックンロール・オリンピック」のときもニューエストだった?

中川 そうそう。

古市 メスカリン(メスカリン・ドライヴ)はメスカリンで出てたよね。奥野君、キーボード弾いてたもんね、見たもん。上手(かみて)で弾いてたもんね、あのとき。

一同 (笑)。

――細かいですね。確かにそのころは、がっぷり四つでやるようなお互いの音楽性とかポジションでもなかったと思うんですけど、今時間がたって思うと、近年でなかったのも何か不思議だなと思えるぐらいな感じがしてはいるんですよ。

中川 何か一部のファンが盛り上がってるらしいよ。

古市 結構音楽的な顔合わせでいいんじゃないですかね。

――お互い当初のころと今と比較して、改めて意識していた感じってありますか。

中川 この対談、最近の作品をお互い聴いてからやるべきやったんちゃう? 1回ぐらいお互いちゃんとライブ見とくとか(笑)。

――その何もない形のぶつかり合いもいいんじゃないですかね。

古市 まあ存在として意識はしてましたよ、常に。

加藤 僕らは僕らのスタイルがあるし、中川君たちは中川君たちでやってきた。それぞれ違うスタイルがあって、同じぐらい強烈に何かを目指してたと思うんだけど、そのベクトルは決して同じ方向を向いてなかったから、ある意味、会ったら苦手なヤツだろうなとは思ってた……。

中川 その言葉、そのまま返す(笑)。

加藤 向こうも絶対そう思ってただろうし、だから、それはもう薄々感じてたのね。前の事務所のときに「中川と加藤は会わせるな」というのがスローガンだった……。

中川 んなことはないやろ(笑)。

加藤 いや、ホントに。マネージャー同士が。

古市 事務所が同じビルの上下だったからね。

中川 ああ、そうか、そうか。

加藤 あの2人を会わせるなというのが……。だから、時間差で必ずおれたちはミーティングさせられてた。

古市 ホントホント、これはホントだよ。

中川 真顔で言うなよ(笑)。

古市 何てことないんだけど、周りがそのぐらいピリピリしてたって話。

奥野 時間たって今やるからいいのかもしれんけどね。

加藤 でも、そういった意味ではいくつかそういうバンドはありますよね。スタイルは違うけど、強烈に活動してて、そこのエリアではかなり支持をされてて…というバンドっていくつかあるじゃないですか。そういうのはやっぱり認めざるを得ない部分って絶対あるでしょう。

――例えばほかにバンドを挙げるとしたら、加藤さんの中ではどんなバンドがそうですか。

加藤 そうだな、誰がいるかな……スカパラなんかもそうだし。長くやってるって意味ではね。

――エレカシとか。

加藤 エレカシとかもそうだし。そういうひとつのどろっとしたものを持ってる連中って、やっぱり自分の中ではどこかで気にはしてるよね。ずっと続けていけてるのが可笑しいじゃないですか。みんなどこかのところでいなくなったり、消えたりしてる中で。だから、余計にそういうのが残ってくると、ああやっぱりな…みたいな、そういうのあるし。そういうところで、やっぱりオクちゃん(奥野真哉)とかはキーボード手伝ってもらったりとかしてるような流れにもなってきた感じだしね(昨年、コレクターズの日比谷野音ライブで奥野がキーボードを担当)。

――中川さんは奥野さんがコレクターズで弾いてるのをご覧になってはいないんですか。

中川 ないな?。

奥野 まだ1回しかやってないしね。

加藤 一回きりだけどね(笑)。

中川 彼はお友達が多くて、誰がどうなってるのかよくわかんなくて、彼のスケジュールを押さえるのも大変で、最近は(笑)。

奥野 そんなん言わんでもええ。

――大晦日、見ましたよ(「紅白歌合戦」にボニー・ピンクのバンド・メンバーとして参加)。

中川 見た見た、おれも。

加藤 おれたち押さえるとき意外と簡単だったよね。

古市 随分前から予約したもん、おれ。

――中川さんは、人の音楽を聴くという意味では、日本のということじゃなくヘビー・リスナーですよね。

中川 うん。でも、最近、日本のロックとかよくわからなくて。ただ、おれの場合、ガキの頃、モッズになりたかったみたいなとこで始まってて、80年代後半、コレクターズは注目してたよ。おれは3つボタンのスーツも似合わへんし、顔もこんな顔やん(笑)。ちょっとそっちあかんな…みたいな、あったよ。本当にモッズ少年やったからね、聴いてる音楽に関しては。パンクのほうに行っちゃったけど。

