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Interview

中村 中 人の心の“異常気象”を晴らしたい

中村 中

シングル『事勿れ主義』をリリースした中村 中に、曲へ込めた思い、さらに来年2月に発売になるアルバムの内容とそのツアーについても訊いてみた。

Text●@ぴあ編集部

「来年は年女なので、勇み足で活動したい」

――12月17日に発売されたシングル『事勿れ主義』ですが、この曲を作ったきっかけは?

「人が傷ついているのに、見てみぬ振りをしたりする人が多いと感じていて。例えば、その人に助ける力がなかったとしたら、そういう人全員を責める事は出来ないかも知れないけれど、せめて人に伝えたり、別の人にSOSを出したりする事くらい出来ると思います。そういう事に対して凄く腹を立てている時期が長くて、憂さ晴らしの為にこの曲を書きました」

――ジャケットの構図は、どんなイメージでこんな風に?

「ジャケットは、あたしがビンタをされています。逆説的ですが、助けを求める事が上手く出来なかった側に対してへのメッセージでもありますし、何より憤りを感じているからには自分にも喝を入れたいが為です」

――この曲で初めて亀田誠治(※1)さんとお仕事されたそうですが、いかがでした?

「亀田誠治さんには“あたしは事を興す主義”だという気持ちに凄く乗っかっていただいて。実は、デビュー前にお世話になるかも知れないお話が流れてしまって…、その頃からの時間の幅も飛び越えるようなお腹に気持ちいい曲に仕上げてくださいました」

――カップリングは、『煙草』、『部屋掃除』の2曲なんですね。

「カップリングは、後のアルバムには入れないので、是非聴いていただきたいです。『煙草』は、望んではいけない恋を歌ったバラード。『部屋掃除』は、年末の大掃除の時に聞きながら掃除をしていただきたいカントリーテイストな曲です。どちらも、表題曲とは違って、聞き分けの良い女性象が歌われています」

――いまアルバムの話も出ましたが、テーマを伺ってもいいですか?

「『あしたは晴れますように』というタイトルです。テーマは“旅立ち”。今年の、特に夏はザブザブ雨が降って、所謂“異常気象”が騒がれていました。TVを見ていても、悲しいニュースが多くて、なんだか毎日が土砂降りのような世界になってきたなぁ、と思っていました。人の心の中にも“天気”が存在していて、雨雲が涙を流したり、太陽のように笑ったりします。人の心の“異常気象”を晴らしたくて、私はいつまでも家の中で遠い街に落ちた雷を見ているだけではイケナイ! と思いはじめました。外に飛び出して、実際に雨に打たれながら、人の痛みに触れなければ、触れるための準備をしなければと思い“旅立ち”というテーマを考えました。人の心の雨雲が晴れますように。この雨が止みますように。旅に出るなら、晴れている方が良いですからね。そういう意味を込めて『あしたは晴れますように』と名づけました」

――現在そのアルバムのレコーディング中ですが、ライブも行われてますよね。

「今年の締めくくりに『夜明けを追いかけて』と銘打って数か所のライブを行っています。実は今年、2ndアルバムの為のライブを満足に出来ていなくて…。作り出してしまっている新しい作品と、過去の自分と分離し始めていて、どうにも歌いにくい気持ちでいました。その為、ちょっと無理言って2ndアルバムの為にライブをお願いしたところ、数か所ですが、用意してもらいました。もらいましたからには、素敵なライブにしたいわけです。丁度年末ですし“夜明け”は“年明け”のイメージでもあります。良い年明けを、素敵な初日の出を見れますように。というような気持ちも手伝って『夜明けを追いかけて』です。気持ちが前のめりだったため、“追いかけ”たくなったのでしょう」

――では、来年決定しているツアーの方はどうなんでしょう?

