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久しぶりに本格始動するTERIYAKI BOYZ(R)。約3年2か月ぶりにリリースされるニュー・アルバムを携えて全国ツアーもスタートする。日本を代表する4MCが「TERIYAKI BOYZ(R)だからできること」を語った。
Text●三宅正一 Photo●橋本塁
――プロデューサーの豪華さと彼らが提供したトラックの本気度、4MCによるマイクリレーの精度、そして作品全体のエンターテイメント性、何もかもがさらなる進化を遂げている痛快なセカンド・アルバムですね。
RYO-Z「はい。もう、ひとことで言うならヤバス!です」
ILMARI「ほんとにヤバス!」
一同「ほんとにヤバス!」
――(笑)どのようにヤバスなのか教えてください。
ILMARI「前回同様、各プロデューサーがどんなアルバムになるかは知らずにそれぞれトラックを送ってくれたんですけど、それにしても統一感があるというか。1曲1曲だけじゃなくて、アルバムという森として見てもヤバス!ですね(笑)」
――すべてにおいてTERIYAKI BOYZ(R)としてのキャラクター性が濃くなっていますよね。ワールドワイドな舞台で真剣に遊ぶこのムードはTERIYAKI BOYZ(R)ならではですね。
VERBAL「そうですね。企画性がすごくあるプロジェクトだと思うんですよ、TERIYAKI BOYZ(R)って。海外の著名プロデューサーがつくったトラックで“手前味噌ですけど”日本のオールスター・ラッパー4人がラップするみたいなことを言ってもらえてるわけじゃないですか。そうなってくると“名前だけでどうにかしようと思ってるんでしょ?”って思われるかもしれないんですけど、ほんとに出来がいいんです、このアルバム」
WISE「間違いないね」
VERBAL「ほかのメンバーのパートを唄いたくなるぐらいみんな精魂込めてラップを書いていて。楽しむと同時にかなりシリアスにトラックと向き合ってるんですよね」
――『SERIOUS JAPANESE』というタイトルや「5TH ELEMENT feat.CORNELIUS」という曲でもヒップホップの4大要素(DJ、ラップ、ダンス、グラフィティ)に加わるのは“和”であると打ち出し方をしていますけど、やはりTERIYAKI BOYZ(R)では“世界における日本”という視点が重要になってきますか?
RYO-Z「結成当初はそこまで意識してなかったんですけど、だんだん無意識のうちに外国人にも向けたラップをしようという感じが出てきたんですよね。外国人が聴いてもわかりやすい日本語を歌詞に忍ばせるという遊びがおもしろかったりして。そういうなかで“日本語ラップもすげえんだぜ”ってアピールできたら最高というか」
VERBAL「あと、このグループの構成がいまの日本、もっと言えば東京を物語っているというか。メンバーの国籍を見てもILMARIくんとWISEはハーフで、僕は韓国人で、RYO-ZくんとNIGORさんのふたりが日本人っていう。そういうグループが日本人の感覚をもって日本語を主体にラップしてライフ・ストーリーを描いていく、その感じがTERIYAKI BOYZ(R)が表現している東京っぽいおもしろさだと思うんですよ」
ILMARI「うん、間違いない!」
――いろいろな国籍や文化が交わっていて……。
VERBAL「それをジャパニーズの感覚として表現するっていう」
――それはまさにTERIYAKI BOYZ(R)の独自性だと思いますね。さらにTERIYAKI BOYZ(R)の活動から各々のグループやソロ活動に持ち帰れることもたくさんあると思うんです。
WISE「僕は普段ソロ・パッパーとして活動しているんですけど、ほんとに持ち帰れることばかりですね。海外のプロデューサーたちと曲を制作する経験もそうですけど、m-floのVERBALしかり、RIP SLYMEのふたりの先輩しかり、自分がデビューする前から影響を受けていたラッパーですから。リリックを書く上でもライブのパフォーマンスにおいても学べることばかりですね」
RYO-Z「TERIYAKI BOYZ(R)ではRIP SLYMEではできないことにチャレンジしていてすごく楽しいんですけど“TERIYAKI BOYZ(R)のアルバム楽しみです!”って言われると悔しくなって“RIP SLYMEのアルバムも待ってろよ!”っていう気分になるんですよね。そういう相乗効果は感じていますね」
――ライバルなんだけど、どちらにも所属しているという(笑)。
RYO-Z「そうそう(笑)」
ILMARI「両方の活動時期が重なると大変だなと思うときもあるけど、自分でも贅沢な環境だなって思いますよ。ラップの書き方も違う表現ができるので」
VERBAL「僕はTERIYAKI BOYZ(R)の活動を通してかなり曲の制作方法の見え方が変わりましたね。海外のスーパー・プロデューサーと呼ばれる人たちと関わることによって“こんなこともしていいんだ!”っていう発見をありえない広がり方で得ることができるというか。前は“ファレル(ウィリアムス/ネプチューンズ)カッコいい!”ってある意味ファンとして見ていたのが、実際に一緒にスタジオでセッションしてみると“こんなふうにやってるんだ!”とか逆に“これでいいの!? テキトーだな!”って思うこともあったりして」
――でも、その勢いがヒップホップとしてのダイナミズムにもつながったりする。?
VERBAL「そうそう! だから、例えば歌詞のなかに5年後には死語になっているような言葉を入れてもいま自分にとってフレッシュであればそれでいいって、割り切れるようになったんですよね。そうやってフィジカルな反応を優先してヒップホップを感じるという、まさにラッパーとしての原点にも立ち返ることができたとも思ってます」
――2月からは全国ツアーもスタートしますね。意気込みはどうですか?
RYO-Z「まずは日本中のキッズたちを盛り上げてナンボだと思ってますから。このアルバムが完成したことによって曲数も一気に増えたので、より楽しく、そしてシリアスに全国をロックしたいと思います!」