ーーところで、DJブースにキラキラしたアイテムを持ち込んだ先駆者ってたぶんKAORIさんだと思うのですが、NYが拠点だった時代もドレスアップは必須だったんですか?
「ドレス着るときもあったけど、あの頃は今より全然フツーだったかな。NYってあんまり他人のことを気にしない街だし、いろんな人種がいる分、価値観もバラバラだし、あんまり細かいことが気にならなくなるよね、いい意味でも悪い意味でも。セルライトのある脚でも平気で出してるし、またそれがセクシーとか言うからね。日本だと男子の見る目も細かいし、そりゃつけまつげもつけるようになるよね(一同爆笑)」
ーーおかげでDJを目指す女の子は確実に増えたと思います。
「そういうのはあるかもしれないね。女子がやってるのを見ると、自分も出来るって思えるじゃない? 男子ばっかりだとそうは思えないと思うし。それに、昔はレコードの時代だったから女子のDJが少なかったんじゃないかな? そもそも(音楽)オタクじゃないと出来なかったし、そこから何年もかけてレコードを集めてやっとDJになれたから。しかもレコードが重いのよ(笑)。毎晩何十キロのレコードを担いでいくから肉体労働でもあったし、(時間的に)ハードワークだからね。そういう意味では今はコンピュータとか、テクノロジーが進化して機材とかもCDでDJ出来たり、PCのファイルでDJ出来たりする時代だから、そういう意味でDJをやる敷居が低くなったというか、DJを楽しむ人が増えたってとこはあると思いますね」
ーーKAORIさん自身はレコードの時代からの経験を積んだ叩き上げ、なわけですけどね。
「そうよ(笑)。まぁ時代ってとこもあるけど、誰もやってない時からやってたからこその今の日本での自分のポジショニングでもあると思うしね。いろんな経験をしてきたし、誰よりもいろんな現場で回してきたし、誰よりも数やってきたっていう、その経験値は誰にも負けない! っていう自信はある」
ーーカッコいい!
「おかげで気も強くなって帰ってきちゃいましたけどね(笑)。周りから望まれてるとこに行くというよりは、自分で切り開いてきた感じだからね。世の中、最初から選ばれるような恵まれた条件で人生を送る人たちばかりではないじゃないですか。女子って、美人コンテストで選ばれるとか、どうしても選ばれるってことが重視されるのが今までの価値観だったと思うの。だけど女子でも欲しいものを自分で取りに行ける、誰かに幸せにしてもらうんじゃなくて自分からつかみ取るっていうことが、これからは大事なのかなって思いますね」
ーーそうやってがんばってる最中にくじけそうになったら、『JMIX V』や『PARTY MIX 3』を聴けばまたがんばれる、と。
「自分もいつもくじけそうになってますからね(笑)。でも文句ばっか言ってても仕方ないし、一生懸命やんないと結果はでないし、次も見えない。あと、周りを変えるより自分を変える方が早いんだよね。昨日より今日、自分が向上することだけを考えて、自分がハッピーでいられる状況を作っていければもっと人生楽しくなるんじゃないのかな。私が最終的にたどり着いた答えがそれ(笑)」
ーーそんなKAORIさんのこの夏の計画は?
「新曲を作りたいですね。DJとしていろんな場所でDJさせて頂いたりいろんな活動をさせて頂いてますが、もっとプロデュースしたりとか、興味があることにープンにチャレンジしてみたいですね。バカンスならイビザに行ってみたいかな。とにかく、いつも何かに夢中になっていきたいし、守りに入らず、人生つねに攻めで行きたいなって思いますね」
Text●早川加奈子 Photo●吉田圭子
'92年に単身でニューヨークへ渡り、クラブでプレイしているところを現地No.1 Hip Hop DJ、ファンクマスター フレックスの目に留まり、彼が率いるDJ集団Big Dawg Pitbullsに唯一の女性DJとして迎え入れられる。その後NY Timesの1面を飾ったり、ニューヨークのNo.1ラジオ局Hot 97にて日本人としては初となるDJプレイを披露したりNY中にその名を知られるようになり、忙しいときには週5本のレギュラーを抱えていたほど。さらにはマライア・キャリーやP・ディディといったアーティストや音楽界以外でもマイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、マイク・タイソン等スーパーセレブからパーティDJのオファーを受けるまでになる。今までリリースしたMIXCDは異例のトータル売上枚数370万枚を突破。また、2008年リリースした『RAGGA MIX』『INMIX DVD』はゴールドディスク大賞も2部門で受賞。
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