――モッズのもとになってる音楽が好きということですよね。


中川 相変わらずルーツ・ミュージックやという感じはあるけどね。キンクスのたしか2回目の来日公演のパンフレットを(加藤ひさしと)2人で書いてるね。

――知ってます、それ。


奥野 いいねえ、それは。いい感じじゃん(笑)。

加藤 キンクスが結びつけてくれたということで終わろうか。

――音楽性ということじゃなくて、活動している中で、さっき言ったように、中川さんとか奥野さんが気にしてる日本のバンドっていらっしゃいますか。別に接点がなくてもいいんですけど。

中川 いやもう続けてるバンドやったら、どこもそう思うよ、やっぱり気になるよ。よく続いてんな…みたいな。名前はパッと出てこないけど。

――音楽的な接点はないけどそれぞれのエリアでって、さっき加藤さんがおっしゃったじゃないですか。でも、聴いているほうとしては、コレクターズもニューエストも大好きで、エレカシも好きでっていう人もすごく多かったんですよ。別に結びつけたりはしないんだけど。要するに、音楽好きな友達で好きなバンドを挙げたりすると、コレクターズも、ニューエスト・モデルも…ってなるんです。そこに何かがあると思うんですよね。

加藤 でも、それはおれたちもやっぱりそうで、キンクスが好きだ、フーが好きだって言うけど、キンクスとフーってよく聴くと全然違うからね。キンクスは、フーみたいなああいう破壊的なバンドじゃないし、どちらかというともっと音楽的で、ポール・マッカートニー的な感じがすごくするしね。でも、同じように聴いてて全然違和感ないじゃない。そういうことなんじゃないの。僕らと彼らは全然違うけど、何かひとつそういう……例えばルーツが、モッズが好きだったというところで、おれたちはパワー・ポップ的なものを追求していくけどね。で、違う方向に行くわけじゃない。でも、そういうところが一緒だったりすると、やっぱり発信してるものが似てるというか、聴き手側がキャッチするものが。

――キンクスとフーが一緒にやるようなものなんですかね(笑)。

加藤 まあそうなんじゃないの。あり得ないけどね。ファンもすごい喜ぶよね。やってる本人はわかんないけど。

中川 いや、それよりもっとすごい(笑)。

――「SATURDAY NIGHT R&R SHOW」というイベントは、新宿パワー・ステーション時代から数えて150回を超えていて、それぞれ登場回数は結構多いんですよ。それはもちろんこっちからのリクエストで出てくださいとやってきたんですけど、確かになぜか一緒にという話は、今までアイデアとしても一回もなかったような気がするんです。

奥野 怖かったんでしょう。

中川 合わないと思われてたんでしょ。

――何でなのかな。野音も何回かやっていて、例えばソウル・フラワーはボ・ガンボスや、喜納昌吉さんとやっていただいたり、コレクターズはSCANCH(すかんち)とやってもらったりとかありましたけど、その頃に野音でこの2バンドでやっててもよかったような気もしますよね。

加藤 そうだよね。

中川 どこでやっててもおかしくなかったと思うよ、全然。

――なぜだろう。でも、その初めての顔合わせになるわけですから、ファンの間で騒ぎになってるような感じもわかりますよね。

古市 結構見たい感じなのかな、ファンは。

奥野 見たいんじゃない? おれが客やったら見たいな。

――僕もすごい見たいと思います。

奥野 メールとかでも、ほんとに今まで見てきて、この2つを今まで見てなかったのがおかしいと思いますみたいなこと言ってました。あってもおかしくなかったのに…って。

中川 神戸で出前チンドンの活動とか始めた頃から、ずっとビデオを録りにきてくれる男がいるんやけど、コレクターズが好きやね。

加藤 そういえば、一時期、ソウル・フラワーのリリースもしてた高橋君、キューン・ソニーにいた。

――リスペクト・レコードの高橋さんですね。

加藤 彼はもともと僕らの事務所にいてコレクターズのこともやってたぐらいで、そのころはおれたちのことも好きだったし、ニューエスト・モデルも大好きだった…という流れがあって、彼がレコード会社をつくったときに、やっぱりやりたいと言ってソウル・フラワーをやったりしてる。そういう共通の人というのは結構いたんだよね。

