──『SAY YOUR DREAM』は、約15分の大作になっています。初めからこれだけの壮大な楽曲として構想されていたんですか？

「メジャー・デビューから15周年ということで、GLAYの15年間を凝縮した集大成的な楽曲になってほしいなと思ったんです。いろいろな思いが詰まった曲ですよね。15年を俯瞰して“よくやった”という気持ちもあるし、スタッフやファンへの感謝の気持ちもあるし、聴きやすい音楽が溢れている今の音楽シーンに対する挑戦の気持ちもある。実は、ことの発端はその部分で、ロックがそこに挑戦しなくてどうするんだという思いを込めていったら、15分の長さになったんです」

──GLAYの歴史を総括するような2部構成ですが、1部は具体的な地名などに即した、バンドの青春物語になっていますね。

「まず15年という大きいキーワードがあって、その中で自分が暮らしてきた函館での青春時代がフィーチャーされていったんです。函館は音楽を好きにしてくれた場所でもあるし、今のGLAYのきっかけを作ってくれた場所でもある。函館出身者4人が集まったバンドとして、函館はすべてのスタートラインなんですね。ここまで続けることができたのも、4人で一緒に闘ってこれたからだろうし、最近はこの4人だからこそできる音楽＝絆を、あらためて見直しているところなんです」

──2部では視点が現在に変わって、生と死という大きなテーマが描かれます。

「おそらく10代の頃は伝えられなかったことだと思うんです。年齢を重ねるにつれて、音楽のみでなく、いろいろな社会のことに目を向けるようになってきたんですね。最近では、HIVや自然環境の問題に目を向けるようになりましたが、そうすると歌への思いも変わるし、伝えていかなきゃいけないことも変わってくるんです。そのなかで年相応のものを伝えようとすると、やはり生と死というメッセージになってくるんじゃないですかね。自分たちの年齢になると、生と死というものにすごく敏感になるし、死が隣り合わせのものになってきますから」

──「若さ」と「成熟」の両面が描かれていますが、どちらかと言うと、15周年を迎えてなお若さを保ち続けていることにびっくりしますね。

「音楽は年をとらないんです。自分たちが高校生の時に聴いていた音楽は、いつまで経っても心の中で輝いている。その生き生きした感じを、いつまで持ち続けていけるかが、今後のミュージシャンとしての課題でもありますね。ひょっとしたら、それがGLAYのオリジナリティなのかもしれないなって最近感じるんです。自分たちにしかできない音楽を突き詰めていくと、若々しさとか、自分たちの初期衝動そのままの音楽性に戻っていく気がするんです」

──タイトルにもあるように、「夢」というテーマも織り込まれています。GLAYにとって、夢とは既にかなえてしまったものなんでしょうか？

「例えば、憧れのミュージシャンがいますよね。たまにメンバー間で話すんですが、CDのセールスやライブ会場の大きさではその人たちを超えられるかもしれないけど、心の中の存在としては一生超えることができないと思うんです。だから、自分たちもそうやって憧れられる存在になるというのが、夢の最終段階なのかもしれません。60代、70代になって振り返った時、GLAYを聴いてミュージシャンになったという子がステージにたくさん立っている。そう考えると、夢に終わりはない気がするんです」

── 一方で、GLAYはもう夢を与える側に立ってしまっているとも言えますよね。

「一番象徴的な言葉は’07年のLOVE IS BEAUTIFULツアーの時のMCでしょうね。『みんなが夢を見てくれることが、自分たちの夢です』という言葉がふいに出たんです。それで、これからはそういう思いで活動していくんだって自覚したんですね。自分たちは夢を見ることで人生を楽しむことができたので、同じように夢に向かっている人の背中を、音楽の力でちょっと押してあげることができたらいいなって。20代までは、音楽の力で何かを救えたらいいなって真剣に考えていましたけど、今は何かを救うというより、寄り添ってあげたいという気持ちに近いでしょうね」

──なぜ、そのような心境に変わっていったんですか？

「やっぱり全国をツアーで回ってみんなの笑顔を見たら、心を動かされるんです。音楽というのはコール＆レスポンスで、返ってくるものがあるからこそ、ステージに立っていられる。みんなが楽しんでいる姿を見ると、この子たちの笑顔を守ってあげたいという気持ちにもなるんです。音楽を続けるということは、そういう関係性の上で、ファンの人たちといい付き合いをしていくことだと思います」