●もう2時間近く歩いたでしょうか。
完全に道に迷いました。

ネパールは、地図を見ながら歩いてもよくわかりません。 何度も、何度も聞きながら、 3時間近く経ってようやくネパール最大のヒンドゥー教寺院・パシュパティナートに着きました。

入口を通ると青年が話し掛けてきました。 ネパールではどこでもガイドと称する人たちが話し掛けてきます。 「こっちからよく見えるよ」という場所に案内してくれましたが、ガイドは必要ないので断わりました。

案内された所から下を見下ろすと、4つの石台があり、そのうちひとつはもうすでに、かなり焼けており、 もうひとつはまだ生木が組まれ、その横の階段には鮮やかなオレンジ色の布で包まれた身体がありました。 そう、ここは火葬場なのです。

聖なる川ガンガーに通じるというこの川は、水が少なく、川幅の半分位しかありません。 深さも足首ほどのようです。

下では、喪主であろう家族が、頭のてっぺんだけ毛を残し、丸坊主に剃られています。 そして、これから焼く遺体の顔の布を取り、川の水をかけました。家族が身体を持ち上げ、 階段から火葬台の上へ運びます。その時、左の手がだらりと垂れ下がりました。

火葬台のまわりを3回まわり、遺体は木の上へ置かれます。喪主に火が渡され、3回まわって、 首のあたりへ火を置きました。上から藁がかけられ、さらに焼人によって火がかけられます。

煙から炎となり、ジュージューと水分が焼ける音がします。 時折、パーン!というはじける音。煙が、灰が、風にのってこちらへ流れてきます。 やわらかい匂いがします。

隣では、焼け残った内臓らしき物体を、さらに良く焼けるように竹でたたき、火の中へ戻します。

しばらくして、火の中から塊を取り出し、喪主に渡しました。 それを白い布でくるみ、川の中ほどに埋めています。残った灰は川に流されました。 身体に遺体が焼ける煙をいっぱい浴びながら、しばらく見ていました。

少し上の方へ歩いて行こうと思い、立ち上がって歩くと、なかなかカッコイ、サドゥーがいました。 写真を撮らせてもらうと、「20ルピー」と言われました。

さらに歩くと、座っているサドゥーが「こっちへ来い」と手招きします。 近づくと、おでこに赤い粉と花をつけられました。 「写真を撮れ」というので、「だってお金払えって言うじゃない」と言ってその場を離れました。

上で少し休み、また火葬場へ下りて行くと人垣ができていました。また新たに2体焼かれるようです。

1体が焼かれ、もう1体も川の水で顔が清められました。 何人かが近づいたので、それにつられて見に行くと若い青年でした。 今度は顔を再び布でくるまずに木の上に置かれました。

青年の同級生でしょうか、次々と川の水を顔にかけていきます。 そして火がともされました。川の対岸に移り、座って見ていました。

かなり焼けたのですが、両足が肌色に残っています。焼人が、竹で足を折り曲げ、火の中へ入れました。 川の中では、犬がうんこをしています。

夕方になり、帰ろうと歩き出すと、タンカに乗せられたオレンジ色の小さい布が運ばれてきました。 子どもなのでしょう。

焼ける様子を写真に撮る自分、欧米人旅行者たち…。
興味本位か、ハイエナのようなものか…。

うえぽん

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ううー。焼ける様子が目に浮かび上がってきます。写真を見せてもらいたいような、そうでないような…。

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