Text:佐藤さくら Photo:源賀津己
ヘアメイク:相場広美 スタイリング:江島モモ
衣装協力:ユキトリヰインターナショナル ユキトリヰ(株式会社トリヰ)
アビステ(株式会社アビステ)
極上の“素材”であることは誰もが知るところだ。稀有な料理人、三谷幸喜がこの人をさまざまに料理したいと考えるのも当然のことだろう。これまで三谷作品において舞台に映像、群像劇にひとり芝居と八面六臂の活躍ぶりを見せてきたその人――戸田恵子が次に挑むのは、ふたり芝居『グッドナイトスリイプタイト』。
「『なにわバタフライ』('04年)に出演した時に、三谷さんから『やったことのない舞台をやりたい』と言われたんです。私は『ふたり芝居がいい』と言ったのに、『僕は書いたことあるから、ひとり芝居で』と(笑)。今思うと出演者ふたりというプランはその当時からあったようですね」
三谷が満を持して料理するふたり芝居。もうひとつの素材に選んだのは、昨年『コンフィダント・絆』で三谷の舞台に初出演した中井貴一だ。
「中井さんはお友達なんですが、どこか同じ“匂い”を持ってらっしゃる方。だから安心感があるし、作品を一緒に作っていけるのが嬉しい」
本作ではひとつの仕掛けとして、寝室にあるベッドが、夫婦の心の距離を表すのも見どころのひとつ。
「倦怠期に段々ベッドが離れていくというのはよく聞きますよね(笑)。ただ寝室での会話は、夫婦一緒に背負う問題だったり、ひとり言だったり、本当に色々だと感じます。ひと口に夫婦といっても百通りあると思いますけど、よそんちの夫婦を垣間見る感覚で楽しんでもらえれば」
極上の素材に料理人。ならば苦味まで美味であることは間違いない。