この後は、11月19日(水)に初のバラード・ベスト・アルバムのリリースが決定している。まだ収録曲などはこの取材の時点では未定とのことだったが、彼の頭の中ではいろいろと考えられている様子だ。

今回の取材も、全国ツアーが終わって帰国し、レースに参加したり韓国での打合せをこなしたりという多忙なスケジュールの合間に、1泊2日の強行日程で再来日し行われたものだ。「韓国でも毎日やらなければならないことが山のようにあって忙しいです。それでも、２日くらいはなんとか休めたかな」とにこやかなリュ・シウォン。疲れているに違いないのに、そんなことはまったく感じさせない。しかも、帰国後は親しい知人の弔問に空港から直行している。「今日もこの取材が終わったら朝までミーティングです（笑）」とサラリと言った彼は、むしろそんな状況を楽しんでいるかのように見えた。

かつて「韓国の文化を紹介するだけでなく、その国の文化も知ることが大切だと考えています」と語っていた彼は、芸能活動のほかにも観光広報大使を務めたり、福祉活動を積極的に行ったりしている。韓国では10月14日にソウル市で行われた「観光の日」の記念式典で、韓国の観光を活性化し、国のイメージアップに貢献したと大統領表彰を受けた。

特に韓日の交流に大きな力を果たした彼にとって、日本は今や外国とは思えない身近な国となった。インタビューでも通訳の言葉を待たずに、こちらの質問を聞いて答え、時には日本語でコメントするという場面も。多くの韓国人スターが「言葉の壁さえなければ、日本の作品に出たい」とコメントするが、すでに日本のドラマにレギュラー出演した経験もある彼は、そんな壁を軽々と飛び越えているように見える。

だがそれは、人知れず重ねられた努力の結果に違いない。言葉も文化も違う国にやって来て、そこで成功を収めることは決して簡単なことではない。それでも、彼はそうした苦労を微塵も感じさせず、自らをコントロールし、周りの人間に気を配る。そして何よりも、彼には多くのファンのサポートがある。応援してくれるファンの想いに誠実に応えたい、という真摯な気持ち。それこそが、リュ・シウォンを最強のエンタテイナーたらしめている所以なのかもしれない。