TOP > 今週のこの人 > JUN SKY WALKER(S)
昨年の東北6県ツアー「Walk to TOHOKU」を機に“完全復活”を果たしたJUN SKY WALKER(S)が、約16年ぶり(!)となるオリジナル・アルバムをリリース。『LOST&FOUND』というタイトルが冠された本作には、解散→再結成→完全復活というプロセスのなかで得た、リアルで力強いロック・ミュージックが高らかに鳴り響いている。まさに王道と呼ぶにふさわしいバンド・サウンド、オーディエンスを根本から鼓舞するメッセージ性、そして、“ここから、ジュンスカの第2章をスタートさせるんだ”という思いがひとつになったこのアルバムは、従来のファンはもちろん、さらに幅広いリスナーにアピールするはずだ。
――本当に久々のオリジナルアルバムになりますが、制作はいつ頃からスタートしたんですか?
宮田和弥(vo)「制作自体はベスト盤(今年1月にリリースされたセルフカバーベスト『B(S)T』)よりも前だったんですよ、実は。震災をきっかけにツアーを始めて、そこからファンの人たちともさらに強く関わりを持つようになって。ジュンスカのリスナーも30代後半くらいになって、中堅というか、上の年代と下の年代に挟まれる時期だと思うんですよね。そういう人たちがライブに来て、拳を上げて、涙を流しながら応援してくれる。その姿を見たとき、“ジュンスカは続けなくちゃいけない”と思ったし、そのためにはまず、ベスト盤を届けたいな、と」
――そして、満を持してオリジナルアルバム『LOST&FOUND』のリリースに至った、と。レコーディングは寺岡呼人さん(b)のプライベート・スタジオを中心に行われたそうですね。
宮田「そうですね。レコーディングの様子は初回限定盤に付いてるDVDを見てもらうのがいちばんいいと思うんですけど(笑)、非常に充実してましたね。“4人で作った”っていう感じが強いんですよ、今回は。基本的には呼人がプロデューサーの立場なんだけど、4人だけでここまで濃く制作したのは、たぶん初めてじゃないかな」
森純太(g)「楽しかったですね。かしこまったり、ヘンに緊張することもなく。2008年の(シングル)『青春』のレコーディングから、すごく楽しかったんですよ」
――以前とは違う楽しさがあった?
森「ぜんぜん違いましたね。以前はライブが圧倒的に楽しくて、レコーディングは緊張したり、こわばったりすることもあったんですよね。思うような音が録れないっていうジレンマもあったし。いまは、そういう不満がぜんぜんないんですよ。解散したあとも各自がいろいろと活動を続けていて、そこで伸びた部分もあると思うんですよね。かといって、ライブをやめて、レコーディングがメインのバンドになろうとは思わないけど(笑)」
宮田「マスタリングも良かったんですよね。ニューヨークでやったんだけど、そこでかなり変わって。やっぱり、外人の感覚ってすげえんだなって。テッド・ジェンセンって人なんですけどね」
――確かに音はすごくいいですよね。ダイナミクスもすごいし、生々しさも強調されていて。音楽的な幅も広がっているように感じました。たとえば1曲目の『ロックの神様〜Rock‘n Roll☆Licence〜』におけるハードロック・サウンドも、以前のジュンスカにはなかった気がします。
宮田「そうかもしれないですね。ジュンスカといえばビートパンク、速い8ビートというイメージがあるかもしれないけど、もともとはAC/DCやエアロスミスなんかも好きなんですよ。エアロスミスを最初に教えてくれたのは、森君だしね。ロックの王道っていうのかな。こういう感じのサウンドも、じつは得意だったりするんですよね」
――ハードロックテイストのギターも、ルーツのひとつ?
森「もちろん。ただ、バンドでやるっていうのは、いままで考え付かなかったんですよね。王道よりも、ちょっと変わってたり、新しいものが好きなんですよ。自動販売機で飲み物を買うときも、定番からちょっと外れたものを選んだりとか(笑)」
宮田「ハハハハハ」
森「もともとがそういう性格なんですよ。でも、CDに合わせてギターを弾くときは、パンクじゃなくて、AC/DCとかKISSだったんですよね。今回はそれをバンドに持ち込んだっていう」
――いまだからこそ出来たことかもしれないですね。
森「それも4人のマジックだと思いますけどね」
宮田「そういえば、メンバー4人でAC/DCのライブにも行ったね。もしかしたら、そういうことも関係してるのかも」
――なるほど。アレンジはどんなふうに決めていくんですか?
