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Interview

Superfly 孤独の末に完成した前向きな極上バラード

Superfly


Text●長谷川誠 Photo●三浦孝明
Hair&Make●池田慎二 Styling●竹淵智子
衣装協力●philip(メッシュベルト、他スタイリスト私物)

Superflyのニュー・シングル『My Best Of My Life』は深みと広がりのある名曲だ。迷いや恐れや不安、孤独感から、全力で生きていこうとする強い思いまで、実に様々な感情が詰まっている。だからリアルに響いてくる。彼女の表情豊かな歌声も素晴らしい。これはSuperflyが新たなる段階に突入したことを告げる作品でもあるだろう。

ロックは無心で歌うもの、バラードは心で歌うもの

――『My Best Of My Life』はドラマ『BOSS』の主題歌として書いた曲なんですか?

「曲は以前からあったんですが、歌詞はドラマのプロデューサーさんから“現代の強い女性の姿を書いてほしい”というリクエストがあって書きました。一作前の『How Do I Survive?』で描かれている主人公を今の女性像だと思ってくださったみたいで。現代の女性というと、かなり広いんですけど、25歳の今の私が強く感じている苦悩や迷いをそのままぶつけるのがいいのかなって。最近は今まで以上に孤独感を感じているので、孤独と向き合う自分の姿を描いていきました」

――どうして孤独を感じたのですか?

「アンコール・ツアー中に感じたことなんですけど、ツアーに入る前にノドの調子が良くなくて、病院の先生に“あまりしゃべらないほうがいい”と言われたんですよ。それでツアーの空き日は誰とも会わず、誰とも電話せずに、しゃべらないようにしていて。最初のうちは自分と向き合う時間を持てたことが良かったんですが、うまくいかないライブが出てくると、だんだん耐えられなくなってきた。スタッフの誰かに言えばよかったんですが、まわりの雰囲気が良かったので、弱いところは見せられないなって。それで自分で解決しようとしたんですが、出口が見つからず、ある日、もうええわと思って布団に入ったら、積み重なったつらさやら色々な思いが込みあげてきて、叫ぶように泣いてしまったんですよ。その時、お隣の家族の団らんの声や道を歩くカップルのはしゃぐ声が聞こえてきた」

――よりによってそんなタイミングで。

「それでこんなに地球上にはたくさんの人がいるのに、こうして泣いてる私の気持ちを知ってる人はひとりもおらんのやって思ったら、今まで感じたことがなかった窮極の孤独感が襲ってきたんですよ。怖かったし、不安にも駆られたんですけど、同時に誰も知らないってことが興味深く思えたので、枕の隣に置いてあるノートにその時の気持ち、人は孤独なんだという思いを書きなぐって」

――そこで書くところが創作する人ですよね。書くことで気持ちを整理したのですか?

「そこで割り切れました。人は孤独だからこそ、家族を作ったり、恋人になったりして、寂しさや幸せを分け合っていくんだなというのが私なりの結論で。答えかどうかわからないですけど、あ、そうかと思えた瞬間から割り切れて、孤独との向き合い方について考えるようになったんです。それでこの曲の話が来た時に孤独をテーマに書こうと」

――孤独と向き合いながら、前に進んでいこうとする姿も描かれていて、バラードなのに、前向きで力強い作品でもありますよね。

「前に行きたいという気持ちはかなり強いと思います。去年はまわりが道を作ってくれて、その上を歩いてたんですけど、今は目の前に道がなくて、どこに進むか、私が決めなければいけない立場にある。そこが去年とは違うんですが、これって正しいよなって確かめながら進んでいる今の私の姿を描きたかったんですよ。強がりであるがゆえに、人に頼れなかったり、弱くなれなかったりする主人公の姿は今の私そのものかなって」

――志帆さんの歌も素晴らしいですね。色々な思いがたっぷり詰まっていて。

「気持ち的にも歌的にも今までになかった感じにはなってますね。今までは自分の持ち味を出さなきゃって思ってたんですが、そういうことじゃなくて、心がどう歌いたいかが重要だなって」

――歌入れはどんな環境、どんな気持ちで?

「当日、お腹が痛かったんですよ。いつも歌入れの日は万全な体調で臨むのが私のポリシーなんですよ。そうじゃないと、声が出なかったりするので。でもこの曲は元気いっぱいだと、逆にウソくさいな、お腹が痛いぐらいで歌うのがちょうどいいかなって(笑)。うまく歌おうという気持ちを排除して、伝えることに集中して歌えました。歌いきることと生き抜くことは私にとってイコールなので、その意味では、新しい歌が録れたと思っています。歌う時に想像していた情景があって、そのイメージの中を泳ぐように歌えました」

――想像していた情景というと?

「この曲を聴いた時に、広い砂漠に濃いブルーの空が浮かんできたんですよ。その中で私が白い洋服を着て彷徨っているという。自分があたりの空間に馴染んでない感じがした。それで“こういう情景が浮かんできて、こういう歌が歌いたい”ってプロデューサーさんに伝えて、レコーディングに入りました。自分と同じ思いで楽曲に取り組んでもらえたら、さらにパワーのある歌になるかなって」

――バラードを歌う時とロックンロールを歌う時では気持ちの違いはありますか?

「全然違うものですね。ロックは無心で歌うもの、バラードは心で歌うもの。ロックファンに怒られそうですけど、ロックは一種の現実逃避というか、別世界に連れて行ってあげるものかなって。でもバラードは心で歌わないと、説得力がなくなりますよね」

――ということは、バラードを作る方がよりパワーが必要になりそうですね。

「バラードは相当疲れますね。書きたくない時もあるし、思い出したくない時もあるので。バラードを書く時は先に文章を書くんですよ。まず思ってること、感じてることをすべて文字にしていく。今回も途中で暗くなって。挫折しそうになる時もあったんですが、まわりの人々が救い出してくれて、完成させられました。それぐらいエネルギーは必要で。でもだからこそ、嫌で嫌で思い出したくもない、歌いたくないというくらい、生々しくて、リアルな歌を作っていきたいと思ってます」

――『My Best Of My Life』には“今始まる”“今始める”というフレーズもありますが、この先、どんな意識でのぞんでいきたいですか?

「今、アルバムを作っている最中なんですが、今しか描けない歌が詰まった作品にしたいんですよ。去年には感じなかった色んな感情が自分の中で込みあげてきているのは確かなので、感情がぶつかりあうアルバムが出来そうな気がしています。自分でも楽しみですし、みなさんにも楽しみにしていてほしいですね」

「デビューからわずか1年余り。大ブレイクを経て、今、思うこと」(2008年9月18日インタビュー)

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PROFILE

スーパーフライ
2004年、地元愛媛の大学サークルにて、越智志帆(vo)と多保孝一(g)を中心に結成。2007年4月、シングル『ハロー・ハロー』でメジャー・デビュー。11月には多保が表舞台から退き、志帆のソロ・ユニットとして新たにスタート。昨年5月リリースの1stアルバム『Superfly』は、50万枚を超える大ヒットを記録した。
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