@ぴあ @ぴあTOP@電子チケットぴあ
前に戻る
過去のインタビュー
佐野元春×クララ・シノブ・イウラ対談
(後半)
佐野 「泣きますか? 人は嬉しくて泣くことも悲しくて泣くこともあって、涙にはいろいろな種類の涙があると思いますが、泣くということはよいことですか?」

クララ 「私は大好きです。悲しくても嬉しくても誰かが可哀想と思っても、泣くと自分の心が緩む気がするというか、自分が本当の自分に近づいたように思えるんですね。泣くということは、表の自分と本当の自分が出会えるいちばん深い部分じゃないかと思います。だから泣くとすっきりする」

佐野 「僕もよく泣いたり笑ったりしますが、やっかいなのは怒りという感情です。時々怒るという感情をうまくコントロールできないことがあるんですね。それが大きくなると、人が人を傷つけたり、国が国を攻めたり、間違いが起こります。その怒りという感情に関して、クララさんはどう思っていますか?」

クララ 「それは難しい問題で、今もはっきり答えは出ませんが、隠さないことが大事だと思いますね。ブラジルでは怒りをぶつけあって後で仲良くなります。でも特に日本では、なかなか本心を表に出しません。奥ゆかしくデリケートなのは美しく見えますけど、裏側に溜め込んでいるとそのうちパンクします。その時が大変。最近日本では自殺する子供が増えていると聞きます。とても辛くて悲しい。今喋っているだけで涙が出ます。この問題にしても、感情を表に出せずに溜め込んでしまう結果、悪いかたちでパンクしてしまう」

佐野 「子供たちの自殺には僕も心が痛みます。重要なのは、僕らが僕らの子供世代に、自然環境や健全な心など何を継いでいくかだと思います。しかし中には、環境汚染に関しては“もう遅いよ”という人もいます。本当に遅いんでしょうか?」

クララ・シノブ・イウラ

クララ 「既に多くの自然が失われていることを思えば遅いのかも知れませんが、ミラクルは起こり得ると信じています。人々ひとりひとりが、大切なことは何か? という小さな問題意識を持つことが世の中を動かす大きな力になっていくように思います。例えば、路に花が咲いていても、最近の人は気づきもしない。だけど瞬時でも立ち止まって“きれいだな”と思うことで心が開きます。その開いた心の隙間に精霊たちのメッセージが届くのです」

佐野 「僕が米国に住んでいた時に、アレン・ギンズバーグという詩人に会いました。彼は“言葉の中に精霊が宿っている”ということを発見した詩人です。そして“詩や音楽を作るということは、神様に捧げ物をしているのと同じだ”と僕に言いました。そのとおりだと思うんです。僕がメロディを編む時も、自分の中から出てくるのではなくて、誰かが自分に伝えてくれた言葉やメロディ を、素直にスケッチするという、ちょっと不思議な 感覚なんですけれども」

クララ 「私たちも森の中でよく歌を歌います。歌は神聖なものですから。その精霊のメッセージに耳を傾けることが、これからより大事になるでしょうね」

佐野 「僕は子供たちの声にも耳を傾けたい。神様から愛されている子供たちを、大人が騙してはいけないと思うんです。大人ももっと子供たちを愛してあげないといけない。そうすることで、社会はもっとよくなると思いますね」

クララ 「そうですね。子供を尊敬すること。子供に大人の意見を押し付けない。だって、子供は神様にもっとも近いピュアなメッセージを持っている存在なのですから」

前半へ戻る
『世界を救う13人のおばあちゃんの言葉』画像
『 世界を救う13人のおばあちゃんの言葉 』 ゴマブックス
発売中/1680円

『COYOTE』画像
佐野元春 ニューアルバム
『 COYOTE 』 DaisyMusic
発売中/POCE-9381
→購入はこちら

プロフィール
佐野 元春(さの もとはる)

‘56年、東京都生まれ。時代に対する嗅覚が鋭いミュージシャンとして有名で、日本でいち早くラップを取り入れたヒップホップ・アルバム『VISITORS』の発表は’84年、自身のオフィシャル・サイトを開設したのは’95年のことだった。
クララ・シノブ・イウラ

ブラジル・サンパウロで日系移民の娘として生まれる。数々のスピリチュアルな体験を経て、アマゾン熱帯雨林のサント・ダイミ教団指導者・セバスチャン・モタ・デ・メロと出会い教団コミュニティへ導かれる。以来18年間、共同生活を続けている。
 
前に戻る
ページの上部へ
プライバシーポリシー@ぴあ会員規約特定商取引法に基づく表示動作環境・セキュリティお問い合せぴあ会社案内