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愛の流刑地のワンシーン
(C)2007『愛の流刑地』製作委員会
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愛の流刑地/試写会の感想
試写会の感想 「愛の流刑地」公式サイトへ

■Intro

日本経済新聞で連載時から話題となっていた渡辺淳一原作『愛の流刑地』が豊川悦司、寺島しのぶ主演で映画化。旬を過ぎた小説家と人妻が出会い、激しく愛し合った末に、男は彼女の望みのまま絞殺する。愛しすぎて殺した人間を、人は裁くことができるのか?原作は「愛ルケ」の愛称で社会人を中心に読まれ、その過激な性描写や衝撃的な結末に話題騒然となった。

■Story

愛の流刑地のワンシーンマンションの一室で情事にふける1組の男女。そして「私を愛しているなら殺して」という冬香(寺島)の声に誘われるまま、女の首に手をかける菊治(豊川悦司)。そして冬香は息絶え、菊治は殺人犯として逮捕される。痴情の果ての殺人としてしか判断しない警察や検事に取り調べられながら、菊治は彼女との出会いから過ごした日々、愛し合った瞬間を思い出していく。「愛しているから殺した」と話す菊治に戸惑いながらも検事の織部(長谷川京子)は、次第に冬香の気持ちに共感をし始める。そして多くの好奇な目にさらされながら裁判が始まる。愛した女性を手にかけた菊治に下した冬香の本当の罰とは何か。

■Review

本作は、今まで秘められていた女性の無限の愛と果てしない欲望を映像という光の下に晒らした作品である。

愛の流刑地のワンシーン「愛しているなら殺して...」
一度でも本気の恋愛をしたことのある女性なら実はこの想いを理解できるものだと思う。それは破滅でもなく、自分に酔った言葉でもない。この幸せな瞬間を永遠に留めたい、2度と愛する人を離したくない! そう願う女性の心の奥底からの欲張りな願いだから…。しかし激しく愛し合った後で急に熱が冷めてしまうような男性諸氏には、いつまでも抱き合っていたい、繋がっていたいという女性の願望などなかなか理解できないだろう。だからこそ冬香を羨ましいと思えるのは、それを理解する男性と出会えたことなのだ。身体のすみずみまで愛され、何度も天に昇る感情を覚え、しかも心まで深く愛されたら、冬香の望みは“それ”の永遠的継続だけだろう。
おそらく冬香は世界でもっとも愛された被害者なのだ。

冬香演じる寺島しのぶは、女性が恋によって変化するすべての表情をこの作品で見せる。菊治と出会った頃の心だけ置き去りにしてきたかのような不安定な眼差しから、恋に落ち、セックスに目覚める嬉しさを醸し出した眼差しへ。さらに強烈な香りを放っているかのような色っぽさを全身に滲ませ、最後にはこの世の女性ではないような天女へと変化していく。

愛の流刑地のワンシーンそしてもうひとりの女性・長谷川京子演じる検事の織部。天女のような冬香と正反対の女夜叉のような存在である彼女もまた、永遠の愛を求めるひとりだ。仕事はクールにこなしているが、内面には恋焦がれる熱い女の性を持っている。劇中の「女には2種類あるの。“それ”(エクスタシー)を知っている女と知らない女」というセリフを用いるなら、姿・形は正反対の冬香と織部だが「“それ”を知っている女」という共通の部類ということになる。死んでしまった冬香の感情を具現化していくかのような織部の激しい愛憎シーンのエロティックさは、羨ましすぎるほどカッコ良く、美しい。

ラストに流れる平井堅の「哀歌(エレジー)」の歌詞は生々しく、かつ純愛と官能の世界がブランデーのように甘く、熱く心の中に流れ込む。女性の性や愛情の貪欲さが明らかにされた作品を観た男性諸氏が、どのように恋人を受け入れていくかにも興味がそそられる。そして女性は、身を滅ぼすような恋愛をしたいか、ボロボロになるような愛だけは避けて生きていきたいか、女の本当の幸せについて、否応なしに考えさせられる。

「本当に愛しているなら私を殺して」、あなたはそんな恋愛をしていますか?


感想のご紹介 「愛の流刑地」公式サイトへ
愛の流刑地のワンシーン

『愛の流刑地』
2007年1月13日(土)ロードショー
上映時間:2時間6分
R15指定
 

■Cast

豊川悦司:村尾菊治
寺島しのぶ:入江冬香
長谷川京子:織部美雪
陣内孝則:北岡文弥
仲村トオル:入江徹
富司純子:木村文江
津川雅彦:中瀬宏役

■Staff

監督:鶴橋康夫
原作:渡辺淳一
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