@ぴあTOP > インタビュー > 対談 シーナ&ロケッツ×中村獅童
Text●今井智子 Photo ●源 賀津己
80年代初頭、パンク/ニューウェイヴと共に新しいユースカルチャーが世界中で勃興していた頃、東京にもその拠点となるユニークな店が次々に誕生していた。原宿のピテカントロプス、六本木インクスティック、そして西麻布(当時は霞町だった)のレッドシューズ。ピテカントロプスとインクスティックは、新進気鋭のバンドや先鋭的なアーティストのライブが夜な夜な行われ、伝説として語り継がれているが、レッドシューズはライブなどなくても多くの伝説が生まれた店だった。国内外を問わず様々なアーティストやミュージシャン、スターたちが夜毎に集い、レトロなジュークボックスから流れる新旧の音楽を楽しみながら、飲みかつ語る。そこからまた新たなカルチャーやトレンドが生まれていった。レッドシューズは1995年に一度閉店したが、2002年に場所を移して再開し、以前にも負けず劣らず多岐に渡るお客さんで賑わっている。
そんなお店がプロデュースする年に一度のお祭りが「Wear Red Shoes」。常連のアーティストたちが集う、他では考えられないゴージャスなラインナップのイベントだ。普段お店に行けない人にも、レッドシューズの雰囲気に触れることの出来る面白い機会で、2002年からこれまで6回行ってきたが、今年は東京だけでなく、大阪・福岡・金沢でも開催する。初の試みに、オーナーのモンちゃんこと門野久志はもちろん、参加する人たちも今から盛り上がっている。東京・大阪公演の出演者を代表して、シーナ&ロケッツの鮎川誠・シーナ、ここではDJやボーカリストとして活躍する中村獅童に、これまでの思い出や今回への心意気を語ってもらった。
門野「そもそもレッドシューズは、80年代に一世風靡したカフェ・バーの第1号店。僕はそこで働いていて、シーナさんと鮎川さんを始め、いろんな人に出会って、いろんな楽しいことを覚えた。カッコいい男の立ち居振る舞いとか。大人の学校みたいだったよね。それを若い人に伝えて行きたいという気持ちから、レッドシューズを継承したいと思って、7年前にここで再開した。それで、年に一度、店を飛び出して大騒ぎしようと始めたのが、この『Wear Red Shoes』というイベントで、今年は地方まで足を伸ばすわけ」
シーナ「レッドシューズはね、地方でも有名だからね。サンハウスの(坂田)鬼平も、ねえ?」
鮎川「そう、ウチの、サンハウスのドラムの鬼平が東京に来て、レッドシューズに寄りたいって電話かけてきて」
シーナ「みんな寄るよね、レッドシューズは」
鮎川「ここは、ミュージシャン+音楽+仲間の顔勢揃い。今日は誰が来とったとか、誰と会ったとか。さっきもクラプトンがかかってて、モンちゃんの話がどうでもよくなるぐらい、音楽に気持ちが行ってしまう(笑)。いつもブライアン・フェリーやらシャーデーやら、かかっとる、一代目の頃からね。ロン・ウッドやらもここで大騒ぎするし、バーナード・ファウラーは必ず来るし、ローリング・ストーンズの人たちみんな、東京公演に来るのかレッドシューズに飲みに来るのか(笑)。でもそれも、音楽ありきなんよ。ダサかったら自分もカッコ悪い。ここは適度におしゃれなんよね。気取りすぎていない。その兼ね合いがナチュラルで、すごくいい。思い出すに、僕たちは、シーナのソロ作る時に細野(晴臣)さんが、『じゃレッドシューズで会おう』と行ったのが最初だね。あれは1982年だね」
シーナ「カフェ・バーって言葉もなかったけどね」
鮎川「細野さんはお酒飲まんし、僕らもそんなに飲まんけど、それでもオッケー」
シーナ「人に会う方が大事。俳優さんからタレントさんから、歌舞伎さんから(笑)。すごいよねえ?」
鮎川「僕は、中村獅童さんはDJやってるの見たのが最初。おお、やるんだ、って」
シーナ「そうそう、カッコいいと思った。ロックの好きな、Wow,BABY!って感じ(笑)。なんか、嬉しかった」
中村「僕が門野さんと知り合ったのは、前にやってたラリーって店で、ミュージシャンの人がよくいらしてて。僕はまだ無名な頃だったから、誰だ?って思われながら(笑)。映画に出るようになって、頑張ってるんじゃないかって言われて、一緒に何かやろうって誘ってくれたり。いい先輩ばっかりですね」
鮎川「最初はひとりでふらっと来たの? それとも誰かと一緒に来て?」
中村「最初は、友達に連れて来てもらって。しょっちゅう来るようになって、そのうちに『門野さんDJやらして』って(笑)」
門野「うん。アツいヤツなんで、そのうちにコミュニケーション取れてきて」
中村「奥田民生さんとかと皆で飲んでて、『一緒に歌おう!』って、俺シロウトなのに(笑)。気持ちよく歌ってて、ふと横を見ると民生さんがギター弾いてる(笑)」
シーナ「いいよね、ここではみんな優しいのよね。それが嬉しい。だから好きな場所よね。そういう気持ちが、イベントにも集まってる」
