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THE BACK HORN

人間とは何か、人間はいかに生きるべきかーーという命題を、衝動的でハード・エッジな音のカオス越しに突き詰め続けてきたTHE BACK HORN。前作『アサイラム』から約1年9ヵ月、6月6日にリリースされたニュー・アルバム『リヴスコール』は、そんなTHE BACK HORNが14年間鍛え上げてきた真摯な音楽世界の究極形であると同時に、時代を越えて広く長く聴き継がれ得るエバーグリーンな魅力とスケール感をも兼ね備えた名盤だ。昨年の震災直後に『世界中に花束を』を緊急配信するなど、この困難な時代と真っ向から対峙してきた彼ら。音楽の/ロックの存在意義を堂々と証明する、文字通り生命力のスコールのようなこのアルバムはいかにして生まれたのか? 山田将司&菅波栄純にじっくり訊いてみた。

――「音楽をやることの意味」をもう一度本当に突き詰めにいった作品だと思いました。「震災後の、日本全体がまだ大変な状況の今だから名盤として聴こえる」のではなくて、たとえ10年後20年後に聴いたとしても名盤として聴こえるアルバムだろうなと。

山田将司 嬉しいですね。

菅波栄純 震災があった時に、ちょっと無力感を感じたんですよね。音楽はお腹の足しにもなんねえし、何なんだろうな?って。でもやってくうちに……逆に言ったら、音楽って「形がないからいい」っていうところもあって。人と人の間をふわっとつなげるものだったりとか、形がないからそれぞれの思い入れとか、それぞれの人の記憶を呼び起こす装置になったりとか。そういう変幻自在なところが音楽の素晴らしさなのかなって思ってきて。そういう意味で今回のアルバムっていうのは、俺らにとってのメッセージをすごく込めたんですよ。やっぱり震災以降、命に対する想いとかも込めたんですけど……願わくばこの音楽が、人それぞれの思い出とか記憶に直結していくようなものであったら嬉しいなと思いますね。

――昨年3月の震災の後、3週間足らずで新曲『世界中に花束を』を発表していますが、おそらくその間、ものすごいスピードでいろんなことを考えられたんじゃないかと思うんですが?

菅波 結構『世界中に花束を』は、「出そう」ってなったのは早かったよね? わりと。

山田 早かったね。メンバー間も付き合いが長いから、意思疎通の早さは何よりも心強かったよね。「作ろう」って言って、次の日にはもう録ってたもんね。

菅波 さらに言えば、スタッフもずっと一緒なんで。「あ、できた? なら動いとくわ」っていう感じでどんどんやってくれて。

――前のアルバム『アサイラム』から次作へ向けてのビジョンが、震災前後で変わったりしたところはありますか?

山田 ああ、でも『アサイラム』出してツアー回って、曲作り入る時も「とりあえず何か出し合っとくか」みたいな感じで。まだバンド全体がどういう道に進もうっていうところまで行ってなかったもんね。

菅波 そうだよね。あ、でも、その時期が大事だったのかな? 『世界中に花束を』の元の歌詞と、(山田)将司が持ってきた元のメロディは、その時期に原型が生まれてたんで……でも、今回のアルバムはやっぱり「聴いてくれた人のエネルギーになるようなアルバムに、今まで以上にしたいなあ」っていう想いが、すごく高まってたので。自分たちの想いに応えられるようなクオリティのものにしよう、っていうような……技術的にも曲のクオリティ的にも上げようって、かなり自分たちにプレッシャーをかけてた部分はありましたね。

山田将司(vo)

山田将司(vo)

山田 『アサイラム』もほんと最高傑作で、そのツアーもすごく充実してたから。それを越えるものを作るポテンシャルはあって。でも、それが点在してる感じで、まとめに入るまでのところまではみんないってなくて。変な言い方だけど、震災をきっかけに、それをどんどんまとめに入るようになってきたんですよね。

