酒井 「“じゃあ、どこどこからやります”“は〜い!!!”って、その揃い方にびっくりしちゃいました、ハモり挨拶かと(笑)」
村上
「俺らの場合はネタ的な要素も多いけど、彼女たちは自然にハモってる。それってやっぱりリアルに合唱に向き合って生きてるってことなんですよね。映画とはいえ、それが彼女たちのリアルだから自然にハモるよねって。ギャグで言いますけど、俺らのトイレに立つタイミングが同じ、みたいなもんで」
安岡
「同じ時間に、同じメニューを、同じだけ食べてたらねえ?」
酒井
「こういう取材とかでもほら、同じだけ水分を摂ってたり」
生活に根ざしたチーム感といったところだろうか。同じ瞬間を共有することで芽生える一体感は確かにあるけれど。
北山
「俺たちの場合はそれが本当に日常だから、例えばトイレに立つタイミングが合ったりすると気持ち悪いわけですよ。でも、この子たちの場合は期間限定でどこまで突き詰められるかっていうところもあるから、すごくピュアに一体感を作り上げていくわけですよ。ある種、すごくまぶしく感じたし、それはそれでいいもんなのかもな、って思えたりして。そういえば、この間テレビの収録があったんですけど、東方神起と一緒だったんですよ。彼らもホント四六時中ずっと一緒にいるじゃないですか、なのに、さあ本番っていうときにメンバー同士で握手してたりして。グループっていうことに関して僕らはふだん僕らしか見てないから、たまにそういう若いまぶしい人たちを見ると、自分たちがスタンダードだと思い込んでることがいかに危ういかを考えさせられるんですよね」
曰く、“僕らがこれをやったら恥ずかしい”とか“普通これはやらないだろう”とか思っていることが、実はただの勝手な思い込みで、大して重要な問題ではないのかもしれない。むしろそんな思い込みから、可能性を狭めてしまうことだってあるんじゃないか、と。
北山
「うん。そう思えたのも、きっとこの映画に関わったからなんじゃないかなって。そうじゃなかったら、“若いっていいな?”ぐらいにしか思わなかったと思うんですけど。そういう意味でも、これからのゴスペラーズにとってこの『青い鳥』は“初の映画主題歌”以上に大きなチャンスだったんだなって。まさに“青い鳥”が導いてくれたというか」
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チームワークの要は臨機応変のフォーメーション
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ではここで“ゴスペラーズのチームワーク”を聞いてみよう。きっと他にはない、“ならでは”の何かが浮かび上がってくるはず。
黒沢
「まあ、ハモるときにはもう、お互い目は見てないですよね。ブレスから始まる曲とかもあるけど、気配だけでわかるというか。そこはこのメンバーで10数年やってきたことの、いいところだと思うし。歌ってる最中に“コイツ、今日は調子がいいな”とか逆に“ああ、調子悪そうだな”とか、目で見てコミュニケーションとるというより耳で聴いてコミュニケーションをとる、みたいな。昔はいちいち確認してたのが、今はもうツーカーになってる。そういうのはありますね」
村上
「バランスっていうことで言えば、やっぱり究極的にはバランスはとりたいものなんですよ。特に僕らの場合はハーモニーだから。でも、もしバランスが崩れても“いい音楽”にしたいっていう理想もあって。例えばバッキングのコーラスって、下のほうのコーラスはそんなに表立って聴こえるサウンドではないんですよね。でもそこで“いい歌を歌ってるか/歌ってないか”が即、僕らのクオリティだから。いつ、どこに、どういうスポットライトが当たっても平気だよって言えることが本当の、盤石のハーモニーだと思うんですよ。別にね、いつもお互いの顔色伺いながらバランスとらなくちゃということではなくて」
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