@ぴあTOP > インタビュー > ジェリー・イェン

F4のことを話し始めると、楽しげな顔つきになり、思い出話が止まらなくなる。まるで学園ドラマでのジェリーそのままで、F4でのハプニングを語りはじめた。

「4人が一緒の時は、ビックリすることがたくさんあって楽しいんです。以前、コンサートが終わって打ち上げの時に、炭酸飲料をちょっと振ってみんなにかけようと仔仔が提案したんですよ。じゃあ、やろうってことになって、よし1、2、3で……。そしたら、彼やらないんです(笑)。僕だけが浮いてしまって(笑)。ひどいですよね〜。彼のニヤニヤしたあの嬉しそうな顔は一生忘れないと思いますよ。いつか仔仔には復讐してやろうと思ってますけど(笑)」

こうして楽しいF4の裏話を一段落させ、ひとたびソロの話に戻すと、突然「……寂しいですね」と、静かに漏らした。

「でも、口数は増えています(笑)。とくに僕は無口でマスコミの方や一般の方たちへの印象が悪かったと思うんです。でもただ、それは情けない話、質問に対してプレッシャーを感じて黙ってしまうところがあった。たとえば『F4のメンバーで一番知名度の高い人は?』のような質問に対してね。黙っていても、口を開いても、その話題がひとり歩きしてしまう。だからソロになって全てのことが自分にかかってくるという事で責任は持てるようになった。それは安心というか……不安も大きいですけどね」

家庭環境と謙虚な姿勢 ジェリーのイノセンス

ソロとF4との活動の差。その自覚を持つことが、今のジェリーを作り上げている。ただ、それを作為的に学んできたわけではなく、自然体のまま、ジェリーがまったく軸をぶらさないで学んできたことが、彼の純粋さを醸し出す源になっているようだ。事実、この度、撮影が始まる日台合作ドラマ『華麗的挑戦〜Skip・Beat!〜』の監督ニウ・チャンザイも「スターになるにつれ謙虚さを増し努力をする人。それがオーラとなっている」とジェリーを評している。だが、このピュアネスはいったいどこから? そのヒントは、彼の育った家庭環境にあった。

「すごく好きで、観て号泣してしまった映画があるんです。それは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』なんですけど、セルマという母親に自分の母の姿を重ねてしまって……。僕の家も父がいなくて母だけ。まぁ僕の場合は姉がいたので3人家族でしたけど。僕は、普段でも時々自分の母のことを思い出すんですけど、思い出す度に目が潤んでしまうんです。決して僕は涙もろいというわけではないんですけどね(笑)。僕が小さい時、家はものすごく貧乏で、初めてお母さんが自転車を買ってくれたときの嬉しさったらありませんでした。でも自転車に乗ったらいきなり交通事故。それで自転車がペシャンコに壊れちゃったんです。自分も怪我をしたんだけど、自分の怪我なんてどうでもよくて、母に苦労かけて買ってもらった自転車が壊れたのが申し訳なくて……。また、中学生の時の話ですが、僕が学校の間、母は働いていて、学校が終わった後に僕がいつも自転車で母を迎えにいったり、あるいは母が早く会社を終えたら逆に迎えに来てくれたり。いつも自転車は母の後ろに僕が乗るんですね。その時に思っていたのは、一生懸命僕と姉の世話をしてくれる母を、僕が守ってあげなければ、ということ。この思いがすごく強かったんです」

母へのいたわりの心、そして優しさ。彼がどんな荒波にもまれても、どんなにつらいことがあっても、イノセントに乗り越えてきているのは、母への愛からだったのかもしれない。一見派手に見られがちなジェリーだけに、そういった偏見をバネにして、余計に心の純粋さを守ろうとしているのではないだろうか? そうすると、彼の揺るぎないアイデンティティに理由がつく。そのアイデンティティがあるからこそ、台湾から発信したアイドルの中でも、飛び抜けて魅力的に映り、それがアジア全土の女性のハートをとらえているのではないだろうか。ものすごいイケメンなのに母性をくすぐる、不思議な佇まい。これがジェリーの最大の魅力なのだろう。最後に、ジェリーに今後の展望とやりたい作品は? と聞いたところ、こんな謙虚な答えが返ってきた。

「これからは何でもやっていきたいんです。それはジャンルもストーリーも共演者も含めて、何でも。作品選びに基準はありません。とにかく、観てくださる皆さんが、僕を観て楽しんでくれて、引き寄せられるようなこと。それがたとえひとりのお客さんのためだったとしても、喜んでいただけるならばずっと続けていこうと思っています」

特集「ジェリー・イェン 宿命と素顔」、フォトギャラリー

インタビュー一覧へ戻る

おすすめトピックス

オススメキーワード【PR】

PROFILE

言承旭(ジェリー・イェン)
'77年1月1日、台湾生まれ。本名は廖洋震(リャオ・ヤンジェン)。通称・暴龍(バオロン)、阿旭(アシュー)。'98年に雑誌『Men's UNO』のモデルコンテストで優勝し芸能界入りし、'00年に『明星★学園 第1シリーズ』にて俳優デビュー。『流星花園〜花より男子〜』で道明寺司役を演じ、一躍トップアイドルに。F4としての活動を経て、ソロ・アーティスト、俳優としても活躍。'05年には自らの事務所を設立し、さらなる活躍の場を広げている。
公式サイト

@ぴあに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)はぴあ株式会社の承諾なしに無断転載することはできません。

ページTOPへ