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スキマスイッチ

スキマスイッチ、デビュー10周年イヤーの幕開けを飾るニュー・アルバム『DOUBLES BEST』は、その名の通りふたりだけで全ての楽器を演奏して作り上げた初のセルフカバー・ベスト。アコースティックあり、打ち込みあり、バンドサウンドありと、“アイディア合戦”(常田)が生み出した多彩な曲調が楽しい全12曲は、スキマスイッチ10年目の始まりにふさわしい新鮮な驚きでいっぱいだ。10月からは全都道府県を回る大規模なツアーも発表され、新たなモチベーションの高まりの中で、ふたりはいま最高に充実した時を過ごしている。

――10周年おめでとうございます!

大橋卓弥「いや、まだ9年なんです(笑)」

――失礼しました(笑)。“10周年イヤーの始まり”ですね。

常田真太郎「ややこしくてすみません(笑)」

――ここまで順調な9年間だったんじゃないですか。大きな挫折もなく。

常田「うーん、あったような、なかったような・・・・・・」

大橋「たぶんそういうふうに見えるんでしょうね。いや、別に大変なことが起きたわけじゃないですけど、でも意外といろんなこともいっぱいあって」

常田「人間としても変わっていきますからね。ソロ活動(2008年)を機会に、言いたいことを言う空気が出てきたのはすごく大きかったと思います。昔は“こっちはこっちで頑張るから”という感じで、あんまり話し合うこともなかったので。でもソロをやってからはそこが変わって、お互いにどんどん言い合うようになりましたね。そのぶん(制作の)時間はかかるようになりましたけど」

――そして今回のセルフカバー・ベスト『DOUBLES BEST』ですけども。“DOUBLES”というのは3年前、ちょうどソロ活動を終えてスキマスイッチとして再始動した時のツアー・タイトルと同じですよね。ということは、この企画は当時からあったということですか。

大橋「企画自体はもっと前からありました。スキマスイッチは元々はふたりで始めたものだし、“ふたりだけで作品を作ろう”という話をシンタ(常田)くんがしていて、今回10周年のスタートということでやってみたら面白いんじゃないか?と。『DOUBLES BEST』というのはあとからつけたタイトルです。“DOUBLES”は3年前のツアーの時につけたタイトルですけど、スポーツの“ダブルス”と関連づけて、僕たち対お客さんという意味もありますし、僕らふたりがステージ上で対決するという意味でもいいですし。このシリーズを続けていって、ゆくゆくは“DOUBLES”と聞けば“ということはふたりだけでやるんだ”という認識になっていってくれれば、それはそれで面白いかなと思ってます。ツアーでも『今回は“DOUBLES”でやります』といえば、DOUBLESファンの人が出てきたりとか、逆にバンドが好きな人は“DOUBLESだったら今回はやめておこう”という人もいるかもしれないですし」

常田「それは淋しいな(笑)」

大橋卓弥

大橋卓弥

大橋「それぐらいの認識になったらいいなとは思ってます」

――シンタさんの頭の中には、かなり前からあった企画なんですね。

常田「そうですね。ふたりでやってる手前、ふたりでできることを強みにしたかったので。最初はこんなに大きな企画になるとは考えてなくて、ピアノとアコギと歌ぐらいのものでいいのかな?と思ってたんですよ。たださすがに10曲以上となるとそれだけじゃ駄目だなと」

――僕も最初にふたりだけと聞いて、シンプルなアコースティック・セットになるのかなと思ってたんですけども。意外にといったらアレですが、たくさんバリエーションがあったのですごく楽しかったです。

常田「“ふたりだけでやるらしいよ”と聞いたら、10人中10人がアコースティックでやると思うんでしょうけど、そういうことは僕らはやりません(笑)。そこも再確認したところですね。ふたりとも一筋縄じゃいかないものが好きというか、そこを裏切る楽しさ、テンション感、これを聴いた人はどう思うかな?というところでいろいろ話し合いました。すごく建設的な楽しさがありましたね。“原曲がああだから、こうなるだろうと思われてるに違いないから、こう変えよう”とか。それだけを意識するわけじゃないですけど、そこから話が始まって、ああしようこうしようって、どんどん変わっていきましたね」

――最初に手をつけたのが『全力少年』ですか。これは具体的に、どんなふうに進めていったんですか。

大橋「12曲作る時に、形態としてどういうバリエーションがあるかを考えていくと、一番見えやすいのはまずピアノとギターと歌、あるいはピアノと歌ですよね。あとは、ふたりでピアノを弾くとか。そういうバリエーションの中で、一番やりやすそうな“ピアノ、ギター、歌”の形態で、とりあえず『全力少年』をやってみようか?と」

