@ぴあTOP > インタビュー > 伊藤みき(スキー・モーグル/バンクーバー冬季五輪代表)

力をつけた状態で挑めば(上村)愛子さんにも負けない

伊藤みき

――ではもう一度冷静に世界を見ると、自分の位置というのはどのくらいだと思いますか。

「毎回コースが違うし滑る順番も違うから、誰が勝ってもおかしくない状況ではあるけど、冷静に見れば私の位置は世界で5〜6番くらいでしょうね。でも今は自分で正しいと選択したトレーニングをしているし、それがいずれは結果として返ってくると思うので……。その点でも今シーズンは、もう少し抜け出していけるかなと思っているんです」

――モーグルはアルペンスキーなどと違い、タイムだけではなく採点という面がありますね。その当たりでスッキリしない面はありますか。

「モヤモヤしたものはもちろんありますが、人間が評価することだし、好き嫌いもあるから。私が優勝したんじゃないかと思う試合で2位になっても、それが反対になることもあるだろうから、そういう試合があってもいいと思うんです。それも含めて採点競技ですから」

――モヤモヤした部分があったとしても、モーグルという競技の魅力の方が勝るということですか。

「そうですね。ジャッジが点数を決めるけど、私の中では周りの人たちと一緒に作品を作るみたいな気持ちがあるんです。私が滑る30秒間、すべての人たちが私の滑りに目を向けてくれるというのは、何かが生まれる時間のような気がするんです。大きな大会になればなるほどより多くの人が関わってくるし。そういうエネルギーがいっぱい集まれば、これまでにはないような、ものすごい作品ができるような気がするんです」

――五輪会場のサイプレスは第1エアーと第2エアーの間が長くて、なおかつなだらかなコースですが、何か対策はありますか。

「第1ジャンプと第2ジャンプの間が長くてターンのテクニックを披露する時間が長いというのは、スキー技術が高いと言われているジャパンチームにとっては有利だと思います。今のまま変わらずにスキー技術をしっかりと身につけていき、そのレベルをより高いものにした状態で入れば、怖いものは何もないかなと思います」

――じゃあ、ズバリ、バンクーバーの目標はどういうものですか。

「もちろん出るからにはメダルを欲しいと思うけど、まずは公式練習をしっかりやって、予選の1本をいい集中で滑る。また決勝前の練習を頑張って、最後の1本もいい集中でしっかり滑り、いいガッツポーズをするだけですね。メダルのことはそのあとで考えようと思っています」

伊藤みき

――どんな滑りができれば満足できそうですか。

「正直、今やっている技術の半分でもできれば大満足すると思うんです。というのも1本ずつ雪は違うし、コブの状態もエアー台も違うから。もしかしたら前の人のラインができてグチャグチャになっているかもしれないし。もちろんパーフェクトにできるだけの力を持っていなければ話にはならないけど、そのすべてを大会で出せるわけではないのもこの競技だと思うんです」

――2回目の大舞台ですが、五輪というものに対する気持ちは変わっていますか。

「もちろん五輪は4年に一度の特別な大会だけど、私は『それに人生を賭けよう』とまでは考えていないんです。それよりは、せっかく4年に一度、世界中の人に見てもらえる大きなチャンスだと思うから、『そこで一番状態の良い自分を見せたい』という気持ちの方が強いですね」

――伊藤みきというスキーヤーが、この4年間でどれだけ成長したかを披露する大会でもあるということですね。

「そうです、そこを見てもらいたいし、それを表現したいですね。だからバンクーバーでどういう演技ができるかを、今から楽しみにしているんです」

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PROFILE

伊藤みき

いとう・みき
1987年7月20日、滋賀県生まれ。中京大所属。姉・あづさ、妹・さつきとモーグル3姉妹としてその名を馳せる。'06年、高校生ながらトリノ五輪出場を果たし、20位となる。『W杯』の初表彰台、『世界選手権』2位、『全日本選手権』初優勝を昨季達成し、世界のトップ選手の仲間入りを果たす。バンクーバー五輪日本代表に内定している。
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