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Interview

エレファントカシマシ 全国に吹き荒れるエレカシ旋風、再び!

エレファントカシマシ 宮本浩次

Text●柴 那典 Photo●源賀津己

通算18枚目となるニュー・アルバム『昇れる太陽』をリリースするエレファントカシマシ。『桜の花、舞い上がる道を』『新しい季節へキミと』『絆』というヒット・シングル3曲を収録、胸を震わす力強い情熱が伝わってくるようなアルバムだ。4月10日に行われた8年ぶりの武道館公演も満員御礼の大盛況。今再び時代の追い風を受けつつある彼らは、どんな思いをアルバムに込めたのか。宮本浩次に語ってもらった。

「エレファントカシマシというバンドにとって、歌が最強の魅力だった」

――素晴らしいアルバムが届きましたね。堂々とロックの王道を鳴らしているアルバムだと思います。

「ありがとうございます。1曲目の『Sky is blue』という曲が一番最後にできたんですけれども。そこにロックの王道のニュアンスを入れられたのはすごく嬉しかったんです。レッド・ツェッペリンでもストーンズでも、ロック・バンドのアルバムの1曲目には胸が躍るような最強のロック・バンド・サウンドが入っている。僕はそういうのが大好きだったんです。僕らは、スタッフやプロデューサーの人も含めて、みんなで僕らの歌を精一杯届けるということを一丸となってやってきて。それがロックなアルバムになったからすごく嬉しいですね」

――シングルでは、歌心を重視したポップなメロディを持つ曲が多かったですよね。アルバムでもそういう曲が粒立っていると思います。

「やっぱり、エレファントカシマシというバンドにとって歌が最強の魅力だったということに、シングルの楽曲を作りながら気付いたんです。その歌を盛り立ててやるという一点に、僕も含めてみんなの気持ちがひとつになったんですよ。不思議なくらいみんな一生懸命に、一曲一曲を作っていった。みんながいい歌を響かせるということに集中していたんです」

エレファントカシマシ 宮本浩次

――そういう風にメンバー、スタッフ、プロデューサーが一丸となってエレファントカシマシの魅力が歌であるとはっきり認識した時期は最近になってからなんですか?

「それはもう、昔からなんですよ。1stアルバムに入ってる『やさしさ』という曲でデビュー前にポプコン(ヤマハ主宰の音楽コンテスト)を勝ち抜いたときも、4人が誠心誠意歌を響かせることに集中していた。タイアップということもありました。たとえば『今宵の月のように』という曲は、ドラマの歌を作るというわかりやすい集中度合いを発揮できる格好の場所だった。下北沢のライブハウスに来てくれる人が喜んでくれればいいって作った『悲しみの果て』もそうだった。そういう経験は何度もしてきたはずなんだけど、ここ数年は、自分自身が歌の全てに集中することの大切さをわかっていながら、なかなかそれを形にするまでに至らなかったんですよね。でも、『俺たちの明日』という曲をレコード会社のスタッフと“男に向けて作ろうぜ”とやり始めてから変わってきた。歌のよさに集中していく、言葉を伝えることに集中していく、そういうことを学んでいった感覚があります」

――シングル曲として強い曲を作ったということで、バンドのクリエイティヴィティも増した感じはありますよね。アルバムを作るにあたっても、必要なものがわかってくるし、どんなものを作ればいいかというガイドラインが定まっていくという。

「しかも、それをほぼ無意識でやってたからね。たとえば『絆』が仕上がった翌日には『ネヴァーエンディングストーリー』を作っていて。曲に影響されて自然に次のモードにいってたんです。お互いに曲同士が刺激しあっている。でも僕らは単に、一生懸命次の曲を作るのに集中していくだけなんだよね。それが最高に幸せな時間でした。音楽のことで悩んでる自分っていうのが、本当に嬉しくてさ。そういう自分に憧れてたんですよ。『生活』というアルバムを作ってたときには、自分はどこにいくんだろうっていう悩みがあって……なんで俺はミュージシャンで歌手なのに、音楽を作るということだけで悩めないんだろう、なんでこんなに闘わなきゃいけないんだろうって考えてた。でも、このアルバムでは、ただただ音楽と対面することで悩めている。それは、涙がでるほど嬉しいことでした」

――ここ数年、エレファントカシマシは、ライブの動員やセールスも大きくなってきていますよね。それは単にタイアップがあったり、世の中で話題になったから売れているということではなくて、ひとり一人のリスナーに、歌の力や音楽の力がしっかりと伝わっているからだと思うんです。スタッフやメンバーという小さな輪の中で信じていることが、そのままぶれずにお客さんという大きな輪まで広がっているようなイメージがある。宮本さんはどう思われますか?

「なるほど。そういう風になってるんだったら、本当に素敵なことですね。それはひとつには、僕が歌を歌うという自分の毎日の義務というものをはっきりわかって、それを精一杯やってる姿の美しさに気付いたということもありますね。喜怒哀楽や理想や夢や悲しみや、そういうものを僕も当然持っている。それを持ってる人間が、歌を通じてみんなとコミュニケーションをとる。そこで自分の役割を、生きているっていうことを、はっきりと認識するんですね。みんなは歌声と歌詞を聴きに来ている。それをライブやCDでどうやって人に伝えることができるか。そのことを、曲を作りながら、ライブをやりながら、改めて学んでいけた。そういうことが、ある種の信頼のもとでお客さんと対峙できるエレファントカシマシのタフさみたいなものとして、ひとつの結晶になったのかもしれません」

――では、最後に。こうして出来上がったアルバムに『昇れる太陽』というタイトルをつけた由来は?

「“太陽”というのは各曲に出てくる大事なキーワードなんです。その言葉は、生きていくっていうことにも繋がっていく。最初は“太陽の下の往来”というものもタイトルのひとつの候補だったんだけど、でもそれだと、生きてる自分たちが主人公なんじゃなくて、太陽の下でいろんなことが行われているのを俯瞰して見ているような感じがして。『Sky is blue』という曲にも<俺に昇れる太陽>という歌詞がありますけれど、あくまで主人公は僕らで、昇れる太陽を自分が見ている。そういう、主観的な感じになるといいなと思ったんです」

エレファントカシマシ@日本武道館公演レポート
六角精児×宮本浩次「40代になって改めて考える表現者の道」(2009年3月26日インタビュー)

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PROFILE

エレファントカシマシ

エレファントカシマシ
1981年結成。メンバーは宮本浩次(vo&g)、石森敏行(g)、高緑成治(b)、冨永義之(ds)。4月11日に約8年ぶりの日本武道館公演を終えたばかり。また、5月14日(木)の新潟公演を皮切りに、新たなツアーが控えている。
公式サイト

INFORMATION

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ALBUM

エレファントカシマシ『昇れる太陽』

『昇れる太陽』
4月29日(水)リリース / 3300円(初回盤 DVD付)
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