@ぴあ @ぴあTOP@電子チケットぴあ
前に戻る
過去のインタビュー
「ニコニコ動画」運営・西村博之
サービス開始から1年で爆発的な人気を呼んだ動画配信サイト「ニコニコ動画」。 巨大掲示板2ちゃんねる管理人・西村博之が語る新しいエンタテインメントのカタチとは?
Text:志田英那 Photo:カキモトジュンコ(パーシモン)
「西村博之」写真
■「ニコニコ動画」で変わった文化のありかた
――「ニコニコ映画祭」など、最近はいろいろなイベントを仕掛けていますね。
「(ニコニコ動画へ)もっとオリジナルのコンテンツを出していきませんか? というのを伝えていきたいんですよ。海外のYoutubeでは、個人で漫才をしたり、ギャグを撮影したりする人がいるんですけど、日本じゃあまりいない。そんなにハードルも高くないんで、作ってみてよと。こちらとしては100個つまらないものがあっても、1個面白いものがあればいいんです。だから、もっと量を募りたいな、と」
――質よりも量。
「結局、コンテンツがないと何もない場所ですからね」
――「ニコニコ動画」が普及して、どんな変化があったと思いますか?
今の『ニコニコ動画』、一日6000以上の動画がアップロードされているんです。『ニコニコ動画』がなかったら、その6000って存在しなかったものなんで。動画を公開しやすくなったというのがあると思います」
――無名のクリエイターたちの発表の場になっているわけですね。
「たとえば、インディーズで音楽をやっている人たちが『ビッグになりたい』っていうけれど、本当にお金持ちになりたいのかといったら、そうじゃないと思うんですよね。もっと反響がほしいんじゃないかな。お金だけがほしいんだったら、やっぱりバンドのメンバーが音楽性で争わないじゃないですか。純粋な評価を受けてみたいと思っている人も多いと思いますよ。これまでクリエイターが作品を世に出すときは、レコード会社なり、出版社の担当者に気に入られて、CDや本にして売れてから反響を得るというかたちでしたけど、『ニコニコ動画』は市場を経由しないで、視聴者に届く。反響を得られる。そこが違うのかもしれない。
――つまり、クリエイターから視聴者へダイレクトだってことですね。
「動画を作った人がいきなり世間に対して、『おれの作品どう?』って問いかけられる。その中で、100人にひとり『スゲー面白い』って言う人がいるかもしれない。だから、クリエイターも報われやすくなったと思うんですよね」
■「ニコニコ動画」の今後
――はたして今後の『ニコニコ動画』はどうなるんでしょうか。
「赤字垂れ流しですよね。事実として赤字なんで」
注※ニワンゴは今期中の単月黒字を狙っている
――なくなって欲しくはないものですが。
「僕も『ニコニコ動画』には、なくなってほしくないですよ(笑)」
――『ニコニコ動画』は今後、どうなるでしょう。現在はまだ、著作権を侵害している動画がアップロードされている現状もありますよね。
「そういう動画は必要ないんですけどね。僕らは動画そのものの価値で勝負するつもりはないんで。メーカーから言われて削除するのも大変ですし」
――新しいメディアとして定着していくと思いますか?
「まあ、テレビのようにはならないでしょうね。配信コスト面の問題があるんで。ネットの動画は配信コストが大きいんです。テレビは、東京の1000万人の視聴者に配信するとき、東京タワーから電波で一気に同時配信できるんですけど、インターネットは1000万人へ同時配信しようと思うと、サーバーが1万台近く必要になる。そのコストを考えると、とてもじゃないけどテレビ規模にはなれないわけです。でも、将棋の世界で人気の棋士っているじゃないですか。その人の将棋を指している姿を流すみたいなことはできると思うんです。やっぱり、将棋って100万人規模の趣味だと思うし」
――小規模のマスメディアってことですね。
「ネットがなかったら、いまは赤の他人とつながるのは難しいですからね」
――ひろゆきさんご自身は、今、興味のあることはありますか。
「僕、流され型なんですよね。『ニコニコ動画』も『こんなのあるぜ』って言われて、面白いと思ったからやったし。もし、今面白いと思っているものがあれば、もう自分で作ってると思うし。だから、今後も何かあればいいなって思っています」
2008.2.7掲載  
前頁に戻る

西村博之

神奈川県出身、'76年生まれ。'99年、中央大学卒業後の米留学中に「2ちゃんねる」を開設。'05年にニワンゴの取締役に就任し、'06年よりスタートした「ニコニコ動画」の運営に参加。一時は「2ちゃん」に絡み多くの訴訟を抱え消息は不明と報じられていたが、最近はTV番組への出演や雑誌『SPA!』の連載などメディアにも露出している。ちなみによく見る動画は、ニートが自らの日常を記録した「永井先生」。
「ニコニコ動画」 http://www.nicovideo.jp/

1月19日付でID登録者数が500万人を突破した動画配信サイト。ユーザーはサイト上にアップロードされた動画を見るだけではなく、コメントを書くこともできるため、ユーザー同士がサイト内でコミュニケーションをとることも可能。また、動画配信のみに留まらず、ニコニコ動画主催「国際ニコニコ映画祭」なる動画投稿コンテストも開催しており、既に2回実施されている。第3回国際ニコニコ映画祭のエントリーは2月10日(日)締切。審査にはひろゆき氏はじめ、手塚眞監督も参加。
「西村博之」 写真
前に戻る
ページの上部へ
プライバシーポリシー@ぴあ会員規約特定商取引法に基づく表示動作環境・セキュリティお問い合せぴあ会社案内
Copyright (C) PIA Corporation.All Rights Reserved.