――ですね。ただ、7〜8曲もデモがあったんなら、新曲もっと作れたんじゃないですか?
「現ちゃんとのバランスを考えると、今は自分の曲だけをフルでやるっていうことは考えられないって恭一が言ったんだよ。そこで、ベスト盤的なものをやるかという話になっていったんだ。まあ、結果的にはベスト盤というよりもセルフトリビュートっていうか。新曲以外の収録曲は一応代表曲ばっかりなんだけど、デビュー以前にインディーで出した曲とか、1stアルバムの曲とか、どこかオリジナル作品の音に自分たち的にちょっと引っかかってた曲をもう一回ちゃんとやってみたっていう感じかな。しかも今回、エンジニアもそのインディー盤をやってくれた松本大英なわけで、25年以上経って同じ楽曲をまた一緒にやるっていうのも面白いと思ったしね」
MAGUMI(vo&tp)
――なるほど。また、今回は代表曲でありながらも今までスタジオ音源がなかった“MAD GIRLS”と“KU・MA・MO・TO”の2曲が遂に披露されました。
「“MAD GIRLS”は昔限定プレゼントでスタジオライブ音源を配ったことがあったんだけど、ちゃんとレコーディングした作品はないねっていう話になって。で、この曲はもともとは“Good Dog”との連作だったから、じゃあ今回はこの2曲をメドレーで行くかっていう感じ」
――2曲繋げて演るのはライブではお馴染みでしたものね。ちなみに“Good Dog”の方では可愛らしいコーラスが入ってますが、あれはどなたが?
「俺の娘と娘のバンドのメンバー(笑)。で、話を続けると“KU・MA・MO・TO”はほんとに初だね、レコーディングしたのは。でも、コレの原曲に至っては実は高校1年の頃からあるっていう(笑)」
――ええと、ざっと35年前からある曲……ってマジで?
「マジでマジで。まあその頃は歌詞が校歌だったんだけども(笑)」
――あはははは!今でも歌えますかそのバージョン?
「歌えるよ〜。♪パカパーパーパーパッパ、パカパーパーパーパッパ、三船の流れ水清く、あそれ!天神の守を中にして、あそれ!……学祭でやったんだけど、なにせ歌詞はそのまんま校歌だから、その場でみんな歌って大合唱になってちょっと凄かったよ(笑)」
――あはははははは。今明かされる“KU・MA・MO・TO”の成り立ち。衝撃的す。
「やっぱああいう祭りの音って、みんなアガるんだね。この曲は思えばアマチュアの頃からやってて、そんでパカパーパーパーパッパってやるだけで、ロックとは違うんだけど確かにこう、みんながみんなアガってたんだよ。明大の隣の部室で練習してたジャンプスの小高さんなんて、『隣のぷくぷーぷーはほんとに面白い!』って、しばらく俺のことぷくぷーぷーって呼んでたもん(笑)。そんでそっから『ジャスト・ア・ビートショー』に参加する流れに!」
――ジャンプス、ブルーハーツ、ロンドンタイムスらと4バンドでライブレコーディングしたレピッシュ初のオムニバス作っすね。そこにもこんな秘密が(笑)。それにしてもこの曲が今までレコーディングされなかったのは改めて不思議すね。やっぱ楽曲として初期すぎたから?
「それもあるけど、ぶっちゃけアルバムに入れるっつったって、到底合わないんだよ、ぶち壊しになっちゃう(笑)。でも今回ね、増井くんが、ホーンいっぱい呼んじゃおうか?つって、それこそ20人くらい呼んでくれて、しかもみんな自腹で、大阪からも3人も来てくれて」
――すごいっすね、それであの大迫力に!しかもその本編が終わった後、まさかのちんどん屋ヴァージョンの“KU・MA・MO・TO”が唐突に入ってくるじゃないですか。あの落差がまたなんとも言えずにいい!
「あれはtatsuが言い出したんだよな、パカパーパーパーパッパの部分だけを取り出したヤツができないかなって。んで、それじゃあ本物の祭りのスピードでやってみようか?って、それでアレを録ってみたんだよ。で、まあ使えればどこかで使えばいいし、ぐらいの感じだったんだけど――今回、最後に“パヤパヤ”が入ってるじゃん?それ、俺が入れたいって言ったんだけど、ユニバーサルん時に一回録ってるから、さすがに3度目はない。でもどうしても入れたい。でもあの曲だけ当初のままのオリジナル音源だと、いったいアルバムのどこにどういう風に入れたらいいんだろう?って悩んでた時に、たまたまあの祭り囃子が使えたんだよ!アレの後に入れることによって、こう、この曲はおまけですよ感がすごく出る!!」
――おおー。tatsuさんの大殊勲(笑)。
「うん。tatsuはあと、“サイクリング”はアルバムに入ってないから、何か入手困難になっているって聞いてきて、だったらやろうよってtatsuが提案したんだよね。ってなんで俺がこんなにtatsu褒めてんだ。なんかムカついてきたぞ!」
――なんでですか(笑)。
MAGUMI(vo&tp)
「増井くんの話にする。今回増井くんのツテでサックスに青木ケイタくんが入ってくれたんだけど、彼はアルト、テナー、バリトンの全部吹けるんよ。彼が手伝ってくれたのはほんとデカかったし、ホーンが充実したのは本当に増井くんのおかげだよね。彼自身一流プレイヤーだし、トロンボーンでは日本で一番増井くんの音が好きだしね」
――限りなくメンバーですものね、増井さん。さあそして、本作のリリースの後には全国ツアーが待っています。
「今年いっぱいライブやってるんだけど、ARABAKIを抜かしたら、実は全部都内近郊なんだよ。だからこのメンツで地方を周るのは実ははじめてという(笑)。まあとにかく、今年やってきたその集大成を持って、全国6箇所周りますので、25周年を皆さんで楽しんでいただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いします!」
LÄ-PPISCHボーカルのMAGUMIからコメントが到着!
Text●中込智子 Photo●吉田圭子
メンバーは、MAGUMI(vo&tru)、杉本恭一(g&vo)、tatsu(b)。‘84年バンド結成。’87年にシングル『パヤパヤ』でデビューを果たす。日本のミクスチャー・バンドの先駆者として、あらゆるバンドに影響を与えている。今年は、デビュー25周年を迎える記念すべき年となり、久しぶりのワンマン・ツアーを開催する。
オフィシャルホームページ
「LÄ-PPISCH 25th Anniversary Tour 〜六人の侍〜」
⇒10/26(fri) 青森 Quarter
⇒10/27(sat) 仙台 MACANA
⇒11/3(sat) 福岡 BEAT STATION
⇒11/10(sat) 大阪 BIGCAT
⇒11/11(sun) 名古屋 Electric Lady Land
⇒11/22(thu) SHIBUYA-AX
『caldera』(CD+DVD/シリアルナンバー封入)
10月24日(水)リリース
3500円
SPEEDSTAR RECORDS
VIZL-504
通常盤
『caldera』(CD)
10月24日(水)リリース
3150円
SPEEDSTAR RECORDS
VICL-63943
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