TOP > 今週のこの人 > Superfly

ライブパフォーマンスに定評のあるSuperflyが、ステージ感覚あふれるオリジナルアルバムを作り上げた。通算4枚目となる『Force』は、本人が「初期衝動を大切にした」と話す通り、ロックの原初的なパワーがみなぎる一枚に仕上がった。歌詞の面ではパーソナルで生々しいフレーズを随所に散りばめ、ジャンプナンバーからバラードまで情熱的に歌い上げている。昨年の全国ツアー中に生まれた創作アイデアが、紆余曲折を経て完成するまでの道のりを、越智志帆がじっくりと語ってくれた。

――4htアルバム『Force』は、非常に力のある作品です。演奏に熱気が感じられて、初回盤のライブバージョンと合わせて聴くと、今のSuperflyの全体像が見えてくる。そもそも、どんな経緯で制作が始まったんですか。

「今年にアルバムを出すことは決まっていて、ただこれまでどおり普通に作るのではなくて、もっと刺激的で面白いものを作ろうと考えたんです。そんななかで、ジョギングしているときにふと“ライブアルバムを作ろう”とひらめいて。しかも、新曲だらけだったらすごく刺激的な作品になるし、これこそロックアルバムだ!と思って、去年の11月くらいに多保(孝一)くんに相談して、動き始めました」

――制作のスタイルを変えてみたいと思ったのは、なぜでしょうか。

「スタイルを変えよう、というよりも、とにかく新曲ライブがやりたかったんだと思います。去年はずっとツアーを回り、大きい会場でライブもさせてもらって。代表曲のようなものもポツポツできてきて、セットリストのそういう楽曲を入れていくと、お客さんが“ウワーッ”と盛り上がってくれるんですよね。その光景はとてもうれしいものでもあり、同時に“自分が甘えているんじゃないか”という感覚もあったんです。みなさんが気に入ってくれている曲じゃなくて、新曲を歌ったときに、どれだけの人を感動させることができるのか、自分の伝える力が4年間でどれだけ備わってきたのか、ということを試してみたくなったんですよね。新曲をライブで届ける、というのがひとつの大きなテーマでした」

――シングル曲に頼らず、新曲にこだわって多くの人に届けるというのは、ハードルが高いことでもあると思います。

「そうですね。これまではシングルを何枚か出して、アルバムを作るのが自然でした。でも、今回はそうではなくて、アルバム自体を強いものにしたかったんです。先にシングルを出していると、どこかで帳尻を合わせるような感覚が必要になってくる。短期間で自分ができることがあるなら、こういうスタイルなのかなって」

――作品全体にライブ感という軸のある仕上がりですが、多保さんと楽曲を作っていく過程で、どんなお話をしましたか。

「いまどうしてもステージで言いたいこと、歌いたいことを大切にしたアルバムなので、多保くんはもちろん、蔦谷(好位置)さんともディスカッションを重ねました。言いたいことはなにか、という部分で、同じ気持ちになって制作してもらいたい、という思いがあって。一番大きかったのは、お客さんに対してもっと正直でいたいということ。去年は大きなステージでライブをすることが多かったので、Superflyがひとり歩きしているような感覚もあったんです。周りからは“強いね”“ストイックだね”と言われるんですが、“実際の自分はもっとこうなんだ”ということをさらけ出したかったというか」

――生身のSuperfly、歌い手としての越智志帆を出していく、ということですね。確かに、歌詞にもそういう部分はよく出ていると感じられます。例えば、6曲目の『終焉』は、これまでになかったようなディープな別れの曲。男の方はまだ煮え切っていない感じだけど、女の子の方はすごくクールで。

「そうですね。これは私が作詞作曲をしたこともあって、一番女性らしい曲になったと思います。全曲そうだ、というわけではないんですけど、いま感じていることを“誰か”に伝えるのではなくて、“あなた”に向かって伝えたり、曲をプレゼントしたり、捧げたり……というスタンスでありたいと思って作りました」

――具体的に、曲を届けたい人を思って作ったということですね。

「もちろん届けたい相手が不特定多数だったり、漠然としたものもあるんですけど、これまでのアルバムよりも、相手が明確に見える曲が多くなっていると思います」

――ちなみに、『終焉』で描かれていることは実際に経験したこと?

「まさにこういう出来事がありました(笑)。ここで描いている“あなた”という存在を、思いっきり許したいと思って、作り始めた曲です。幕は降りているんだけれど、大きな愛情を持って許すことができる。自分の中でも不思議な感情でした」

――スタンダードとなりうる曲だと思いました。一方で、7曲目の『平成ホモサピエンス』はファンク色の強い曲です。

「この曲は、なぜか制作に入って最初にできた曲なんです。震災以降、人の価値観が大きく変わって、これまではキレイゴトだと言われていたことも、すんなり受け入れられるような環境にドギマギしてしまって。でも、言葉の意味というものは大きく変わらないと思うので、出来事に振り回されるのではなくて、大事なものは大事なんだ、と胸を張れる自分でいたいと強く考えるようになったんです。例えば、“ひとりじゃない”という言葉は、大きな災害や悲しい事件の後じゃなくても、変わらずに素晴らしい言葉です。そういう言葉を、いつも間違わずに使いたい。そんな思いをヘビーな曲に載せるんじゃなくて、逆に笑い飛ばせるようなものにしたかったので、ファンクを選びました」

――先行シングルでもある『愛をくらえ』などは、ポジティブなメッセージを強い言葉で歌った曲ですが、“届けたい相手”をどんなふうに想定しましたか?

