TOP > 今週のこの人 > 高橋優

 今日思ったこと、今日目の前にしていることを、今日歌う。そんな自らのスタンスをそっくりそのままタイトルにした、1stフルアルバム『リアルタイム・シンガーソングライター』を昨年春にリリースしたシンガー・ソングライター、高橋優。ラジオチャートで邦楽1位を記録した「福笑い」、オリコン初登場9位を記録した『卒業』など、次々と秀逸なバラード・シングルを発表し、多くの悩める世代の共感と賞賛を集めてきた彼が、3月14日(水)に待望の2ndアルバム『この声』を発表。意味深な今回のタイトルは、札幌で路上ライブをやっていた頃、自己紹介曲として演奏していた彼自身の原点ともいえる楽曲が由来。優しくて泣けるだけじゃない、怒りや焦りや小さな笑いも救いとり、歌い奏でるリアルタイムな歌い手、高橋優。すでにアルバムからの楽曲「セピア」が今春のドラマの主題歌にも決定。ますます話題の的になること必至の新作に込めた思いを語る。

――まずは『この声』というアルバム・タイトルが気になりますよね。

「8曲目の「この声」がもとになってるんですけど、路上ライブしてたときにいつも1曲目に歌ってた曲なんですよ。内容も選手宣誓みたいな感じで、これからこの声で歌を歌いたいっていう思いを自己紹介がわりに歌ってるんですけど、まさかアルバム・タイトルにまでなるほど大役を担う曲になるとは思ってなかったんですけどね。今回2枚目のアルバムですけど、この声が高橋優ですっていう、初めて聴いて頂く方にあらためて自己紹介になればいいなっていう思いをこめて、このタイトルにしました」

――ちなみに高橋さん自身は自分の声をどんな風にとらえているんですか?

「28年間この声で生活してるから慣れちゃったとこもあるかもしれないですけど、歌い方や声質が特徴的なわけでもないですし、天から授かった唯一無二の声、みたいなものではないと思います。もし僕の声をホメてもらえるなら、そう言ってくれるあなたの声にも同じような魅力が備わってますよ、と思ってます。ほら、カリスマとか、背中から羽根が生えてきた、みたいな表現でもって、ミュージシャンとかアーティストを褒め称える兆候ってある気がするんですけど、僕もミュージシャンとかアーティストとかって呼んでもらえるのは嬉しいんですけど、自分はそれほど特別な存在じゃないと思ってます。だから曲を書くときでもライブをするときでも、誰かの代表みたいな感じとか、一方的に投げかけるようなことは全然やりたくないんです。どちらかというと、表現者というよりリスナーの視点に近いんじゃないかなって自分では思うんですね。とかいいつつ、ちょっと気取ってみたときに、”あいつ今気取ってるぜ”って笑われてる感じでいいかなって(笑)。とにかく聞いてくださる方たちとすごく近いところにいたいんですよね」

高橋優

高橋優

――昔からそういうスタンスなんですか?

「そうですね。むしろ、自分以外の周りの人があまりにも幸せそうに見えるというか、自分を下に見過ぎる被害者意識みたいなところが強かった気がするんです。何かにつけてみんなの方が優れてて、みんなの意見の方が正しいというか。とにかく、自分に対する劣等感みたいなものが強かったので、何かしら自分を証明するものがずっとほしくて。足が早いとか話がうまいとか、とにかくカッコいいとかカワイイとか、みんな何かひとつは得意技があるのに、自分には何にもないなって。でも歌を歌ったり、作った曲をホメてもらえたりする時だけはその寂しさから解放されたから、自分は音楽をやってることで、ようやくみんなと同じ場所に立てるのかなって気持ちになったんですよね。今はもう、みんな対等だといいつつも、いろんなデコボコがある中で、みんながつまづいたりしてる人間模様もありだなって思うし。だんだん価値観っていうのは変わってきてますけどね」

――『この声』には、そうやって変化しつつある高橋さんの等身大の言葉や感情がいろんな曲調とともに詰まっているわけですが、一人暮らしの男性のリアルな心情や姿が描かれた1枚でもありますよね。

「はい。このアルバムには<一人ゾーン>というのがありまして。「一人暮らし」で一人暮らしの寂しさやあれやこれやを歌い、だけど一人暮らし最高!みたいな曲順になってます(笑)」

