TOP > 今週のこの人 > 遠藤保仁(ガンバ大阪)

正確で高い技術と、卓越した戦術眼を兼ね備え、ガンバ大阪の中心人物、そして日本代表の心臓として、国内はもちろん、世界とも戦っている遠藤保仁。どんな状況においても飄々とした姿勢を崩さず、ガンバでプロ初のキャプテンに就任しても、チームメイト曰く、「キャプテンになる前と全く変わっていない」そうだ。あくまでも冷静沈着でマイペース。そんな彼がなぜ、ジーコ、オシム、岡田武史、現在のザッケローニと監督が変わり、代表メンバーの顔ぶれが変わっていく中で日本代表に名を連ね続けられているのか。プロで生き残るための考え、在り方を探ってみた。

――遠藤選手にとって初のJ2リーグ戦を戦っているわけですが、これまでJ1との違いを感じることはありますか?

「大きくは変わらないですよ。違いは地方の試合が増えるっていうくらいで。確かにプレーの質とかそういうのはJ1の方が高いでしょうけど、どのチームもしっかりと組織的に戦ってくるんで、この点は全然違うって感じることはないですね」

――以前、「成長したい気持ちがあれば、どこでも成長できる」と言っていましたが、J2というカテゴリーで何か成長できていると感じている部分はありますか?

「試合って90分しかないですし、それ以外の時間をいかに有効に使うかが大事だと思っています。試合で成長するのが一番いいと思いますけど、試合以外でもやるべきことはたくさんありますし、それ以外の部分でいかに意識を高く保ってやれるかだと思います。それを意識すればどこでも成長できると思っていますし、その意識が高いまま試合に臨めれば一番いい。J2であろうが成長できるとは思っていますね」

遠藤保仁(ガンバ大阪)

――なるほど。それにしても昨シーズンはガンバにとって苦しいもの(J1リーグ戦18チーム中17位)になりました。

「ああいう状況っていうのはここ最近のガンバにはなかったので。あれを経験したことで、チーム全体が勝つ難しさだったり、勝つ喜びっていうのを感じたいってすごく思ったと思います。J2降格は本当は経験したくない経験ですけど、こうなった以上はこの経験を次に繋げていかないと。『いい経験だった』とは言えないですけど、ゆくゆくはそう言えるようにみんなで活かしていきたいと思っています」

――今シーズンよりガンバの指揮を長谷川健太さんが執っています。

「監督が変わるとやり方も変わりますし、全ての面で勉強できると思っています。監督が変わるっていうのはいいことか悪いことかはわからないですけど、いい部分に変えていきたいと思うので。慣れれば、また慣れた時に考えればいいと思いますけど、ここまではしっかりと色んな練習をしているので、新鮮な練習が出来ているかなと思います」

――勉強と仰られましたが、キャリアを重ねている中でも新しく得られるものっていうのはやはりあるものですか?

「日々あるものだと思います。ただ単に練習するのと、何か意識を持ってやるのとでは大きな差がある。常に色んなものにチャレンジと言うか、色んなものの見方を変えていけば監督が誰であろうと学べると思います」

――そういう学びの姿勢があったからこそ、約10年にわたって日本代表に召集され続けているのでしょうか?

「それだけではないと思いますし……もちろん、運とか色々なものの積み重ねだと思うので一概には言えないですけど、プロでやっている以上は自分に跳ね返ってくるので、自分自身では特別なことをしているとは思わないですし、意識を高く持つのは正直当たり前のことだと思うので。自分の中ではやるべきことは最低限やらなきゃいけないかなと思ってプレーしています」

――小野伸二選手や稲本潤一選手、高原直泰選手ら黄金世代の中では、遠藤選手はブレイクまでに時間がかかったと言うか、遅咲きのイメージがあるのですが、現在では黄金世代唯一の代表戦士になっています。いまでも日本代表に名を連ねられているのは、何が理由だと思いますか?

「まず遅咲きとは思っていない。遅咲きだと30歳手前くらいで入るのが遅咲きだと思うので。僕自身は22歳から代表に入っていますし、代表に入る年齢ではちょうどいいくらいなので全然気にはしてないです。監督によってスタイルや選手選考の好みとか色々ありますが、自分自身のポジションっていうのはそんなに大きくスタイルに左右されないので、ポジション的な部分もここまでやってこられた一因だと思います。代表の監督は下手したら4年にひとり。その4年にひとりの監督に自分のスタイルを理解してもらって、自分が監督の考えるサッカーに適しているか適していないかを判断してもらうだけだと思います」

――全ての監督のサッカーに適応することは難しいことだとは思うのですが、それでもずっと代表で活躍していますよね。遠藤選手自身は監督に合わせてプレースタイルを何かしら変えていたりするのでしょうか?