「この曲を届けたい相手というのは、けっこう漠然としていると思います。いまの世の中の雰囲気とか、空気の流れに自分も混乱しているなかで、“それでも純粋な気持ちを忘れたくない”と考えたら、無性に歌いたくなって。一方で、4曲目の『輝く月のように』なんかは、ある人への感謝の気持を歌った曲です。その人の支えがあったから、心をオープンにして、今回のアルバムで自分を思い切りさらけ出すことができたし、ステージで歌いたい、と思い直すことができて。この感謝の気持は、いくら言葉で伝えても、行動で示しても、返しきれないような気がしたので、いても立ってもいられなくなって、曲を作りました」

――志帆さんの意識を変えるような、大きな出来事があったと。

「そうなんです。私はもともと、誰に対しても気持ちをオープンにできるようなタイプでもないし、ステージ上でもそういう気持ちが邪魔をしているときがあって。そんな私を叱ってくれたり、味方でいるよ、と言ってくれたりする人がいて、すごく素直な気持ちになることができたんです。相手が心をひらいてくれると、自分もこんなに素直になれるんだな、ということを実感することができて、それなら、ステージ上で私も心をオープンにして、お客さんともっと心を通い合わせたいと思って。音楽との向き合い方が変わった、という感じです」

――歌詞からはそういう思いが伝わってきますが、サウンドで表現するにはさらに別のフィルターも必要だと思います。レコーディングはどんなものだったのでしょう?

「全曲ほぼ同じメンバーでやってもらって、プレイやサウンドは完全に信頼していたんですけど、気持ちを込めて弾いてもらうようにお願いしました。だから、私が感動できないテイクだったら、絶対にOKは出さなかったんです。このアルバムには、うまい演奏じゃなくて、感動できる演奏が必要なんだ、ということが伝わるように、言葉を交わしました」

――ピタっと演奏が合っていても、心に響いてこないことはありますからね。

「そうなんですよね。逆に、ちょっとくらいズレていたほうが、人間らしさが伝わってグッとくるときもある。なかなか狙ってできることではないんですけど、そういうテイクを録りたかったんです」

Text●神谷弘一(blueprint) Photo●岩佐篤樹

PROFILE

’04年、Superfly結成。’07年にシングル『ハロー・ハロー』でデビュー。『マニフェスト』『愛をこめて花束を』など数々のヒット・シングルをリリースし、’08年には1stアルバム『Superfly』を発表。’09年に発表した2ndアルバム『Box Emotion』は65万枚を超える大ヒットを記録。10月26日(金)からは来年1月にまで渡る全国ツアーがスタートする。
オフィシャルホームページ


TICKET

『Superfly Tour 2012-13 "Live Force" supported by VO5』
⇒10月26日(金)戸田市文化会館
⇒10月29日(月)神戸国際会館こくさいホール
⇒10月31日(水) 滋賀 びわ湖ホール
⇒11月1日(木) なら100年会館
⇒11月5日(月) 名古屋センチュリーホール
⇒11月7日(水) 東京国際フォーラム ホールA
⇒11月8日(木) 東京国際フォーラム ホールA
⇒11月12日(月) 倉敷市民会館
⇒11月14日(水) 米子コンベンションセンター BiG SHiP
⇒11月16日(金) 郡山市民文化センター
⇒11月18日(日) 秋田県民会館
⇒11月20日(火) 札幌 ニトリ文化ホール
⇒11月22日(木) 帯広市民文化ホール 大ホール
⇒11月24日(土) 旭川市民文化会館 大ホール
⇒11月27日(火) 仙台サンプラザホール
⇒11月28日(水) 仙台サンプラザホール
⇒12月2日(日) 長野県松本文化会館
⇒12月4日(火) 富山オーバード・ホール
⇒12月5日(水) 福井 フェニックスプラザ
⇒12月7日(金) 大分 iichikoグランシアタ
⇒12月9日(日) 長崎ブリックホール
⇒12月11日(火) 広島市文化交流会館
⇒12月12日(水) 広島市文化交流会館
⇒12月17日(月) 大阪 オリックス劇場
⇒12月18日(火) 大阪 オリックス劇場
⇒12月24日(月・祝)三重県文化会館 大ホール
⇒12月26日(水) アクトシティ浜松 大ホール
⇒12月28日(金) 福岡サンパレス
⇒1月8日(火) 新潟県民会館
⇒1月9日(水) 新潟県民会館
⇒1月11日(金) 香川 アルファあなぶきホール
⇒1月14日(月・祝)鳴門市文化会館
⇒1月15日(火) 高知県立県民文化ホール
⇒1月17日(木) 愛媛 ひめぎんホール
⇒1月18日(金) 愛媛 ひめぎんホール

公演・チケット情報



RELEASE

Album
限定盤<CD+LIVE盤>
『Force』
9月19日(水)リリース
3980円
ワーナーミュージックジャパン
WPCL-11108/9
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通常盤<CD>
『Force』
9月19日(水)リリース
2980円
ワーナーミュージックジャパン
WPCL-11110
Amazonでのご購入はこちら


2012.09.04更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
    小澤征爾も実力を認める注目の指揮者。クラシック音楽界が熱い視線を注ぐホープの“今”に迫る!
  • さまぁ〜ず
    2年ぶり、9回目の 『さまぁ〜ずライブ』開催。 稀代のコント芸人が、ライブにこだわり続けるそのワケは?
  • 遠藤保仁(ガンバ大阪)
    10年連続Jリーグベストイレブンにも、代表最多出場記録にも歩みを止めない。稀代のMFの飽くなき向上心に迫る
  • 堀北真希
    あくまでも、自然体。 2度目の舞台に挑戦する“国民的女優”の素顔
  • 藤原竜也
    舞台で演じ続けてきた実体験を、 「人生の蓄積」と呼んで胸に刻む。若き天才の次なる挑戦とは…。

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