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過去のインタビュー
元ちとせ × ザ・チーフタンズ
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  ザ・チーフタンズ。アイルランドが生んだ、この偉大なバンドのことをご存知だろうか。結成は 1962年。つまり45周年を迎える大ベテランである。もちろんキャリアが長いだけではない。アイリッシュ・トラディショナル・ミュージックを世界に知らしめた立役者であり、グラミー賞6回受賞、アカデミー音楽賞1回受賞という輝かしい経歴を持つ、言わばアイルランドの人間国宝的な存在なのである。様々なミュージシャンたちとのセッションを意欲的に続けてきたことも特長のひとつ。彼らをリスペクトして共演したミュージシャンは、ポール・マッカートニー、ヴァン・モリソン、ローリング・ストーンズ、スティングなどなど錚々たる顔ぶれ! そんな偉大なバンドと元ちとせがセッションするというのだからビッグ・ニュースの“ ビッグ ”の度合いがどれほど高いかお分かりいただけるだろう。期待に胸をふくらませアイルランドはダブリンへと取材に旅立った。



 初日。成田空港でエピックレコードのAさんと待ち合わせ。このAさんは何を隠そう、奄美大島で島唄を歌っていた元ちとせのもとを訪れ、デビューへのきっかけを作った張本人。Aさん無くして今の元ちとせはなかったかもしれない重要人物である。そんなAさんと2人でロンドン経由でダブリンへ。実は元ちとせ本人を含む先発隊は1日前に旅立ち、我々が機中にいるころレコーディングを開始している予定。
 到着したのは現地時間で夜の7時。ホテルにチェックインし連絡を取ってみると、ちょうど初日のレコーディングが終わってチャイニーズ・レストランに入ったとのこと。なぜアイルランドまで来て中華?と疑問を抱きつつもさっそく合流。「ナイス・トゥ・ミーチュー!」元ちとせの横に座る初老の紳士とご挨拶。この人がチーフタンズのリーダー、パディ・モロニー氏である。すでに顔を赤くしてご機嫌な様子。どうやら初日のレコーディングはうまくいったようだ。ちなみに、このチャイニーズ・レストランはパディ(以下、親しみを込めて敬称略)が10年以上通うお気に入りのお店らしい。
 さてここで、日本からレコーディングに向かった「チームちとせ」の陣容をご紹介しておこう。まずは元ちとせ本人。そして間宮工。ご存知の方も多いと思うが、デビュー時から元ちとせに楽曲提供し、スガシカオや元ちとせのライブでもギタリストとして活躍している。今回は2曲レコーディングするうちの1曲が間宮さん作曲の「虹が生まれる国」という楽曲で、レコーディングにもギターとマンドリンで参加する。続いてオフィス・オーガスタの社長、ジャイアンこと森川欣信氏。あと同じくオーガスタの若手Yさん、エピックレコードのKさん。そして先述のAさんと同行取材の私を含めた総勢7名である。という一行が、やや欧風にアレンジされた中華料理とビール&ワインで晩餐を楽しみ、初日の夜は更けたのであった。
 あとで聞いた話だが、初日のレコーディングはかなりのハイペースで進み、ほとんど1曲録り終わってしまいそうな勢いだったらしい。日本のレコーディングとは違うペースに、一行には少し戸惑いもあったようだ。


 2日目。11時にレコーディング・スタジオ入りし、いよいよ本格的に取材開始。実はこのスタジオというのがまた凄い。U2などの数々の名盤を産み出したウインドミルレーン・スタジオ! そこに立ち入れるというだけでも編集者冥利に尽きるというもの。ミーハー精神丸出しでスタジオ内を見学。広い! 開放感があって、レコーディングというよりライブをしているような感覚で録音ができそうな雰囲気だ。チーフタンズのメンバーやサポート・ミュージシャンたちも集まってきた。みんなフレンドリーだ。ただ残念ながらチーフタンズのメンバーのひとりマット・モロイは体調を崩して不参加とのこと。
 まず前日に録ったアイルランド伝統曲「Siuil A Run」の仮テイクを確認。この曲はゲール語が中心の古い民謡。大切な人がフランスに戦争に行ってしまう、切ない女心を綴った反戦歌ともいえる曲。哀愁を帯びた曲調が元ちとせの声ともすごくマッチしている。見事な選曲だ。そして本格的に歌入れを開始。声の調子は悪くない。難しいゲール語の発音もクリアし、パディも絶賛。元ちとせの声がすごく自然にメロディに乗る感じ。パディ曰く「ちとせの歌のスタイルは、西アイルランドの伝統的な歌唱法“シャンノース”によく似ているんだ。だからこの曲はぴったりなんだよ」とのこと。なるほど、奄美の島唄と、同じ島国であるアイルランドの一地方で歌われている民謡の間に共通点があったとは! 感心しきりである。
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プロフィール
元ちとせ
元ちとせ
1979年、鹿児島県奄美大島生まれ。2002年2月、「ワダツミの木」で衝撃的デビュー。1stシングルでチャート1位を記録。結婚・出産のための約2年間の休養をはさみ、これまで3枚のオリジナル・アルバムをリリース。最新シングルは昨年5月の「青のレクイエム」。今年デビュー5周年を迎え、更なる活躍が期待される。
ザ・チーフタンズ
ザ・チーフタンズ
1962年結成、アイルランドが誇るケルト音楽最高峰バンド。現在まで42枚のアルバムをリリースし、世界中で精力的な活動を続けている。
現メンバーはパディ・モロニー、マット・モロイ、ケヴィン・コネフ、ショーン・ケーンの4名。
アイルランドから音楽大使に公式任命され、今年6年ぶりとなる来日公演が決定した。
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