「多少なりとも監督のやりたいサッカーっていうのは常に頭に入れてやっています。もちろん自分と監督のサッカー観が100%合うっていうことはあり得ない。時には自分が思っているようなサッカーとは違う時もありますけど、それはチームとして意思統一しなきゃいけない部分もありますし、時には自分を殺さなきゃいけない部分もあるので。それは別に悪いことじゃないと思いますし、その先にまた新しいものが見えたりする時もある。監督に合わせられる選手が一番賢い選手だと思うので、自分の良さを出しつつ監督が求めるプレーも考えてここまでやってきました」

――勝手なイメージではありますが、若い選手だと自分のプレーを押し通して、柔軟に対応して監督に合わせるのは難しいのでは……。

「いや、多分、逆でベテランの選手になればなるほど、自分のプレースタイルを変えたくないと思う。経験を積むことによってプレースタイルが確立されていくので。若い時には経験不足で監督が考えていることとは違うプレーをすることはありますけど、それは監督も理解していると思います。実際、自分自身もトルシエ監督の時は正反対のプレーをしていたし、自分が得意としているものをただピッチの上で出すだけでした。経験っていうのはベテランの選手にはあると思いますけど、歳を重ねるごとに柔軟に対応できる人もいれば、自分のプレーを押し通すっていうのは上の選手にありがちですけどね」

――押し通すのがいいのか、柔軟に対応するのがいいのか。どちらがいいとは言えないですよね?

「そうですね。その選手の一番いいものをピッチで出さないと意味がないと思うので。自分のプレースタイルを押し通すっていうことも時には必要ですし、監督の意向に添ったプレーをすることも大事なので。そのバランスは……とくにFWには必要なんじゃないかなと思います」

遠藤保仁(ガンバ大阪)

――そのバランス感覚以外に、トップでプレーし続けるために必要なことはなんでしょうか?

「まあ、僕自身はまだトップに立ったとは思わないので。まだまだ努力が足りないですし、努力していきたいなとは思うので。色んなところで色んなものを学んで自分のものにしていきたいと思いますし、まだまだ強くも上手くもなりたい。その気持ちを常に持ってこれからもやっていければいいなとは思います」

――その探究心、向上心はどこから来るものですか?

「この世界にいれば当然の話ですよ。明日クビだって言われるかもしれないですし、今年で終わりだって言われるかもしれない。そうなると自分が困るわけで。そういう危機感を持ってやれば、自然にもっとやらなければって思うでしょうし、自分の足りない部分を補いつつ、自分のいいところももっと伸ばしていきたいっていう風になると思います」

――と言うことは、危機感がないとプロとしては危険?

「結局、自分に返って来るので。来年収入がなくなったら自分が困るだけですし、自分自身が活躍すれば給料が5倍になる可能性もあるわけで。どっちがいいかって言ったら、お金をたくさんもらった方がいいですし、なおかつ活躍すれば日本代表に入って、さらに給料もステータスも上がるっていうのを考えればね。プロとして最低限持っておかないといけない意識だと思います」

――ちなみに、遠藤選手はプロになった頃から日本代表入りを思い描いていました?

「そうですね。入った当初から、活躍して、日本代表に選ばれて……と思い描いていましたし、いい車に乗りたいな〜とか、サッカーでご飯を食べていきたいな〜って思っていた。自分の身近にそういう方々がいたっていうのも自分にとってはいい環境でしたし、僕らを観ている子どもたちもJリーガーになったらああいう生活が出来るんだという、いい連鎖が生まれてくると思います」

――未来に繋ぐためにも、代表の活躍は必要不可欠です。

「ワールドカップとか予選とかでいい結果を残せば、国民の大半が注目するでしょうし、実際、南アフリカ大会では注目されました。ああいう大きな大会で結果を残すのは重要なことだと思う。W杯に行ける選手は23人しかいないですし、そこに入ることの方が難しいと思うので、23人に入るために何をしなきゃいけないかっていうことを考える選手が増えれば、もっと有意義になるんじゃないかなと思います」

――結果を出さなければ、あっという間にファンの関心は薄れていきますしね。

「注目されないよりは注目された方がいいですし、それによっていまの子どもたちがサッカーをやりたいと思っていると思うので。プレーヤーだけではなく、サッカーに関わる人全てが色んなことを学んでやっていかなきゃいけないとは思いますけど、目に見えて分かるものは日本代表の活躍だと思う。少しでもサッカーに注目してもらえるようにやっていければいいなと思います」

遠藤保仁(ガンバ大阪)

Text●金子裕希 Photo●長谷波ロビン

PROFILE

えんどう・やすひと 1980年、鹿児島県生まれ。ポジションMF。1998年、横浜フリューゲルスに入団しプロとしてのキャリアをスタートさせるが、クラブ消滅により1999年に京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)に移籍。2001年にガンバ大阪へ。類まれな戦術眼と高い技術でチームの主軸として活躍し、数々のタイトル獲得に貢献。2003年からJリーグベストイレブンに10年連続で選出される。今シーズンはプロ生活初のキャプテンに就任した。2002年11月にA代表デビュー。2006年ドイツワールドカップではフィールドプレイヤーで唯一出場なしの憂き目にあうが、以降、“日本の心臓”と称されるまでに。昨年10月には日本代表Aマッチ最多出場記録を更新した。


TICKET

ガンバ大阪 J2リーグ戦ホームゲーム

4月28日(日)16:00 vsガイナーレ鳥取
5月3日(金・祝)19:00 vsFC岐阜
5月19日(日)16:00 vsザスパクサツ群馬
6月1日(土)16:00 vs栃木SC
6月22日(土)18:00 vsファジアーノ岡山
6月29日(土)19:00 vs徳島ヴォルティス

万博記念競技場

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キリンチャレンジカップ2013

5月30日(木)19:20 日本代表vsブルガリア代表 豊田スタジアム


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2013.04.18更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
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  • 遠藤保仁(ガンバ大阪)
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  • 堀北真希
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  • 藤原竜也
    舞台で演じ続けてきた実体験を、 「人生の蓄積」と呼んで胸に刻む。若き天才の次なる挑戦とは…。

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