ふたりそれぞれのソロ活動を経て、いよいよ本格的に始動するスキマスイッチ。大盛況に終わった全国Zeppツアーに続き、5月20日(水)にリリースするニュー・シングル『虹のレシピ』では、ホーンセクションを導入した新しい手触りのサウンドを披露している。ふたりが今、スキマスイッチで表現しようとするものとは？

――いよいよスキマスイッチの活動が本格化しますね。昨年のソロ活動中に得たものとは何だったと思いますか？

大橋「本当にいっぱいあるんですけど、まずはバンドのボーカルという、これまでと違ったスタンスで歌を歌えたのが良い経験になったと思います。夢が叶った、という思いもありますね。それに、僕なりの音楽づくり、というひとつのパターンを確立できたと思います。“ソロ活動は修行だ”と言ってきましたけど、自分の歌を突き詰められたのも大きいですね。その中で学んだことを、スキマスイッチでも活かしていけたらなって」

常田「僕は色んなプロデュース活動をやってみて、音楽づくりにも色んなやり方があるんだ、ということが勉強になりましたね。会社が違えば条件も変わってくるし、使ったことがないようなスタジオでレコーディングできたり、新しいミュージシャンの方と知り合いになれたり。自分自身では良く分からないですけど、こういう実質的な変化を経験して、たぶん変わったんじゃないかと思います。女性をプロデュースして、あるいはバンドとやってみて、色んな考え方に触れたし、その中でどう自分を出していくか、と考えるのも面白かったですね」

――大橋さんの場合は、バンドでのライブ経験も大きかったのでは？

大橋「そうですね。メンタルな部分も含めて、ライブでの自分の在り方というものを実感できました。これまでは、ライブは自分との戦いだと考えていたところがあったんですけど、もっとお客さんに意識を集中することができるようになったというか。この辺はスキマスイッチでも使えると思いますし、歌ひとつとっても、喉だけじゃなくて身体全体を使うことを強く意識するようになったのも大きくて。この間のライブ(Zeppツアー)でも早速試してみて、手応えを感じることができました。“歌が飛んでいく方向が分かる”というか、歌が届く距離感がずっと広くなった気がします」

常田「大橋くんの音楽を、僕はいちファンとして“面白いなぁ”と思って聴いてましたね。ライブも観に行ったんですけど、はしゃいでいる部分もあったし、“自分自身で歌っている”ということが伝わってきて。頑張っているところもあれば、無理をしていないところもあって(笑)、すごく面白かったですよ。声を届かせるために、色んなチャレンジをしているんだろうなって。CDもドンドン良くなっていったし、本当に楽しませてもらいましたね」

――そして、いよいよスキマスイッチ久々のシングル『虹のレシピ』が完成しました。

常田「もともと(ソロ活動は)一年くらいやってみようと話して始まったので、いつ再開しようか、という話だったんです。4枚目のアルバムに向けて何から手をつけよう……という中で、まずはシングルを作ろうと。それで、去年の夏から制作を始めたんです。そこで(シングル収録の)『雫(しずく)』ができて、今年に入ってから『虹のレシピ』ができたという流れですね」

――先日のライブもそうでしたけど、ふたりで楽しみながら音楽を作っている感じが伝わってきますね。

大橋「今まで以上に“共作感”が強いというか、一緒に考える時間が長くなりましたね。もちろん、これまでも全部一緒に書いた曲はあるんですけど、ここまで時間をかけて、色んな事を一緒に考えながら、というのは新しかったです」

常田「お互いに“やりたいことを伝える方法”というのが分かってきているし、これまでみたいなシステマチックなやり方じゃ満足できなくなったんですよね。それで『虹のレシピ』からはもっと話し合いながらやってみようか、と」

――改めて、スキマスイッチというユニットの特性を確認した部分もあるのでは？

大橋「ふたりでやればスキマスイッチなんだ、ということが分かったのが大きいのかなって。“構築された音楽”という印象でこのまま突っ走って行くよりも、もっと色んな表情が見せられたらいいなと思うんです。だからこそ、今回は一発録りでやってみたんです。一発録りをすると、もちろん演奏にもライブ感が出るんですけど、一番変わるのは歌なんですよね。そこで生まれたソウルフルな歌も、ひとつの武器になったらいいなと思って。これまでの“精密な歌”というのをやめてしまうということではなくて、色んなやり方で表現したいと思うんです」

常田「その時々で自分たちの中で流行っているものを、僕らふたりが表現すればスキマスイッチなんですよね。だから、伝える手法や曲調で“これがスキマスイッチだ”というものはないんです。昔から“個性がない”と言われてきたけれど、自分たちがやりたいことを続けてきたユニットなので、これからもそれを続けられればなと」

――夏以降の活動についても教えてください。

大橋「まずは新しいアルバムに向かって、制作を続けたいです。夏はフェスにも出たいですね。声をかけてもらえるかどうか心配ですけど(笑)、フェスに出ないと、夏が始まらないというか、終わらないというか」

常田「アルバムは夏中に制作を終わらせて、今年中に間に合えばと考えています。楽しみにしてもらえると嬉しいですね」