──そもそもソロ活動を本格始動させたきっかけは何だったんでしょうか？

「L'Arc〜en〜Cielの活動の中で時間が空いた時があって。その時に、L'Arc〜en〜CielとかSONS OF ALL PUSSYS(以下S.O.A.P.)とかソロとか考えずに作曲してるとこからいつの間にか……なんですよね。で、そうやって作曲したものを聞いてるうち、この曲はこういうドラマーの方にたたいてほしいな、とかっていうことを考えたりしていて。だから、曲が先にあって、それを作品として出そうっていうことの延長線上にソロがあった、っていう感じなんですよね」

──そうやって出来たアルバム『IN PHYSICAL』は、名著『IRON MAIKEN』のもとにもなったハードロックやヘヴィメタルの要素が随所から嗅ぎ取れる一枚でもあると思うんです。制作中、音楽的な原点に戻ってみようという思いがあったのかな、と。

「ギターを弾いていて気持ちいい、という感覚は当時と似てたと思うんですよね。たとえば1曲目『Repose in Sound Sleep』でピアノを弾いてますけど、あの抽象的な感覚ってギターを弾き始めた時の感覚と似てるんですよね。なんちゃってでもいいからギターを弾こうとしてた当時の俺と、ピアノを自分のイメージの通り弾きたくて弾いてる1曲目の俺。もちろんふたつの間には”技術”とか”経験”っていう距離はあるけど、何にもとらわれずに音に向かうという作曲の姿勢は似てるというか。思い通りに弾けるわけじゃないし、とくに作品にするとかも考えず、でもなんとなく気持ち良くて弾く。そういうことを中学とか高校の時にギターを弾いて感じてたんですよね」

──なるほど。ただ、『IN PHYSICAL』というアルバムには、あの頃につちかわれたメタルやハードロックへの愛が色濃く出てるのは事実ですよね。

「『In Physical』とか『My Angel』のソロとかは、曲調はこうだけどこういう要素がほしいよなってとこで(ひらめいた瞬間に)パッと弾いちゃってるから、やっぱハードロックが好きなんだなっていうところが出てるなって(笑)、後になって思いますよね」

──やっぱり(笑)。その辺はリミッターをかけずに出していこう、と。

「ギターソロはアドリブで、これは弾きすぎてるとかそうじゃないとか、考えずに弾いたからかな？　その分、不確定要素が強いというか。たとえば、『In Physical』は打ち込みでずーっと作ってきてて。そこにぐにゃぐにゃした有機的な要素を入れたいなと思ってギターをポンと入れて。だから、ハードロックな要素を入れようとしてるわけじゃなかったんですけど、慣れ親しんでるのがそこ(ハードロック)だから、ああいう感じになるっていうことですよね」

──S.O.A.P.ではボーカリストでもあるKenさんですが、今回はかなり真正面から”歌”について取り組まれてますよね。

「S.O.A.P.の時は歌に対して求めてる要素が叫んでるっていうとこでしたからね。歌う人としては、僕はまだまだひよっこ。チェリーボーイですよ(一同爆笑)」

──どんなチェリーなんですか(笑)。もしかして、6月18日から始まる初のソロ・ツアーではシンガーに徹するKenさんが目撃できたりするんでしょうか？

「ギター持たずに歌いますよ、ほぼ全編。ギターなしの、着ぐるみなしで(笑)」

──それはかなり楽しみですねー。

「この間TV収録で歌ってきたんですけど、ギターで出る時に心臓がバクバクしたことってないんですよ。でも今回はマラソンの後みたいにバッババ、バッババって鼓動がここ(こめかみを指して)からするんですよ。緊張なんてしないっていってたけど、これって緊張だよねって。てな具合なので、ライブでバッババってなるの、ヤだなぁ(一同爆笑)」

──みんな楽しみにしてるんですからー。

「もうね、三歩しか動かないつもりです。オジー・オズボーンのようなイメージで。(音楽的な)激しさは、僕の動きからは何も感じられないかもね(笑)」

──そんなー(笑)

「MCもさ、俺、いいこととか言ったことないじゃん？　ムックのライブとか行くと、逹瑯とかいいこと言ってるんだよね。どうしてるのって聞いたら事前に考えてないらしくて。“お前天才だなぁ”って(笑)。この間ユッキーにも聞いたら、MCはしてないって言われて。参考にならなかったぁ〜(笑)」