@ぴあTOP > インタビュー > The Birthday
すでにライブで披露され名ラブソングと名高いシングル『涙がこぼれそう』に続き、ニュー・アルバムを完成させたThe Birthday。 '05年の結成以来、作品ごとにバンド感を高めている彼らから、リリース・ラッシュの'08年を締め括るアルバムとして届いた本作は、ロックであり、ロックンロールであった――。
Text●長谷川誠 Photo●岩佐篤樹
冒頭の数10秒を聴いただけで、とてつもないアルバムだと確信してしまった。The Birthdayの3rdアルバム『NIGHT ON FOOL』のことだ。1曲目でいきなり頭の中のネジが吹っ飛んだ。この状態こそがまさしくフール! なんとイカれた、そしてイカしたロックンロール・アルバムなのだろうか。全曲、聴き終わった瞬間に圧倒的な開放感に包まれた。サウンドはシンプル。徹底的に削ぎ落とされている。なのに、みずみずしくて、表情豊かで、深みがある。そしてリアルでスリリングなロックとしても成立している。日本のロック・シーンの未来は彼らの手に委ねられている。
――アルバムを作るにあたって、目指す方向性のようなものはあったんですか? それとも純粋に1曲1曲、集中して作っていって、それをまとめていくやり方だったんですか?
チバ「完全に後者。どんなアルバムを作るとかは何も考えてなかった」
――アルバムの制作はいつから?
クハラ「武道館(2008年1月12日)の翌々日くらいからスタジオに入って、曲作りを始めて、しっかりレコーディング・スタジオに入ったのは春くらいですね。それから何度かに分けて、録っていきました」
――アルバム制作にあたって、どんな意識でのぞんだのですか?
ヒライ「個人的には、バンドの一体感を出したいっていうことですね。2ndアルバムではやりたいようにやらしてもらったんですけど、今回はより自然に聴こえる演奏をしたかった」
――どうしてそう思ったんですか?
ヒライ「あくまでも歌がメインだと思っているからですね。なんかおもしろいことをやってるぞってことではなくて、初めからこの曲にはこういうフレーズがついていたと感じるくらい、自然にやりたいなって」
――確かに、バンドのアンサンブルも有機的だし、グルーヴもすごいことになっているなと思いました。
クハラ「結局、出てくる曲に対して、正直に反応するのが大事だと思うんですよ。余計なことは考えず、その曲になりきるという」
――なりきるというと?
クハラ「自分がその曲から受ける風景や感触をしっかりイメージして、演奏していくということですね」
――イマイさんはどうですか?
イマイ「いつも変わらないんだけど、その時に録っている感じを重視することかな。演奏しているのはもちろん自分なんだけど、自分になりたくないみたいなところはあった」
――自分がどう演奏したいかということよりも、曲がこういう演奏を要求しているということを優先するということですか?
イマイ「そんな感じかな。それと、自分にできることで、やれと言われていることをより自然にやっていけるようになりたいとは思っていた」
――チバさんはどんな気持ちで?
チバ「全然覚えていない(笑)」