――原曲よりもゆったりとした、落ち着きのあるバージョンになりましたね。

常田「まず、イントロを絶対に変えたかったんですよ。そこから始めて、テンポ感も落ち着いた感じに変えていって・・・・・・やってる時に、『全力少年』っていうタイトルでいいのかな?というぐらいに、落ち着いた感じになりましたけど(笑)。これはふたりでセッションしてる感じで作っていきましたね」

――『ボクノート』はほぼアカペラですけど、これは大橋さんがやりたかったものですか。

大橋「いや、『ボクノート』は一番最後に録ったんですけど、“そういえば、アカペラというカードが残っていたね”と。どうしてもやってみたかったというよりは、“ちょっとやってみようか”という・・・・・・どれもそんな感じなんですよね。だからこその温度感というか、手作り感が出たと思うし。『ボクノート』は、アカペラにすることが決まったらすぐにシンタくんがコードを考えて、僕がコーラスワークを考えて、とりあえず声を当ててみて、“こっちのほうがいいかな?”って一音だけ変えるとか、そういうやり方なので。がっつりアレンジを作って録るというよりは、軽い感じでやりましたね」

――あとアレンジで面白かったのは、レゲエ調にアレンジした『螺旋(らせん)』。あれはどちらが?

大橋「僕です。その日の作業が終わって、“明日は『螺旋(らせん)』をやろうか”と言いながらスタジオを出て、車の中で音楽を聴きながら帰る時に、レゲエっぽいアレンジの曲が流れてきて、“そういえばレゲエってやってないな”と。とはいえレゲエを聴きこんで育ってきたわけでもないので、僕たちなりの“レゲエ風味”はどうかな?という話から始まりました。そういうのがすぐ次の日の作業に反映していくのが、今回は多かったですね。『晴ときどき曇』のコーラスも、ふと思いついて“こういうの、入れてみたいんだけど”とか」

――ナルホド。いい意味で思いつきがいっぱい入っている。

大橋「思いつきでしかない(笑)」

常田「アイディア合戦ですよ」

――かなり意外だったのは、四つ打ちのエレクトロっぽいアレンジで仕上げた『アイスクリーム シンドローム』ですか。

常田「曲ごとに叩き台になるアレンジの形態を書き出して、それを見ながら“これはいい、これは違う”ってやっていったんですけど、この曲は叩き台のままですね。こういうエレクトロな雰囲気は今まで一回もやってないんですよ。流行ってますしね。やるのは勇気がいるし、レゲエの時とはまた違う勇気なんですけど、“スキマスイッチ、そっち行っちゃったの?”っていう感覚になるとイヤだなと思っていたので。中途半端になっちゃうとイヤなので、いろいろ話しながらやっていったんですけど、いい形にまとまったと思います。三浦(瑞生)さんというエンジニアが百戦錬磨の大御所の方で、僕らのやりたいことに何でも応えてくださって、手伝ってもらって完成しましたね。三浦さんはアルバム『musium』からやっていただいているんですけど、特に歌の質感が素晴しくて、この『DOUBLES BEST』は三浦さんと一緒だからこそできたものだと思ってます」

常田真太郎

常田真太郎

――スタジオ・ライブ感の強いものもありますよね。何の曲でしたっけ、イントロで卓弥さんの「回ってますか?」というエンジニアさんへの話し声から始まるのは?

大橋「『view』ですね。デビュー曲ということもあって、当時でライブハウスでやってた雰囲気で録るのはどうかな?という話になって、だったらライブハウスに行っちゃおうかと。一発録りで、本当にライブですよね。場所は新宿LOFTなんですけど、“懐かしいなー”とか言いながら、いろいろ思い出しました。アマチュアの頃の雰囲気が蘇ってきて。それに対して、その時の自分よりも必ず一皮も二皮もむけてるぞって自分で思いたいところもあるし、すごく面白い体験でした」

Text●宮本英夫 Photo●吉田圭子

PROFILE

大橋卓弥(vo、g、harmonica)、常田真太郎(p、cho、org、other instruments and total sound treatment)のソングライター2人からなる男性ユニット。99年に結成。03年7月シングル『view』でメジャー・デビュー。04年2ndシングル『奏(かなで)』がロングセラーとなる。05年5thシングル『全力少年』が大ヒット、2ndアルバム『空創クリップ』でチャート1位を獲得。同年、NHK「紅白歌合戦」に初出場、その後3年連続出場を果たす。07年に発表した初のベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』が、2週連続チャート1位となり、約90万枚を超えるビッグヒットを記録。この年、初の全国アリーナ・ツアーを行い、約10万人を動員する。これまでに、5枚のオリジナル・アルバムをリリース。今回発表となる初のセルフカバー・ベストアルバムは、ファンの投票により選曲された。今秋からは、初の全都道府県ツアーをスタートさせる。2013年のデビュー満10周年に向けて、ますます躍進を続ける。

