@ぴあTOP > インタビュー > 田中マルクス闘莉王(名古屋グランパス)

「ワールドカップ後に引退する選手の気持ちがわかるからこそ怖さを感じる」

田中マルクス闘莉王

――チームメイトの楢崎選手(GK)が「今年のチームには期待している」と言っていました。闘莉王選手もそういった期待をグランパスに感じていますか?

「そうですね。軸となる、ナラさんをはじめ真ん中のラインの選手は、僕やタマ(玉田圭司)、(金崎)夢生も少し前まで代表に入っていた。でも代表選手が多くて実力者が揃っているだけでなく、やっぱり機能させなきゃいけない。1+1が2じゃなくて、2以上のつもりでやっていかないと、優勝は見えてこない。それが一番大切なことであって、チームとして機能するかしないかによって、全然違うと思う。ただ選手が集まったからって優勝できるわけじゃない。ほんとにみんながね、ひとつでも自分のいいところをちょっとだけでも削って、人に合わせることも大事。それは難しいことでもあるんですけど、このチームなら絶対できると思っています。だから、僕も大いに期待してるんですよね」

――同じ質問を、日本代表チームに向けると、いかがですか。

「逆に、みんなが自分のよさだけじゃダメってところがわかっている選手ばかりなんで。そっちの方が多少はやりやすい感じはしますね。チームとして機能させるところは、代表の方がみんな経験豊富なので、もうちょっと易しくできる。それがグランパスになると、もともといる選手がいたり、新しく入ってきた選手がいたり、なかなか機能させることは難しくなっていく。代表だと、そのことはみんなわかっている。自分のチームと監督も違うんで、さらに理解しようって気持ちになる。代表の方がまだやりやすいと思います。代表は時間があまりないですけど、同じ時間ならば、代表の方がチームとして機能させやすいです。みんなサッカーを知っているし、理解度も高いです」

――改めて、今季は勝負のシーズンです。後悔したくない気持ちが強いと思いますが。

「いやね、あんまり後悔することってないんですよね。もう一瞬一瞬を思い切って過ごしているから。ホントに人生を、サッカーだけではなくいろんなところで、やることには必ず100%でやるってことをずっとやってきている。思い切ってやってないと後悔すると思います。でも基本的にはそういったことはないんですよね。思い切ってやっているから、それで結果がネガティブなことになっていても、あまり後悔はしないんです」

田中マルクス闘莉王

――では、今年がワールドカップイヤーだからと言って、特別なことはしないと。

「特別なことはしないですね。ワールドカップイヤーだからって、多少セーブしたり、今まで思い切ってプレスをかけていたところ、思い切ってスライディングしていたところを控えようってなったら、そこからダメになっていくと思う。今までやってきたことをさらに気持ちを入れていくしかない。今できることに集中するだけであって、そこに気持ちや気合いを入れてやっていくだけ。それが自分の生き方で、だからこそ後悔もしないんですよね」

――日本代表は岡田監督が掲げるベスト4という目標があります。闘莉王選手の目標も同じですか。

「いや、大きな目標は、僕は優勝にしないと何のためにやっているのかって思います。ただ岡田さんの目標もすごく高い目標で、ベスト4ってそんな簡単にできることじゃない(笑)。今まで日本はアウェーでのワールドカップで1勝もしたことがないんですから。だけどみんな信じているから、僕も信じているからこそ言えると思う。僕もね、できると思っています。特に短期間の勝負というのは、ノッてればそのまま行っちゃう。だからこそワールドカップは非常に難しい。リーグ戦で全部の国と対戦したら、優勝やベスト4になる確率は低いと思うんですよ。そうじゃないからこそ、ワールドカップは楽しい。サプライズなところもあったりするから、みんなワールドカップを見たくなるんですよ。僕らにチャンスはあると思うし、オレは1試合1試合勝つためにやるだけです。1試合1試合を勝つためにやることが、最も近道だと思うんです。そんなベスト4だ、こっちに勝ったら次はここと対戦するとか、そんなことは考えたこともないです。ブラジルやスペインと当たるのと一緒だと。だからこそ、1試合1試合に集中する。それが全てなんじゃないかなって思います」

――でも、本当にワールドカップ本大会に出場して、達成感や満足感を得て帰ってこられるといいですね。

「そう……ですね。でも怖さもあるんです。ワールドカップに出たら、サッカーでもうこれ以上のものはないんじゃないかって。ワールドカップに出た後に引退する選手の気持ちが、自分にはわかるんですよ。だから、多少の怖さもあるんですよね」

インタビュー一覧へ戻る

おすすめトピックス

オススメキーワード【PR】

PROFILE

たなかまるくすとぅーりお
’81年、ブラジル生まれ。185cm、82kg。名古屋グランパス所属。16歳で来日し、’01年広島でプロデビュー。水戸への移籍を期に注目を集め、’03年に日本国籍を取得。浦和に移籍した’04年には『アテネ五輪』に出場した。’04年から6年連続でJリーグベストイレブン、’06年にはリーグMVPにも輝いた。今季より名古屋へ移籍。
名古屋グランパス・公式サイト

INFORMATION

名古屋グランパスの年間スケジュール
チケット情報

@ぴあに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)はぴあ株式会社の承諾なしに無断転載することはできません。

ページTOPへ