
シングル『START』のプロモ撮影時のニュージーランドにて
――では、他のメンバーに対してはどうですか? 「こいつらはすげえ」って思う瞬間ってありました?
「不思議なんだけどさ、ジュンスカの曲をやると、みんなジュンスカになるんだよ。森君も呼人も小林も、それぞれ音楽を続けてきてるじゃない? 別々のことをやってるんだけど、4人が集まると、ジュンスカの音になる。決して上手くないんだけどね。逆に、ここまで上手くならないのもすごいって思うくらいで」
――(笑)。
「でも、技術とは違うところで、オンリーワンな個性があるし、それがカッコいいんだよね。やっぱり、この4人だから輝けてたんだなっていう……そこを認識できたことは、俺にとってはいちばん大きかったですね。若いときはさあ、ほら、俺を中心に地球が回ってる、くらいに思ってたわけですよ。俺が歌ってるんだから、俺がいちばんすごいんだっていう。いまもそういう部分はあるんですけどね。逆にそれがなくなったら、ステージには立てないでしょ」

1990年、アルバム『Let's Go ヒバリヒルズ』の頃
ーーそれくらい、強い気持ちが必要ってことですよね。
「そうそう。でも、今回の再結成で、周りの人のおかげで、自分があるんだなって素直に思えるようになったというか。だって、小林が言い出してくれなかったら、このツアーもなかったわけですから。あとね、お客さんがどこに行っても、ぜんぶ大合唱してくれるんですよ。もちろんスタッフも含めて、いろんな人に支えられてたんだなっていう……。そういう充実感はありますね」
――僕も今回ライブを観させてもらったんですけど、お客さんの気持ちがすごく伝わってきたんです。懐かしいってことではなくて、2008年のいまも、ジュンスカの曲を必要としてるってことがハッキリわかって。
「嬉しいですよね、それは。一度支持された歌って、ちょっと時代が動いた瞬間に、いきなり“古い、ダサい”ってことになるじゃないですか。どんな曲も、そういう洗礼は必ず受けると思うんです。でも、さらに時間が経って、“やっぱりアレはいい曲だね”って受け入れられるようになるっていう。そういう歌を作れたことは、誇りに思いますね。ただ、それもさっきの話と同じで、支持してくれた人がいたから、なんですよ」
――なるほど。
「昔はぜんぜん考えてなかったからね、そんなこと。今日はダメだなって思ったら、後ろ向いて歌ったりしてたもん。とんでもないことだけどね、いま考えれば(笑)。ただ、ライブハウスでガーッとやるのが好き、っていうのは変わってないけどね。だから次のZEPPツアーは、すごくいいと思いますよ。スタンディングだし、お客さんはいっぱいいるし」
――ジュンスカにとっては初めてのZEPPツアーですよね。そして10月には野音が控えてます。
「はい。野音はねえ、11回やって10回が雨なんですよ」
――え、ホントですか?
「今日は珍しく雨が降らなかったな、と思ってたら、最後の『すてきな夜空』でドバーッと降り始めたこともありました(笑)。降ったら降ったで盛り上がるんですけどね。まあ、今回は10月の終わりですからねえ。寒くなったらイヤなので、ぜひ晴れてほしい。最後のライブだしね」
――このままジュンスカを続けたい、と思ったりしないですか?
「“ずっとやってほしい、もったいない”って声もありますけど、ダラダラやるのは良くないと思うんですよ。一度は解散したバンドだし、今回は“20周年というお祭りをみんなで楽しみたい”ということでやってるので。まあ、それぞれ音楽は続けていくでしょうから、またタイミングがくれば、やるかもしれないしね。そのときはまた、小林から呼び出しがあるんじゃないですか(笑)」
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