宮田「呼人と森君が中心になってましたね。ふたりがスタジオに入って、いろんなことを試して。そこから、いままでとは違ったサウンドもかなり出てきたと思うし」
森「さっき宮田が言ったように、アルバムの制作に取り掛かったのは、復興支援ライブの前だったんですよ。だから、そこまでハッキリしたビジョンがなかったんですよね。いまだったら、“ライブでは、こういう反応が返ってくる”ということも見えてるんですけど、そのときは何もわからないまま作っていたところもあって」
――でも、逆に新しい発想が生まれそうですよね。
森「そうなんですよね。ギターのリフやハーモニーに関しても、いろいろなことを試して、改良して、つなげっていって」
宮田「ボーカルも同じですね。曲によっていろんな歌い方を試したので」
――それが“2012年のジュンスカ・サウンド”につながった、と。続いては『LOST&FOUND』ですが、このフレーズをアルバムのタイトルにしたのはどうしてなんですか?
宮田「いまのジュンスカをいちばん言い表しているってことですよね。失くしたものもあるし、この年齢になったからこそ得られたものもあるっていう…それに気づかせてくれたのは、やっぱりファンだと思うんですよ。若いときっていうのは、それこそ“俺を中心に世界が回ってる”じゃないけど、それくらいの気持ちで音楽をやっていて。でも、アルバムを10枚出した後に解散して、そのときは人間関係を含め、いろんなものが壊れて、傷ついたりもして。その後、2008年の再結成、今回の完全復活、それからこのアルバムを作ったことで新しい絆が生まれたわけですよね。そこにはファンの力が大きく関わっているし、僕自身のことでいえば、感謝の気持ちもさらに強くなってると思いますね。もちろん、ただただ“ありがとう”って言ってるだけじゃなくて、言いたいことは言うし、新しいことにも挑戦してるんだけど」
――なるほど。純太さんはどうですか? 同じように失ったものと得たものがあると思うんですが…。
森「まあ、いまの宮田の話と同じですよ。ありがたいなという気持ちももちろんあるし。完全復活を喜んでくれる人もすごく多いし、バンドのなかの雰囲気、まわりの期待を含め、ボルテージがどんどん上がっていて」
――そうですよね、ホントに。一方では、ジュンスカらしい攻撃的な姿勢が表れている曲もあって。『ロックフェス』は、まさにそうですよね。「ロックフェス 儲かるじゃねえか」「これやめられねえ」っていう。
宮田「そういうことも、この年齢だから歌えることだと思うんですよ。ロックで遊んでるっていうのかな。「MUSICA」の鹿野さんから“俺のフェスでこの曲をやってくれ”ってメールが来たんだけど(笑)、みんなでこの曲を歌うっていうのも、楽しいじゃないですか。フェスを批判してる歌じゃないからね」
森「うん」
宮田「僕らも今年、いくつかフェスに出るしね。だって、呼人も自分で“Golden Circle”っていうフェスをやってるくらいだから(笑)。日本にこれだけたくさんのロックフェスがあるのは素晴らしいことだと思うし、関わっている人たちはみんな、命がけでやってると思うしね」
Text●森朋之 Photo●岩佐篤樹(インタビューカット)
メンバーは宮田和弥(vo)、森純太(g)、寺岡呼人(b)小林雅之(ds)。’88年5月ミニアルバム『全部このままで』でメジャー・デビュー。数々のヒット曲を送りだし、バンドブームの中心的バンドとして爆発的な人気を誇った。1997年6月に解散したが、2007年に20周年を記念して期間限定で再結成。2012年1月、完全復活を果たした。
オフィシャルホームページ
「J(S)W TOUR 2012 "LOST & FOUND" FIRST STAGE」
▲6月 2日(土) Live House 浜松 窓枠
▲6月 3日(日) 岐阜 club-G
▲6月 5日(火) 松阪 M'AXA(三重)
▲6月 7日(木) 金沢AZ
▲6月 8日(金) 新潟Live Hall GOLDEN PIGS RED STAGE
▲6月10日(日) 郡山HIPSHOT JAPAN
▲6月16日(土) 苫小牧ELLCUBE
▲6月17日(日) 旭川 CASINO DRIVE
▲6月19日(火) 弘前Mag-Net
▲6月23日(土) 大分DRUM Be-O
▲6月24日(日) 熊本DRUM Be-9 V1
▲6月27日(水) 高知X-pt.
▲6月28日(木) 広島クラブクアトロ
▲6月30日(土) 神戸ウィンターランド
▲7月 1日(日) 京都 磔磔
▲7月 7日(土) NHKホール
▲7月 8日(日) NHKホール
初回限定盤
『LOST&FOUND』
4月25日(水)リリース
3600円(DVD付)
IVY Records
XQKZ-91002
『LOST&FOUND』
4月25日(水)リリース
3000円
IVY Records
XQKZ-1002