――僕も高橋さんとよくそれぞれのバンドの話で盛り上がりました。

加藤 その共通の真ん中に入ってた人たちが、なぜか知らないけど、加藤と中川を会わすなと(笑)。

中川 それは知らん、おれは言われてない(笑)。

加藤 周りに言い放ってたわけです。それで多分実現しなかったというのがあるんじゃないの。

中川 中川とヒデちゃん(伊丹英子。ソウル・フラワーのメンバー)を内田裕也に会わせるなっていう話はあったけど(笑)。どっちも出してるイメージが強烈やからでしょ、表面的には。

加藤 腹に持ってることとか、考えてることとかっていうのは実は一緒だったりするんだよ。でも、そこで中川君はすごくマジメなのね、おれから見ると。おれは、こんなことマジメにやっててもしょうがねえよ…っていうほうだったのよ。だから、わざわざ夢見るような歌詞書いちゃ、そういう連中から反感買われてたわけさ。

――わけさ、と言われても……(笑)。

中川 そんなことないと思うよ。

加藤 そこは深読みしてくれないとね。だから、そういった表面的な部分では、アホみたいに夢見てる加藤と、真剣シリアスな中川さん、という感じなのよ。でも、考えてることは、日本語のロックにおいて、例えばポール・ウェラーが歌ってたことってものすごく政治的で意味のあることのように思えてたわけ、あのとき聴いてたことが。サッチャリズムに対することとか。そういうことを日本でもやりたかったんだ。ロックがそれぐらいの力を持ってほしかったし、それはきっと一緒でしょ。

中川 いや、今でも思ってるよ。ポール・ウェラーが…とは思わないけどね(笑)。

加藤 僕も思ってるんだけど、プラカードを書いたときに、中川君は手書き、おれはちゃんときれいにデコレーションして、みんなに見てもらうように書いた…っていうぐらいの話でさ。

――中川さん、何か反論があれば(笑)。

中川
 いやいや、別にそれでもええよ(笑)。

――加藤さんがおっしゃる、お互い同じようなところを思っていたと言っているところを、もう少し詳しく具体的に言うと、どういう同じようなことを感じていたんですか。

加藤 ありきたりのロックンロールで言ってることとか、嫌いだったと思うのね。イギリスのロックがシリアスに感じる部分とかを日本語で表現したかったりとか、スタイルもそう。日本のルーツ・ミュージックもどんどん取り入れていくじゃない。

中川 俺らは、何をやっても、ひたすらカッコええと思ってやってるけどね。ほかのバンドはこんなことをやらへんやろって。

加藤 そうそう、ほかはやらないだろうという、そういうオリジナリティの追求のしかただったと思うんだ。おれたちはいつまでも、でもやっぱモッズのほうがカッコいいよな…っていうところに戻ってきちゃうというかさ。そこの差だよ、ちょっとしたところなんだ。

中川 コレクターズの場合、ある種パイオニア的やから、そう思えるんやと思うよ。これが2番手、3番手のバンドやったら、やっててイヤになるよ。越えれない先人がおったら。こういうことやらしたら、おれら日本で一番ええぞと思えたからやと思うんや、それは。

奥野 コレクターズも似たようなバンドって出てないと思う。長年やって残ってるバンドっていうのは、わりとそういうふうなフォロワーを、その人らに影響を受けて違う音楽をやるとかはあるけど、ほんまコレクターズっぽいとか、ソウル・フラワーぽいっていうバンドが次出てきてなかったから、そういう部分でお互いパイオニアの立場でいられたんちゃうかな。

中川 どっちのバンドもフラフラせんですんだってことやね。

加藤 そうだね、そこはそのとおりだね。

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プロフィール
THE COLLECTORS
’86年結成。’87年に1stアルバム『僕はコレクター』を発表。昨年結成20周年を記念した最新アルバム『ロック教室』は彼らをリスペクトする数々のミュージシャンが参加。また20周年を記念した「20 th ANNIVERSARY DVD BOX ALL MOD GEAR 1986-2006」も好評発売中。

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ソウル・フラワー・ユニオン
’93年結成。同年11月に1stアルバム『カムイ・イピリマ』を発表。今年は精力的なライブ活動を展開予定。3月〜はイベント『闇鍋音楽祭 2007 〜41歳の春だから……』を開催。東京公演はShibuya O-WESTに登場。

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