- 『プリンス・オブ・ペルシャ』
- Xbox 360用ソフト
発売中 / 7329円
ユービーアイソフト株式会社
今年3月に公開された映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』で声優を務めた成海璃子が、『プリンス・オブ・ペルシャ』でゲーム声優に初挑戦。膨大な台本と格闘した感想から、最近の彼女のことまで語ってもらいました。
Text●川渕一彦
――今回は、壮大な冒険が生み出す神話と伝説を描いたゲーム『プリンス・オブ・ペルシャ』に声で出演。ゲーム声優初挑戦の感想は?
「全てが初めての体験だったので、その全部が苦労でした(笑)。声だけで全てを表現するという作業は、ひとことひとことに神経を配ったり、考えなきゃいけないことがいっぱいありました。私が演じたエリカの『芯からの強さ』を表現したかったんですが、私はエリカみたいに強気な性格じゃないので(笑)。だから、自然体で演じることにしました」
――ほかに印象的だったのはどんなこと?
「ドラマや映画と違って、セリフの量がとても多かったので驚きました。ゲームの展開によって、セリフが変わってくるということもあるんでしょうけど、本当にすごく多いので『声優さんは大変だなぁ』って(笑)。台本もすごく分厚かったんですよ。たぶん10センチぐらいはあったと思います(笑)。声を吹き込むときは、レコーディング用のブースでやるんですが、ずっと同じ場所での作業なので、集中力を保つのも大事なんだと感じました」
――その集中力はどうやって保ったの?
「それはもう気合いですね(笑)。一日8時間は、そこから出られないので、もう『やるぞ!』っていう感じで覚悟を決めないと頑張れないんですよ。それを5日間続けました」
――逆におもしろかったことはあった?
「う〜ん(笑)。もう、ただひたすら『難しいな』と思いながら、頑張っただけという感じなので……やっぱり、きつかったかな(笑)。でも、またすばらしい作品に出会えたら、ぜひ参加させていただきたいです」
――ところで璃子ちゃんは、ゲームはやるの?
「コントローラーの操作もあまりよく分からないし、どちらかというとニガテだと思います。でも、眠れないときなんかには、たまにやるんですよ。それは、現実逃避っていう感じですね(笑)。やるのはパズルゲームとか。対戦ゲームは、負けると悔しくてしょうがないから、私には向いてないなって(笑)」
――負けず嫌いなんだ。たとえゲームでも負けるのがいやなの?
「いやです(笑)。相手に『頼むから勝たせて』ってお願いしてでも勝ちたいです(笑)」
――エリカみたいな強気な性格じゃないけど、対戦ゲームには負けたくないんだ。
「ふふふ(笑)、そうですね(笑)」
――璃子ちゃんが演じたエリカは超能力の持ち主だけど、もし自分にそんな能力があったら、どんなふうに使ってみたいと思う?
「エリカは、冒険者のプリンスが崖から落ちたときに助けてくれたり、いつもそばにいてパワーを発揮してくれるんですよね。もし、私がエリカみたいな超能力を持っていたら、仕事でも普段の生活でも、全てのことを自分が思うように実現させてみたい。でも、できるなら本当に透明人間になりたいです」
――透明人間? どうして?
「私は、たくさんの人に見られると緊張するんです。見られることは、仕事上しかたがないんですけど。だから、悲しいかもしれないけど、透明人間になれたら楽かなって(笑)」
――楽だけど、悲しいの?
「だって、本当に透明だと、私の存在に気がついてもらえくなっちゃうから。誰にも気がついてもらえないっていうことは、家族とか仲がいい友達も気づいてくれないんですよ。それは、やっぱり悲しいです」
――さて、今年ももう終わり。ドラマや映画、CMと活躍した2008年はどんな1年だった?
「さんざん……いや、いろんなことがあった1年でした(笑)。もちろん、毎年いろんなことがあるんですが、今年は16歳になって、自分で決断しなきゃいけないことがたくさんあるんだっていうことに気がつきました。いいことも悪いことも含めて、自分の人生なんだからって。普段の生活も仕事も含めて、そんなふうに考えさせられた1年でした」
――自分でも成長できたと思う?
「いや、成長できているかどうかは分からないです。もしかしたら、ダメになっているかもしれないし(笑)。自分のことって、本当によく分からないですね。でも、しっかり成長できるようにしていきたいと思っています」
――来年早々には、2本の映画公開も控えているんですよね。どんな作品なのかな?
「竹中直人監督の『山形スクリーム』では、普通の女子高生を演じたんですけど、コメディだしホラーでもあるという独特な映画なんです。コメディとホラーって、どっちなの? って聞かれたら……それは、お楽しみに(笑)。コメディ作品と言われる『罪とか罰とか』も、私自身はマジメに演技をしたのに、一歩ひいてみるとコメディっぽくて。それが、ちょっと皮肉だなって(笑)。2作品とも、これまで体験しなかった内容で、とても新鮮だったし、すごく楽しい撮影でした」
――女優・成海璃子としてはどう?
「決して、今の自分や仕事の取り組みかたに慣れたくはないんです。だから、『あなたには、できないんじゃない?』っていわれるものほど、挑戦していきたいです。うまい演技をしようとは思わないし、常に『おもしろい』と感じながら、興味を持って作品に参加できたらいいなと思っています」
――最後に、来年、プライベートでやってみたいことは? 透明人間以外でね。
「う〜ん……公園に行きたいです。公園に布団を持っていって寝てみたいんです(笑)。あんまり外に出る機会って少ないから、そんなことができたら楽しそうだなって。いい天気の日に、広くて緑がたくさんある公園で寝たら、すごく気持ちよさそうだなって思います」
――たくさんの人に見られちゃうよ。
「そのときは、きっとだいじょうぶです(笑)」