「来年のツアー『異常気象』は、来年2月に発売予定の3rdアルバム『あしたは晴れますように』のツアーです。実は、『夜明けを追いかけて』と繋がって考えているんですが、例えば、夜が明けると、周りに何があるのか良く見えて来ますよね? でね、夜が色々な物を隠している場合だってあると思うんです。『異常気象』は、2008年にあった“ゲリラ豪雨”のイメージで、いつ、どこで何が興るかわからない現代を象徴していると思います。夜が明けて、さあこれからが本当に辛い時間だよ。でも皆さん、負けるわけにはいきません。生きましょうよ。という気持ちです」

――2008年も終わりですが、中さんにとって今年はどんな1年でしたか?

「今年はとにかく、3rdアルバムの“旅立ち”というテーマに基づいて曲作りをする事が一番大事だったので、人と人との繋がりについて考える事が多かったです。サウンドにしかり、詞の世界にしかり、精神的にも、“もっと風通し良い作品を作ろう!”というテーマのもと過ごしていました」

――「悲しいニュースが多くて、土砂降りのような世界になってきたなぁ」とさっきお話の中にありましたが、何か“晴れ”のエピソードを聞いてみたいなぁ。

「今年の年末は、ひとつ嬉しい事があって、演歌歌手のジェロさんと共に『晴れ舞台』という曲を作れた事です。確かに暗いニュースが多くて、悲しい毎日ですが、その“暗いニュースを晴らしたい!”という気持ちは、この曲にも歌いこまれています。ベーシックは、“母への感謝の気持ち”ですが、もっと人間的に大事な事をこっそり添えて置くことが出来て良かった。どうにか、少しでも明るい未来になりますように」

――それでは最後に、来年の抱負を!

「今年は活動が控えめでした。来年は年女なので、勇み足で活動したいです。まずはアルバムがありますから、まだレコーディング中ですが、心込めて作る事が、来年の一発目の大仕事になりそうです」



※1 亀田誠治 : アレンジャー・プロデューサー、ベースプレーヤー。これまでに、椎名林檎、平井堅、スピッツをはじめ、Do As Infinity、SOPHIA、YUKI、スガシカオ、Chara、アンジェラ・アキ、風味堂、秦基博、Puffy、松千などのプロデュース&アレンジを手がけている。2004年夏から椎名林檎らと東京事変を結成。

ワタシがススめる! 最近気になるアレコレ

『sisters』
製作・発売元:
株式会社パルコ/6300円

『sisters』
今年観た舞台で、一番好きなものは『sisters』です。松たか子さん、鈴木杏さんらが出演している舞台。心を鷲掴みにされて、3回も足を運び、DVDまで購入してしまう始末。

DVD詳細・購入

 

『ケイゾク』
「ケイゾク」
DVDコンプリートBOX
発売元:TBS
販売元:キングレコード
8枚組 26040円

『中谷美紀』
最近は、中谷美紀さんに再度はまっていまして、映画も色々見ましたが、TVドラマの「ケイゾク」や「R-17」を見ました。特に「R-17」は、放送されていたのは当時16歳くらいだった頃で、その頃の事を思い出しながら見ました。今の時代にも見るべきだ。若い人にもっと見て欲しいと願っています。

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『野狐禅』
発売中 / 1680円
WESS Records / WHCD-55

『野狐禅』
ちなみに、12月17日に『事勿れ主義』というシングルと、同日に発売されている野狐禅(やこぜん)さんの『野狐禅』というアルバムもオススメです。特に、収録曲のひとつ『シーグラス』、ハンカチなしでは聴けません。この人達の曲じゃないと、あたし、泣けない。

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PROFILE

なかむら・あたる
1985年生まれ。シンガーソングライター。独学で身につけたピアノで15歳より作曲を、日常にある葛藤や自身の考えを綴り作詞をし、独特な感性で楽曲を創り始めた。2005年6月には自主制作盤『友達の詩』発売。2006年6月28日、21歳の誕生日にシングル『汚れた下着』でデビュー。舞台やドラマにも出演しており、音楽を基軸とした様々なフィールドでの活躍に今後も期待が高まる。
公式サイト

INFORMATION

Concert Tour 2009「異常気象」
2009年3月7日(土)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールからスタート。

チケット情報

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SINGLE

中村中『事勿れ主義』

『事勿れ主義』
発売中 / 1260円
avex / AVCD-31388

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