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過去のインタビュー
ゴスペラーズ
珠玉のハーモニーに見る
ゴスペラーズの“チームワーク”
ゴスペラーズの今年第一弾シングル『青い鳥』は、合唱に青春をかける高校生たちの 姿を描いた映画『うた魂♪』の主題歌だ。彼らのハーモニーの秘密はどこに?
「ゴスペラーズ」写真
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合唱というテーマから見えてきたグループ像

そこは是が非でもご注目を(笑)。それはさておき、初めて映画の現場に触れたりとか、あるいは合唱というテーマのもと自分たちを見つめ直したりすることで、彼ら自身にフィードバックするものも何かあったのではないだろうか。
村上  「もちろんありますよ。それは去年、実際に高校で合唱やってる子たちに会ったり、大会(全国学校音楽コンクール)を観させてもらったりして思ったことでもあるんですけど……彼ら彼女らってホント、まだ水を吸い込んでないスポンジみたいなものだなって。この映画に出演している彼女たちなんて、ほとんど合唱経験がないところで短期間に詰め込むように練習するわけじゃないですか、“私もういっぱいいっぱいです!”みたいな。でもそれがあるから、一丸となった合唱に仕上がるんですよね、きっと。彼女たちのスポンジにはまだまだ吸える余地があって。いっぱいいっぱいだって思ったときに、ふと隣のヤツを見たらそいつもいっぱいいっぱいで(笑)。それに気付くことで安心できて、もう無理だって思ってたものが、逆にもっと楽になって吸える、みたいな。そういう姿を目の当たりにして、それってかつての僕らの姿なんだよなあって。俺たち10年15年とやってきて、自分のスポンジで吸えるだけの水はもうすっかり吸ってしまった気がしてたけど、ひょっとしたらそんなことないんじゃないかって……そこでちょっと思ったんですよね。たかだか15年、実はそんなに変わらないんじゃないかって」
これまでの自分たちをいい意味でリセットできた、と村上は言う。そして話題は“チームワーク”へと。
北山  「そういう部分でこの映画に関して言うならば“七浜高校合唱部”、ここに出てくる子たちっていわばオーディションで集まった、歌に関してはほとんど経験のない子たちばかりじゃないですか。でもね、僕が2回目に練習に行ったときには、もう合唱部になってたんですよ。コミュニティとして成立してたし、部としての誇りも持っていて。ホント僕らの目から見てもドラスティックなんですよ、変化が。最初はみんなよそよそしい感じだったのが、僕らの出演シーンで現場に行ったときにはもうどこかの学校から部ごと連れてきたんじゃないかみたいな佇まい。それがホントすごいなって」
村上  「俺たちがよく言われる“挨拶もハモってますね”じゃないけど、間が合っちゃってるんだよね」
「ゴスペラーズ 安岡優」写真 安岡優
「ゴスペラーズ 黒沢薫」写真 黒沢薫
酒井  「“じゃあ、どこどこからやります”“は〜い!!!”って、その揃い方にびっくりしちゃいました、ハモり挨拶かと(笑)
村上  「俺らの場合はネタ的な要素も多いけど、彼女たちは自然にハモってる。それってやっぱりリアルに合唱に向き合って生きてるってことなんですよね。映画とはいえ、それが彼女たちのリアルだから自然にハモるよねって。ギャグで言いますけど、俺らのトイレに立つタイミングが同じ、みたいなもんで」
安岡  「同じ時間に、同じメニューを、同じだけ食べてたらねえ?」
酒井  「こういう取材とかでもほら、同じだけ水分を摂ってたり」
生活に根ざしたチーム感といったところだろうか。同じ瞬間を共有することで芽生える一体感は確かにあるけれど。
北山  「俺たちの場合はそれが本当に日常だから、例えばトイレに立つタイミングが合ったりすると気持ち悪いわけですよ。でも、この子たちの場合は期間限定でどこまで突き詰められるかっていうところもあるから、すごくピュアに一体感を作り上げていくわけですよ。ある種、すごくまぶしく感じたし、それはそれでいいもんなのかもな、って思えたりして。そういえば、この間テレビの収録があったんですけど、東方神起と一緒だったんですよ。彼らもホント四六時中ずっと一緒にいるじゃないですか、なのに、さあ本番っていうときにメンバー同士で握手してたりして。グループっていうことに関して僕らはふだん僕らしか見てないから、たまにそういう若いまぶしい人たちを見ると、自分たちがスタンダードだと思い込んでることがいかに危ういかを考えさせられるんですよね」
曰く、“僕らがこれをやったら恥ずかしい”とか“普通これはやらないだろう”とか思っていることが、実はただの勝手な思い込みで、大して重要な問題ではないのかもしれない。むしろそんな思い込みから、可能性を狭めてしまうことだってあるんじゃないか、と。
北山  「うん。そう思えたのも、きっとこの映画に関わったからなんじゃないかなって。そうじゃなかったら、“若いっていいな?”ぐらいにしか思わなかったと思うんですけど。そういう意味でも、これからのゴスペラーズにとってこの『青い鳥』は“初の映画主題歌”以上に大きなチャンスだったんだなって。まさに“青い鳥”が導いてくれたというか」
チームワークの要は臨機応変のフォーメーション

ではここで“ゴスペラーズのチームワーク”を聞いてみよう。きっと他にはない、“ならでは”の何かが浮かび上がってくるはず。
黒沢  「まあ、ハモるときにはもう、お互い目は見てないですよね。ブレスから始まる曲とかもあるけど、気配だけでわかるというか。そこはこのメンバーで10数年やってきたことの、いいところだと思うし。歌ってる最中に“コイツ、今日は調子がいいな”とか逆に“ああ、調子悪そうだな”とか、目で見てコミュニケーションとるというより耳で聴いてコミュニケーションをとる、みたいな。昔はいちいち確認してたのが、今はもうツーカーになってる。そういうのはありますね」
村上  「バランスっていうことで言えば、やっぱり究極的にはバランスはとりたいものなんですよ。特に僕らの場合はハーモニーだから。でも、もしバランスが崩れても“いい音楽”にしたいっていう理想もあって。例えばバッキングのコーラスって、下のほうのコーラスはそんなに表立って聴こえるサウンドではないんですよね。でもそこで“いい歌を歌ってるか/歌ってないか”が即、僕らのクオリティだから。いつ、どこに、どういうスポットライトが当たっても平気だよって言えることが本当の、盤石のハーモニーだと思うんですよ。別にね、いつもお互いの顔色伺いながらバランスとらなくちゃということではなくて」
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『青い鳥』
『青い鳥』
3月12日(水)リリース
1223円
キューンレコード
KSCL-1219
「ゴスペラーズ」写真 ゴスペラーズ

写真左から、酒井雄二、北山陽一、黒沢薫、安岡優、村上てつや。'91年、早稲田大学のアカペラ・サークル「Street Corner Symphony」にて結成される。メンバー・チェンジを経て、'94年12月シングル『Promise』で、キューンレコードよりメジャー・デビューを果たす。これまでに11枚のオリジナル・アルバムを発表。日本のボーカル・グループのパイオニアとして、アジア各国でも作品がリリースされている。また、ソロ活動や、他アーティストへの楽曲提供なども行っている。
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