オリジナル描画システム「CANVAS」(キャンバス)による「手描きイラスト」が動くグラフィック表現により独自の世界観が確立された。
「僕も『イノセンス』という映画でその時期のCG映像の限界を確かめてきた人間だから言えるけど、映像的な観点から言えば、あれ以上のものは作れない。そして、今年公開される『スカイクロラ』という映画では、二次元の表現と三次元のCG映像のマッチングをもう一度、問い直す作業を続けている。映画の世界で言えば、豪華なCGの三次元映像でぜんぶ作っちゃったほうがよっぽどラク。三次元を経由してどう二次元に落とし込めるかというのが、今の僕らに突きつけられた永遠のテーマでもある。そういう意味で、このゲームには僕らがやっていることと同じ意志を感じるね。はっきり言って、すごく大変な作業だったと思う。ムービーパートの爆発シーンなどでマンガのような文字による擬音表現が組み込まれているのには、やられたなって思った。そこまでやっちゃうのかって」
 さらに押井氏は、こうした映像表現によるゲームが生みだされると、アニメーション映画の優位性というものが今後少なくなっていく可能性までを指摘する。
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このゲームには僕らがやっていることと 同じ意志を感じるね
 あの『サクラ大戦』のスタッフが放つ、まったく新しいシミュレーションRPG『戦場のヴァルキュリア』がセガから4月24日に発売される。その最大の特徴は従来のCGっぽさを排除した水彩画のようなグラフィックだろう。PS3という現在最高のグラフィック描写力を持つゲーム機用に開発されたゲームの中で、この映像はきわめて異質だ。
「現在主流のいかにもCGっぽい豪華な映像より、こっちの映像の方が現在のアニメファンには感情移入しやすいよね」。世界的なアニメーション監督であり、この夏に新作『スカイクロラ』の公開を控えた押井守氏は、『戦場のヴァルキュリア』の映像を見て、そんな感想を漏らす。
このゲームには僕らがやっていることと同じ意志を感じるね たぶん、アニメはこういう形式にはかなわない
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