菅波 その「まとめる」っていうのが、すごくパワーの必要なことだったりして。その時にゴウゴウと燃え上がった気持ちのパワーってものすごく強かったなあと思うんですよね。それがなかったら、やっぱりこれは作れなかったと思うんですよね。このジャケットの船じゃないけど……完成した姿はものすごい情報量なんですけど、作っていくのって、ほんと1個1個、地道に突き詰めてくわけなんで。想像しちゃうと途方もない道程なんですけど、それをやりきろうっていう気概も、今回は全員すごくあったし。でも、それはほんと、今までの積み重ねで。音楽を表現する上での技術とか、お互いを理解する力とかっていうのが、信頼感っていう形で高まってるのを感じてたから。「俺たち4人だったらこのアルバムを作れるはずだ」っていう確信があったから。あとはひたすら1つ1つやっていった感じですね。

――曲の方向性的には、これまでのアルバム以上に振り幅が広い作品で。荘厳なロック・シンフォニーのような佇まいの『トロイメライ』で始まって、ハード・エッジな『シリウス』に雪崩れ込んだかと思えば、『超常現象』『反撃の世代』みたいな時代に拳突きつける楽曲もあり、『世界中に花束を』でフィナーレでも不思議ではないところに、最後に『ミュージック』という雄大な曲があって……っていう全体像を見ていると、本当に1つ1つの曲を突き詰めることに全身全霊を傾けていったんだなあというのが伝わってきます。

菅波 そうっすね。まさに今挙げてくれたあたりの曲に、4人それぞれ力を発揮した部分がはっきり出ていて。(岡峰)光舟が『トロイメライ』の原型を持ってきてたりとか、『反撃の世代』『超常現象』とかは将司がメロディを持ってきてとか、『ミュージック』はマツ(松田晋二)で、『シリウス』が俺でとか……1人1人、ヌルいところがなかったと思うんですよね。自分のやるべきことから目をそらしてなかったのかなって。だから、1個1個のパーツがすでにピカピカしてたっていうか。

――『シリウス』あたりの曲は「THE BACK HORNとして磨き上げてきたもの」の究極形だと思うんですが、特に『トロイメライ』『ミュージック』は、まっさらなところから出てきた曲ですよね。

菅波 確かに。『ミュージック』のあの曲調とか……あれは将司がメロディを持ってきたんですけど、THE BACK HORNにありそうでなかったよね?

山田 うん。流れ的なものは何も意識しねえで作ってたからな。『トロイメライ』もそんな感じするよね。単純に、強い想いだけを肥やしにして咲いた花、っていうか。場所を選ばずしてポッと咲いた感じがする。

菅波 さっきの、『世界中に花束を』の原型が震災前にあった、っていう話もそうだし、何気ない日常にふと思ったこととかって、すごく強いんだな、って思ったりして。常に逆境の中で音楽を作んなきゃいけない、っていうわけでもなくて。吹き荒れる風にばっかり目を向ける必要もなくて。何気ない日常をじっくり見ることで、結局はすごく大変な状況にも耐え得る普遍的な曲が作れるのかな、みたいなことを、みんなが持ってきたものとかを聴いて思って感動したりして……そういう雰囲気が入ってるのかな。日常の景色とかが入ってるから、10年後20年後に聴いても、また新たな発見がある気はしますね。

――最初の頃、フジロックのルーキー・ステージ(Levi's New Stage/現在のROOKIE A GO-GO)に出てた頃(99年)の佇まいは「逆境に立ち向かっていく感」バリバリでしたからね。

山田・菅波 (笑)。

菅波 こないだ写真見たらさ、マツとかすごかったよね?

山田 白髪にバンダナ巻いてた(笑)。赤いハーパンはいて。

菅波 肉食だったよねえ(笑)。

――そういう、逆境に対抗していくからこそ生まれる名曲もあったし、今回のアルバムにもそれはあるんですけど、それとは違う方向に対してのアンテナが特に伸びてる気がしますね。

山田 自分たちで説明するのは難しいんですけどね。でも、「前と違う」っていうんじゃなくて、前よりももっと削ぎ落とされた感覚にはたぶんなってたはずだから。「優しい曲」というよりは「削ぎ落とした曲」っていうイメージっていうか。それだけ強い想いが、俺らの中にもあったんですね。