オフィシャルホームページ


TICKET

「Sukimaswitch 10th Anniversary 2003-2013
スキマスイッチ TOUR2012-2013“DOUBLE ALL JAPAN”」

10/26(金) 千葉県 市原市市民会館
11/01(木) 山梨県 東京エレクトロン韮崎文化ホール
11/07(水) 神奈川県 よこすか芸術劇場
11/10(土) 栃木県 鹿沼市民文化センター
11/15(木) 福島県 郡山市民文化センター 中ホール
11/16(金) 山形県 山形市民会館 大ホール
11/18(日) 岩手県 盛岡市民文化ホール 大ホール
11/20(火) 青森県 青森市民ホール
11/23(金) 宮城県 仙台サンプラザホール
11/25(日) 秋田県 秋田市文化会館 大ホール
11/30(金) 東京都 中野サンプラザホール
12/07(金) 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
12/09(日) 京都府 舞鶴市総合文化会館
12/11(火) 兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
12/13(木) 大阪府 グランキューブ大阪(大阪国際会議場)
12/14(金) 和歌山県 和歌山市民会館 大ホール
12/16(日) 奈良県 なら100年会館 大ホール
12/19(水) 三重県 四日市市文化会館 第1ホール
12/20(木) 岐阜県 土岐市文化プラザ サンホール
12/22(土) 愛知県 東海市立文化センター
1/11(金) 長崎県 長崎市民会館文化ホール
1/12(土) 佐賀県 佐賀市民会館
1/14(月) 大分県 宇佐文化会館
1/17(木) 愛知県 日本特殊陶業市民会館フォレストホール(旧 名古屋市民会館)
1/18(金) 静岡県 清水文化会館マリナート
1/24(木) 高知県 高知市文化プラザかるぽーと
1/25(金) 愛媛県 松山市総合コミュニティーセンター キャメリアホール
1/27(日) 香川県 サンポートホール高松
1/28(月) 徳島県 徳島市立文化センター
2/02(土) 茨城県 小美玉市小川文化センター(アピオス)
2/03(日) 群馬県 藤岡市みかぼみらい館
2/08(金) 山口県 防府市公会堂
2/10(日) 広島県 尾道市公会堂
2/11(月) 島根県 島根県民会館
2/13(水) 鳥取県 鳥取市民会館
2/14(木) 岡山県 岡山市民会館
2/19(火) 富山県 富山県民会館
2/21(木) 石川県 金沢市文化ホール
2/22(金) 福井県 福井市文化会館
2/26(火) 新潟県 新潟テルサ
2/27(水) 長野県 ホクト文化ホール 中ホール
3/01(金) 埼玉県 川口総合文化センター リリアメインホール
3/08(金) 北海道 稚内総合文化センター 大ホール
3/10(日) 北海道 札幌市民ホール
3/11(月) 北海道 函館市芸術ホール
3/16(土) 福岡県 福岡サンパレス
3/17(日) 熊本県 崇城大学市民ホール(熊本市民会館)
3/19(火) 宮崎県 都城市総合文化ホール 大ホール
3/20(水) 鹿児島県 宝山ホール(鹿児島県文化センター)
3/27(水) 東京都 渋谷公会堂
3/31(日) 沖縄県 沖縄市民会館 大ホール

公演・チケット情報



EVENT
「音楽と髭達2012-rainbow-」
8/25(土)長岡・国営越後丘陵公園 野外特設ステージ

「SOUND MARINA '12」
9/2(日) 広島グリーンアリーナ(広島市中区基町4番1号)

「Office Augusta 20th Anniversary
Augusta Camp 2012 Premium in KOCHI」

9/17(月・祝)高知県民文化ホール・オレンジホール

「Setting Sun Sound Festival Vol.3
×Office Augusta 20th Anniversary Augusta Camp 2012 in AMAMI」

10/21(日)奄美市・大浜海浜公園野外ステージ

公演・チケット情報



RELEASE

Self Cover Best Album

『DOUBLES BEST』
8月22日(水)発売
3990円
AUCL-20027-9(初回生産限定盤A)
Ariola Japan
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『DOUBLES BEST』
8月22日(水)発売
3465円
AUCL-20030-1(初回生産限定盤B)
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『DOUBLES BEST』
8月22日(水)発売
3059円
AUCL-90(通常盤)
Ariola Japan
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2012.08.21更新

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