- 『明日がくるなら JUJU with JAY'ED』
- 4月29日(水)発売 / Sony Music Associated Records
- 1223円 / AICL‐2011
映画『余命1ヶ月の花嫁』の主題歌である新曲『明日がくるなら』は、切なくも前向きなR&Bテイストのラブソング。この曲へ込められた思い、そしてJUJUにとって歌うこととは? その真髄に迫る。
Text●土屋恵介 Photo●源賀津己
――新曲『明日がくるなら』は、シンガーのJAY'EDさんと共演で届ける、映画『余命1ヶ月の花嫁』の主題歌ですね。
「今回は、映画の主題歌のお話をいただいたところからスタートした曲なんです。原作本や台本を読んで、ドキュメントや映画の(制作途中の)ラッシュを見てから書いていきましたね」
――歌詞は、切なくも前向きさが出たラブソングになっていますが。
「映画サイドの方から、2人の心境に沿った曲を書いてほしい、できればデュエットでってリクエストがあったので、いつか一緒にやりたかったJAY'EDくんを誘ったんです。映画は(主人公の)長島千恵さんと(交際相手の)太郎さんの愛に焦点を置いて描かれていて、千恵さんのさよならする悲しみよりも感謝の気持ちを太郎さんに伝えたい、先のさよならを考えるよりも今1秒でも一緒にいる時間が大事ってことが強く印象に残ったんです。歌詞には、さよならはさよならじゃないんだよっていうのが出ればなって。あとは、もし私が1人で歌ったら千恵さんの心境になるし、JAY'EDくん1人がこの曲を歌ったら太郎さんの気持ちになるし、それを2人で歌うことで、2人の会話になればいいなと思いましたね」
――2人の気持ちが1つというのが歌詞にも出てると。メロディやサウンドは、切なくもあるけど力強さを感じますね。
「内容はセンシティブだしバラードかなと一瞬考えたけど、千恵さん自体が、安室奈美恵さんが好きでクラブも大好きでって、今の時代の活発な女の子だったんですよね。あと、ドキュメント番組の時点で千恵さんが伝えたかったのは、若くてもガンっていうのは遠い未来のことじゃない、1人でも多くの若い人に知ってほしいってことだったから、悲しいバラードにするのは違うなって。逆にビートがある方が、千恵さんの気持ちに添えるかなと思ったんです」
――歌には、かなり気持ちがこもったんじゃないですか。
「実は、この曲の前に1曲作ってたけど、微妙に納得いかなくて、急遽レコーディングの3日前にゼロから作り直したんです。ギリギリ作業の中で、歌詞が書けない1日があったりで大変で(笑)。でも、2日間メロディと音にはがっちり向き合ってたので、3日目に歌詞が書けたときには歌詞を見なくても歌えるくらいで、歌に気持ちを込めようってよりも自然と心がこもったというか。なので、心は普段の5倍増しくらいでこもってます(笑)。なかなか無い体験でしたね」
――今までとはまた違った経緯を経て完成した『明日がくるなら』に対して、どんな思いがありますか。
「この映画に携われてよかったというのが率直な感想です。実話に基づいた映画に曲を書くのもそうだし、レコーディング作業としても、あと長島千恵さんの生き方にしても、すごくいろんなことを教えてもらいましたね。たぶんこのシングルを聴くたびにいろんなこと思い出すだろうなって」
――では話題を変えて、3月にリリースされ好調なセールスを続けているアルバム『What's Love?』について、今の感想を聞かせてください。
「アルバムは、ほんと大好きな1枚になったというのが最初の言葉。いつか、ジャンルのバラバラなコンピみたいなアルバム作りたかったんですよ。たまたま2008年のシングルの振り幅が広くて、よし、じゃあそういうアルバム作ろうと思って。愛って軸だけあってジャンルは全然バラバラなアルバムになったんです。元々、私は音楽的に気が多いんですよ(笑)。このアルバムを作って、“あのジャンルの人”っていわれないアーティストでずっといたいとすごく思いましたね。私が、ただの歌好きっていうのがみなさんに分かってもらえたらうれしいなって」
――そんなJUJUさんにとって、歌ってどんなものですか。
「何よりも好きなことだと思います。子供の頃から歌しか歌ってなかったし、歌が気持ちよく歌えたときが一番幸せなときだし。たぶん他人に自信も持ってお勧めできる自分のものって歌くらいなんです……多少、料理もうまいんですけどね(笑)」
――(笑)。シンガーとしてのターニングポイントってありましたか。
「以前、あるライブで、「ありがとう」っていってくれた女の子がいたんです。それまで私は、ただ好きで歌ってたとこがあったけど、私が歌うことで「ありがとう」っていってくれる人がいる、こんな素敵なことがあるんだって思ってから、歌に対する概念が180度変わりましたね。自分が歌いたいから歌うんじゃなくて、届けられる何かがあるんだったら歌いたいって思うようになったんです。それを続けてきて、私の歌が好き、私の歌で癒されるっていわれる回数も増えていって。まあ、私の人間性は全然癒し系じゃないんですけどね(笑)。でも、そんな私の歌で、疲れた人が明日もがんばろうって思ってくれたり癒されるなら、それが私が歌う意味なんだろうなって。ほんと、歌がなくなったら困りますね(笑)。歌うことが一番楽しいですもん」
――では、JUJUさんがこれからやってみたいことは?
「今回のアルバムを出して、今まで以上に私の歌を好きといってくれる人が増えたので、ギター1本、ピアノ1台でもいいので、行ったことないところでたくさんライブをしたい! ライブって、唯一CDを聴いてくれる人の顔を見て思いを届けられる場所だし、逆にお客さんからエネルギーをもらえる場でもあるので、いろんなとこに行ってみたいですんですよ。きっと楽しい空間になると思います(笑)」