――そう。「今までになかった方向性を試してみました」じゃなくて、「本当に大切なもの」以外を極限まで削ぎ落とした結果として生まれた曲だと思うんですよね。

菅波 そうかもしれないですね。そういうタフなものにしよう、っていうのは絶対あったと思うんですよね。あと、それプラス、シンプルに「今までよりエンターテインメント性の高いものにしたい」っていう欲もしっかりあったのかなって。両方あったのがよかったなっていう気がしますね。

Text●高橋智樹 

PROFILE

メンバーは、山田将司(vo)、菅波栄純(g)、岡峰光舟(b)、松田晋二(ds)。1998年結成。2001年シングル『サニー』をメジャーリリース。近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立し、スペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数ヵ国で作品をリリースし海外にも進出。2012年3月7日には、激動の2011年精力的に行ってきた楽曲制作の中から生まれ出た渾身の楽曲『シリウス』を、6月6日に9thアルバム『リヴスコール』をリリース。この夏は、「FUJI ROCK FESTIVAL ‘12」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012」他、夏フェスにも多数出演する。

オフィシャルホームページ


TICKET

「KYO−MEI ツアー」〜リヴスコール〜
9月 7日(金) Zepp DiverCity(TOKYO)
9月11日(火) 米子AZTiC laughs
9月12日(水) 岡山PEPPERLAND
9月14日(金) 鹿児島CAPARVO HALL
9月16日(日) 熊本Django
9月17日(月) 大分CLUB SPOT
9月25日(火) 甲府CONVICTION
9月27日(木) 京都磔磔
9月29日(土) 金沢EIGHT HALL
9月30日(日) 富山MAIRO
10月4日(木) 青森Quarter
10月8日(月) 小樽GOLD STONE
10月10日(水) 釧路 clubGREEN
10月12日(金) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
10月13日(土) 郡山HIP SHOT JAPAN
10月18日(木) いわきclub SONIC
10月20日(土) 新潟LOTS
10月21日(日) 長野CLUB JUNK BOX
11月02日(金) Zepp Nagoya
11月08日(木) 高松DIME
11月10日(土) 松山SALON KITTY
11月11日(日) 高知X-pt.
11月15日(木) 神戸Varit
11月17日(土) 広島クラブクアトロ
11月18日(日) Zepp Fukuoka
11月23日(金) 旭川CASINO DRIVE
11月24日(土) Zepp Sapporo
11月30日(金) 浜松窓枠
12月 2日(日) Zepp Namba(OSAKA)
12月 8日(土) 台湾 THE WALL
12月12日(水) 仙台Rensa
12月15日(土) 韓国 ROLLING HALL
12月19日(水) 水戸LIGHT HOUSE
12月23日(日) 沖縄 桜坂セントラル
2013年
1月 6日(日) 日本武道館

公演・チケット情報



EVENT LIVE
「POLYONSEN 2012〜テルマエ・ロマンと人間風呂グラム♨〜」
6月29日(金) なんばHatch
「(LOVE IS LIKE A)SUMMERTIME BLUES The Circuit」
7月12日(木) 赤坂BLITZ
「KESEN ROCK FESTIVAL ‘12」
7月22日(日) 種山々原森林公園 種山々原イベント広場
「FUJI ROCK FESTIVAL ‘12」
7月27日(金) 湯沢町苗場スキー場
「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」
石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
「MONSTER bash 2012」
8月26日(日) 国営讃岐まんのう公園内 芝生広場

公演・チケット情報



RELEASE

NEW ALBUM
『リヴスコール』
6月6日(水)リリース
SPEEDSTAR RECORDS
VIZL-474(初回限定盤)
VICL-63876(通常盤)
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2012.06.12更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
    小澤征爾も実力を認める注目の指揮者。クラシック音楽界が熱い視線を注ぐホープの“今”に迫る!
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    2年ぶり、9回目の 『さまぁ〜ずライブ』開催。 稀代のコント芸人が、ライブにこだわり続けるそのワケは?
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    10年連続Jリーグベストイレブンにも、代表最多出場記録にも歩みを止めない。稀代のMFの飽くなき向上心に迫る
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    あくまでも、自然体。 2度目の舞台に挑戦する“国民的女優”の素顔
  • 藤原竜也
    舞台で演じ続けてきた実体験を、 「人生の蓄積」と呼んで胸に刻む。若き天才の次なる挑戦とは…。

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