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過去のインタビュー
ゴスペラーズ
珠玉のハーモニーに見る
ゴスペラーズの“チームワーク”
ゴスペラーズの今年第一弾シングル『青い鳥』は、合唱に青春をかける高校生たちの 姿を描いた映画『うた魂♪』の主題歌だ。彼らのハーモニーの秘密はどこに?
「ゴスペラーズ」写真
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何もかもを均等にならして、平衡を保つことがいいバランスなのではない。時と場合に応じて、突出したり引っ込んだり、たとえデコボコしていたとしても、ひとつの塊となったときに最大限のエネルギーを放出できる、臨機応変のフォーメーションがチームワークの要といえそうだ。
村上  「でもその上でみんな、巧みにバランスを取ってくるよね。例えば、俺と黒沢が筋トレしてると安岡が邪魔しにきたりとか。5人で一緒に、っていうふうにはなかなかしないよね、ウチは」
安岡  「昔からあんまり“5人で何かをしなければならない”っていうルールがないんですよ」
酒井  「やっぱり全員が筋トレをしてるって状況が気持ち悪いというか……なんか危ないと思うのかなあ。だって、村上がゴルフを始めるというときも、俺に向かって“酒井、オマエはアンチゴルフの立場を貫いてくれ”って言いましたからね。なので“なんでゴルフなんてやってんだ冗談じゃねえ”と。そういう立場で頑張ってますけど。まあ俺、ゴルフ大っ嫌いなんで(笑)」
北山  「でも普通は“そんなこと言わずに、オマエもやってみようぜ”って言うのがわかりやすい仲間像だと思うんですけど、そうじゃないんですよ。“俺がやるからオマエはやるな。むしろやってる俺を責めてくれ”っていうね(笑)」
安岡  「要は逆サイドをキープしてくれってことだよね。だから、それはそれでバランスなんだよ。それで上手くいく場合もあるかもしれないけど、全体で見たらそれはサッカーじゃないでしょ、っていうさ」
酒井  「そういうことか! 全員、左サイドを攻めちゃったらダメなんだ。なるほどなあ。ある日、急にゴルフをやらない人間が必要になる時がくるかもしれない、と!」
北山  「ま、そのうち安岡も黒沢もゴルフ始めるだろうから、ホント酒井は頑張ってよ」
酒井  「え、俺ひとりで右サイド?(一同爆笑)」
「ゴスペラーズ 北山陽一」写真 北山陽一
「ゴスペラーズ 酒井雄二」写真 酒井雄二
5人の感性を活かしたチームワーク

“みんなで同じことをしない”。逆をいく発想はまさにゴスペラーズならではといえそう。オリジナリティあふれる素晴らしきチームワーク。
安岡  「右へならえで、全員が同じことをするっていうチームワークの作り方もあるじゃないですか? そういう意味ではウチは真逆なんですよね。でも、なんでこの5人でやってるかっていったら5人分の感性があるからなんですよ。同じ歌を歌うにしても“この曲はこういう気持ちで歌う曲なんだな”って、その答えがそれぞれで違うから、5人で歌ったときにより解釈が広く深くなるわけで。答え合わせをしないことで、逆に“そういうやり方もあるんだ”って気付かされることもあるし。前回アイツがやってたやり方を真似してみようとか、そういうことも普通にやってますもんね。そうするとまた違う何かを新たに考えたりするじゃないですか」
村上  「MCと取材はホント“この間アイツが言ってたことを今日はコイツが言ってるよ”みたいなことがしょっちゅうですからね」
酒井  「ギャグや口癖もうつるし」
黒沢  「共通言語が増えてくってことだよね。それはグループならではだと思う。それにちょっとずつやり口が違ったほうが面白いし」
答え合わせをして、正解をひとつに決めてしまえば、確かに安心ではあるかもしれない。でも、それ以上共通言語が増えることはないし、そもそも何が正解で、何が間違いかなんて本当のところ誰にもわからないのだ。その時々で答えが変わることだって実によくあることではないか。
安岡  「とにかく常にいろんな答えを探していくことが大事だと思うんですよね。で、それならば1人で考えるより5人で考えたほうがたくさんの答えが見つかるだろうって」
この5人が形にすればゴスペラーズなる自信

それにしても。これだけ柔軟でありながら佇まいにブレがない。それがすごいと思うのだ、いつも。
北山  「音楽に関しては早い時期にもう、何をやってもこの5人が形にすればゴスペラーズになるねっていう自信は得られたので。あとはそれぞれ自分の武器を磨くだけ。今、僕らはニュートラルにエネルギーの高い位置にいることができているので、これから数年間でまたいろんなことにトライできたらいいなって思ってるんですけどね」
村上  「そういう意味でもこの『青い鳥』はひとつ大きなターニングポイントになるでしょうね。“ラブバラードのゴスペラーズ”からまた新たに広がるものがあるだろうし」
インタビュー中は終始笑いが絶えなかった。ここには紹介しきれなかったあふれんばかりのエピソードを、今なお嬉しそうに語る彼らの表情をみるにつけ、どこまで仲がいいのだろうと、つくづくうらやましく思う。きっと、この先また何年と歩いていくなかで5人の絆はいっそう柔軟で揺るぎなく進化し続け、折々に新しいハーモニーを響かせるのだろう。彼らの“答え合わせをしない”“5人それぞれの答えがあるから面白い”という発想は、今後、あなたが理想のチームワークを探していくうえで、ひとつ大きなヒントとなってくれるかもしれない。
Text●本間夕子 Photo●アライテツヤ
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『青い鳥』
『青い鳥』
3月12日(水)リリース
1223円
キューンレコード
KSCL-1219
「ゴスペラーズ」写真 ゴスペラーズ

写真左から、酒井雄二、北山陽一、黒沢薫、安岡優、村上てつや。'91年、早稲田大学のアカペラ・サークル「Street Corner Symphony」にて結成される。メンバー・チェンジを経て、'94年12月シングル『Promise』で、キューンレコードよりメジャー・デビューを果たす。これまでに11枚のオリジナル・アルバムを発表。日本のボーカル・グループのパイオニアとして、アジア各国でも作品がリリースされている。また、ソロ活動や、他アーティストへの楽曲提供なども行っている。
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