TOP > 今週のこの人 > トータス松本

――そうなんですか(笑)。

「もう、いっぱいできたもん。はまりやすい性格なんよ、おれ(笑)。おもろなってもうて、ずーっとやってた。曲出てくる出てくる。いつもだいたい、まずは歌詞とメロディを書くっていうのが自分の方法論やったから、バックトラックから作っていくっていうのが理解できへんかってんけど、まさにその方法で曲がどんどん出来てさ。気に入ったリズムパターンをバーッと貼って、ベースを入れていって、これやったら言いたいことはこういうことかなって曲の肉付けをしていって、まあ、そんな感じで狭い部屋にずっとこもってやってた」

――奥田民生さんがまさにその作業をライブでやってましたよね(※『ひとりカンタビレ』/2010年に行った実験的なツアーで、プロトゥールスを使って1曲をひとりでレコーディングする様子をライブで見せていき、出来上がった曲を即日配信するというもの)

「あれをおれにやれって言うんよ。おまえの『ひとりカンタビレ』をやれって。それをみんなでやろうって」

――(笑)。すごい! みんなでって。なんか矛盾してる。

「バカにされてん、おれ。5月2日に清志郎さんのイベント(※忌野清志郎の命日に武道館で行われた『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー』)があって、まあ同世代のミュージシャンも多かったから、そこでたまたまコンピューターの話になって、『PDFって何なん?』って訊いたらみんなに大笑いされて。おまえまだそこか、みたいな。みんなバカにするから、ちょっとじゃあプロトゥールスやってみるかってなってやり始めた。ざまあみろ、曲いっぱい作ったった (笑)!」

――でもたしかに意外ですね、トータスさんがプロトゥールスで曲を作るって。

「そうやろ。だからさっきのプロモーションの話じゃないけど、完全に自分でこれしかできへんって思ってしまってた。歌詞とメロディをガーッと書いて、それを弾き語りでテープにワーッと吹き込んで、いいも悪いもなく、これしかないって思いこんでた。あとの音はみんな(レコーディング時のミュージシャン)にも鳴ってると思ってたけど、そんなことないねんなー。でも、プロトゥールスで曲を作ってきちっとデモとして持っていくとミュージシャンの理解が早い。おれのやりたいことがすごく正確に伝わる」

――ある種、解放された感じ、みたいなものもあったんでしょうか? というのも、今回のアルバムに入ってるどの曲もとても素直な感じがして。ソウルがベースの曲も当然ありますし、一方でギターロックみたいなザクザクした曲もある。あるいは関西弁の曲とか。ルーツというとおおげさかもしれませんが、トータス松本を構成する音楽的な要素がそのまま詰まった作品だなという印象を受けました。

「ああ。解放されたというか、どうやろ。プロトゥルース用にギターを買ったり、ベースを練習したり、とにかく夢中になったっていう感じやね」

――その素直な部分というのが、じつにウルフルズっぽいノリとして現れてるんですよね。

「ウルフルズとの差がようやくなくなってきた、おれの中で」

――ここで融合しましたか。

「やっとした。やったらアカンと思ってたんやけどね。それこそ震災の後かな。それまで閑散としてたウルフルズのBBSに突然書き込みがあふれだして、『今こそウルフルズの「笑えれば」をやってください』みたいなさ。そしたらさすがにまわりがあせって、どうしましょうと。けどおれは、まあ待てと。今は震災直後でこういう状況やから沸き返ってるけど、とにかくしばらく静観しようって言った。それで考えたんやね。なんでこんなにみんながウルフルズウルフルズって言うんやろって。やっぱりみんなあんな状況の中で楽しいものを求めてるんやろうなって思った。だからウルフルズが求められるっていうのは、ウルフルズの音楽の根本に楽しくて笑えるもんとかサービス精神とかがあったからやろうと。そしたらおれのやるべき音楽って、やっぱりユーモアのある音楽なんやろうって確信するようになった。不思議な話、震災の起こるちょっと前にアルバムの制作をはじめたときにも、次のアルバムは三枚目やから三枚目≠ナ行こうってスタッフに言ってたんよ。今までちょっと二枚目でいきすぎたなと。特に1stはそうやった。だから関西弁もバリバリで無様なくらいのおれをさらけだそうと。だいたい、『河内のオッサンの唄』と『スモーキン・ブギ』で音楽に目覚めたような子供やったんやから」

――いくらカッコつけても。

「そうそう(笑)。『「河内のオッサンの唄」サイコーやな!』とか言うててんから。変わらへんよそこは、もう」

――さきほど、ソロの1stと2ndはちょっとカッコつけてたかなというお話がありましたが、ソロになってこれまでというのは、scrap&buildで言うところのscrapにあたるタームだったのかなと。そこを経てbuildしていくときにウルフルズのバカっぽさというか、楽しい感じを取り戻したというのはすごく自然ななりゆきだと思います。

「そうかもしれんね。前もってCDを配ったファンクラブの人の反応を見てると、『こういうの待ってた!』っていう人がけっこういて。べつにおれもこういうのやりたくなかったわけじゃないねんけど、何かがそうさせへんかった。けどそれは戻ったとか、そういう感じでもまったくなくて。だからお家芸%Iなそういうのでもなく、自分の中に自然にあるものというか、それをすっと、何のてらいもなくはじめて出せたのかな。だから『NEW FACE』ですよ。オッサンやけどニュー・フェイス(笑)。そんな感じがすごいするな」

Text●谷岡正浩(ぴあ)Photo●源賀津己

PROFILE

’92年、ウルフルズのボーカルとしてシングル『やぶれかぶれ』でデビュー。シングル『ガッツだぜ!!』が大ヒットを記録し、’96年にリリースした3枚目のアルバム『バンザイ』はミリオンヒットを記録した。そして’09年8月30日をもって、ウルフルズは一時活動休止を発表。’03年には初のソロカバー・アルバム『TRAVELLER』を発表しており、音楽活動はもちろん俳優としても映画「UDON」やNHK大河ドラマ「龍馬伝」などに出演するなど幅広くソロ活動を展開中。
オフィシャルホームページ


TICKET

『トータス松本 ツアー2012 "NEW FACE"』
⇒11月14日(水)福岡国際会議場
⇒11月16日(金)渋谷公会堂
⇒11月17日(土)渋谷公会堂
⇒11月21日(水)札幌市教育文化会館 大ホール
⇒11月24日(土)名古屋・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
⇒11月27日(火)神戸国際会館こくさいホール
⇒11月30日(金)サンポートホール高松
⇒12月6日(木)大阪 オリックス劇場

公演・チケット情報



RELEASE

Album
『NEW FACE』
発売中
初回盤(2CD+DVD)
3800円
WPZL-30463/5
通常盤(2CD)
3150円
WPCL-11232/3
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2012.08.28更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
    小澤征爾も実力を認める注目の指揮者。クラシック音楽界が熱い視線を注ぐホープの“今”に迫る!
  • さまぁ〜ず
    2年ぶり、9回目の 『さまぁ〜ずライブ』開催。 稀代のコント芸人が、ライブにこだわり続けるそのワケは?
  • 遠藤保仁(ガンバ大阪)
    10年連続Jリーグベストイレブンにも、代表最多出場記録にも歩みを止めない。稀代のMFの飽くなき向上心に迫る
  • 堀北真希
    あくまでも、自然体。 2度目の舞台に挑戦する“国民的女優”の素顔
  • 藤原竜也
    舞台で演じ続けてきた実体験を、 「人生の蓄積」と呼んで胸に刻む。若き天才の次なる挑戦とは…。

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