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Interview

田中マルクス闘莉王(名古屋グランパス) 「夢にすら見られなかった ワールドカップを近くに感じる」

田中マルクス闘莉王

サッカーに人生を捧げた男が、世界最高峰の舞台に立とうとしている。4年前はチャンスすら与えられなかった屈強のDFは今や日本代表に不可欠の存在にまで登りつめた。W杯を控え、所属チームも移籍した今季はまさに勝負のシーズン。“闘将”と呼ばれる男の信念と、2010年にかける意気込みを聞いてほしい。

Text●ぴあ編集部 Photo●本美恵浩

「プロでやっている以上は結果が全て」

──今年はワールドカップイヤーです。闘莉王選手のサッカー人生の中でも一番重要な年になると思いますが、いかがですか。

「そうですね。前回のワールドカップは残念ながらチャンスももらえず、結局本大会に出場することはできなかった。非常に悔しい思いでこの4年間を戦ってきたし、夢にも見られなかったワールドカップだった。自分も今回は出場機会も与えてもらっているんで、みんなで一丸となって戦いたいです。そして感謝をいろんな人にできるような大会にできればいいなと思います。自分自身ね、(W杯が)どんなもんかっていうのを、まだ肌で感じたことがないんで、非常に楽しみにしているところですね」

――ワールドカップ出場は、闘莉王選手にとってどんな意味を持つのですか。

「たぶん、今までの人生の中で一番大きい大会になるのは間違いないと思う。だけどその舞台に立ったことがないんで。ピッチに立って国歌を聞いた時に、どんなもんかなっていうのも想像つかないくらい、大きなことになると思っています。今までに自分が味わったことがないような緊張感であったり、『やってきてよかったな』っていう達成感であったり、そういったことが、自分の想像以上に大きなものになんじゃないかなって、心の準備はしているつもりなんですけどもね」

田中マルクス闘莉王

――国際大会と言えば、2004年のアテネオリンピックの出場経験があります。同じように大きな大会ですが、やはりワールドカップは違うものですか。

「オリンピックは衝撃的で、感動的な感じだったし、ピッチに立った時に今までになかった緊張感を感じました。感動的なところもね、比べ物にならないものではあった。でもやっぱりワールドカップはさらなる大きさ、スケールの違いは出てくるんじゃないかなって思うし、自分はホントに待ちきれない感じはしますね」

――ワールドカップは小さな頃から夢見ていた舞台だったんですか。

「僕はブラジル生まれで、16歳まではブラジルにいました。正直なところ、サッカー選手になるってこと自体が非常に難しいことだったんです。自分もワールドカップのことまで考えるような、上手な選手ではなかったんで、絶対手の届かないところにあると思っていた。いま実際に近くに感じる、見える光というのはどんどん近づいてきていて、だけど光りすぎて何があるかってことも全然わからない(笑)。その中に入ってみないと、なかなかわからないんじゃないかなって思います」

――実際に出場した時のことを考えると、ただ楽しむだけではいけない部分もあると思いますが。

「そうですね。僕たちの中での目標はある。それを達成するためには、楽しむだけではダメだと思う。いろんな苦労や困難を乗り越えなきゃいけない。今まで考えられなかったことに、僕らは本気でチャレンジしてみようじゃないかって、いま岡田さん(日本代表監督)の下でずっと協力してやってきている。目標を達成できるようにみんなで力を合わせていくしかないと思うし、そこでプレッシャーも感じつつありますね」

――ワールドカップだろうと、やはり全て勝つつもりでやりますか。

「そんな簡単なものではないと思う。こんな浅い(日本サッカーの)歴史の中で、日本はどう戦えるか。目標を達成するのには、全て勝つっていうことが必要じゃないと思うんですよね。とりあえず予選(グループリーグ)突破をしたところで、次は勝たなきゃいけないというのは事実ですけど、そこまでは色んな駆け引きもあると思う。そこがワールドカップのひとつの楽しみでもある。そういった駆け引きを含めて、ベストを尽くして勝てるかどうか。自分たちの目標を達成するために必要なことは、わずかな時間しかないですが、やっていかなければいけないとは思います」

田中マルクス闘莉王

――自分のサッカーに対する信念としては、勝つことがまず第一ですか。

「やっぱりプロでやっている以上は結果にこだわってやっていくしかないと思っています。プロとアマチュアの違いっていうのは、結果が全てという部分だと思っていますから。内容をどうこう言う以前に、勝つことがプロの目的だし、プロをやっている以上は目標になっていく。僕が第一に考えているのは結果だっていうことは、今までも変わらないです」

――それは勝つためだったら何でもするということですか。

「いや、相手を傷つけたり、ルール違反は絶対しない。ルールの中で勝つためにすべきことをやっていかなければいけないと思っています。それをやる覚悟はできています。プロとしてやっていく中で、相手をリスペクトし、審判たちをリスペクトし、サポーターをリスペクトした上で、『勝つために何をすべきか』ってことをね、常に考えながらやっています」

――そこに「楽しむ」という感覚はあるわけですか。

「ありますよ。攻撃している時だったり、相手との駆け引きだったり、その空間を非常に楽しんでいます。そういったことが感じられないと、非常につまらない。楽しくなければ見ている人たちにもあんまり納得いかないプレーになるし、それは自分も納得いかないと思う。僕はホントに楽しみながらやっていますけどね」

――勝つために守ってカウンターに徹するチームもあります。それはつまらないサッカーになりがちです。しかし勝つことと楽しむことは、両立できると。

「そうですね。いろんなチームのやり方がある中で、その選ばれているメンバーによってもスタイルは違う。守備的なチームであれば、引いて守ってカウンターとなるわけですけど、まあ意外とそれが機能する(笑)。でもボールを回しながらね、自分たちのやり方で、自分たちのリズムでやっていくのが一番、僕は理想的だと思いますけどね」

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PROFILE

たなかまるくすとぅーりお
’81年、ブラジル生まれ。185cm、82kg。名古屋グランパス所属。16歳で来日し、’01年広島でプロデビュー。水戸への移籍を期に注目を集め、’03年に日本国籍を取得。浦和に移籍した’04年には『アテネ五輪』に出場した。’04年から6年連続でJリーグベストイレブン、’06年にはリーグMVPにも輝いた。今季より名古屋へ移籍。
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