――かと思えば、「あなたとだから歩める道」や「絶頂は今」では、ついに身を固める時期に来たかのような心情が描かれていたりもしますけど。

「いやいやいや! 「一人暮らし」でもそこら辺のことを書きましたけど、”結婚しました〜”っていうお知らせメールとかが送られてくるんですよね、人の気も知らないで(笑)。人の幸せって祝わなきゃいけないルールじゃないですか(一同爆笑)。でも喜べない日もあるじゃないですか。あの感覚ってすごい不思議なもんで。周りが幸せになっているのにも関わらず、自分は置いてけぼり食らったようで寂しい、みたいに孤独感に苛まれてしまうときがあるっていうか。7割ぐらいはおめでとうって思ってるけど、残りの3割ぐらいで、自分はこれでいいのかって思ってたりして、人の幸せを100%の気持ちで祝ってない。僕はとくにそういう経験が多くて。周りを見てるともっと上手に生きてる気がするんですよ。そう思うことが歳を重ねる毎に増えてる気がするので、これからもっと増えるのかなって思いつつも、身を固める予定はありません(笑)」

――残念なお知らせでした(笑)。だけどまさにそういう、誰もがなにげなくやり過ごしたり蓋をしている感情を見過ごさず歌にするところが、高橋優というシンガー・ソングライターの最大の武器なんだと思います。

「例えば、大きなショックって忘れないじゃないですか。でも友だちから、”3650gでした”っていう画像付きのメールが送られてきて、おめでとうって返信してるっていう、ごくありふれた景色なんですけど、そこになんかこう、見逃してしまいがちな不思議な感情があるっていうか。そういう小さな悲しみとか喜びとか、恥ずかしい気持ちとかを見つけたときに、出来るだけメモっておくんですよね、忘れないように。なんで今恥ずかしいとか悲しいって思ったんだろうってことを突き詰めていくと、自分が経験してないからねたましいんだなとか、いつも3分磨く歯を今日は1分しか磨いてないからだなとか、すごくくだらないことだったりするんですよ。そういうささいなところに人の幸せや喜びの原因が隠れてるんじゃないかなっていつも思っていて。それを曲にしてみるんですよね」

Text●早川加奈子

PROFILE

'83年12月26日生まれ。秋田県横手市出身。'09年7月初の全国流通盤「僕らの平成ロックンロール」を発表。'10年7月にシングル「素晴らしき日常」でメジャー・デビューを果たす。シングル「卒業」は、オリコン初登場9位を記録するなど、今、話題のシンガーソングライターである。
■オフィシャルホームページ■


TICKET

「高橋優全国ツアー〜この声って誰?高橋優じゃなぁい?2012」

▲5月25日(金) 札幌市教育文化会館 大ホール
▲5月30日(水) 神奈川県民ホール
▲6月3日 (日) 福岡国際会議場 メインホール
▲6月8日 (金) 大阪 オリックス劇場
▲6月9日 (土) 広島アステールプラザ 大ホール
▲6月16日(土) 仙台市民会館 大ホール
▲6月17日(日) 横手市民会館
▲6月24日(日) 名古屋市公会堂
▲7月1日 (日) 渋谷公会堂

公演・チケット情報



RELEASE

Album
初回限定盤
『この声』
3月14日(水)リリース
3500円
ワーナーミュージック・ジャパン
WPZL-30360/1
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通常盤
『この声』
3月14日(水)リリース
3150円
WPCL-11049
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2012.03.13更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
    小澤征爾も実力を認める注目の指揮者。クラシック音楽界が熱い視線を注ぐホープの“今”に迫る!
  • さまぁ〜ず
    2年ぶり、9回目の 『さまぁ〜ずライブ』開催。 稀代のコント芸人が、ライブにこだわり続けるそのワケは?
  • 遠藤保仁(ガンバ大阪)
    10年連続Jリーグベストイレブンにも、代表最多出場記録にも歩みを止めない。稀代のMFの飽くなき向上心に迫る
  • 堀北真希
    あくまでも、自然体。 2度目の舞台に挑戦する“国民的女優”の素顔
  • 藤原竜也
    舞台で演じ続けてきた実体験を、 「人生の蓄積」と呼んで胸に刻む。若き天才の次なる挑戦とは…。

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