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浦和レッズで、そしてU-23日本代表でチャンスメイクを連発する原口元気は、ロンドン五輪だけではなく、しっかりその後のサッカー人生も見据えている。2014年ブラジルW杯に出場し、海外のビッグクラブで活躍する――10年、15年と続く、サッカー人生を実りあるものとするために、浦和レッズでの毎日があり、ロンドン五輪があることを21歳のアタッカーは理解していた。

取材・構成:戸塚啓  撮影:スエイシナオヨシ

僕らが先輩たちを超えてメダルをつかんだら、
日本のサッカーがもっと盛り上がる

昨季は浦和レッズでチーム最多にして自己最多のJ1リーグ戦9ゴールをあげ、得点力を見せつけました。今年はアシストでもチームに貢献しています。どちらが真の姿なのでしょうか?

原口「どうですかね……去年と今年ではレッズが目指すサッカーが違うから、求められる役割も違うので。今年のサッカーも楽しいですよ。でも……」

でも?

原口「逆に自分の選択肢として、パスばっかり出ちゃっている。困ってます(苦笑)。日本代表のザックさん(ザッケローニ監督)は、サイドから仕掛けるウイングとしての僕を評価してくれていると思ってるので、そこは捨てちゃいけないなって。でも……」

またまた、でも?

原口「どんな監督のもとでも、試合に出られる選手になりたい気持ちが強いです。僕自身はウイングの位置から勝負を仕掛けるのがやっぱり好きで、ずっとサイドで輝くのもいいかもしれないですけど、目先のことだけじゃなく10年、15年と続いていくサッカー人生では、たくさんの監督に出会うと思う。若いうちに色々なサッカーを吸収することは、将来的に自分のキャリアに生かされていくんじゃないかなと。まあ、自分で仕掛けることも、周りを生かすことも、どちらもできるようになりたいです」

仕掛けるプレーはやはり魅力的です。タッチライン際で原口選手がボールを受けると、スタジアムの空気が変わりますから。

原口「それは自分でも感じます。左サイドで僕がボールを持ったら、観ている人全員が『原口、行け!』って感じになる。ボールが足元に入る瞬間の空気は、最高に気持ちいいですね。今年のレッズではシステム的になかなかそういうプレーはできないですけれど、オリンピック代表ならできますし」

プレースタイルは海外向きかもしれません。スペイン、イングランド、オランダなどは、サイドアタッカーが積極的に1対1を挑む。

原口「どちらかと言うとプレースタイルは海外向きかな、ウイングがどんどん仕掛けていくサッカーは自分に向いてるだろうなぁ、とは思います。けど、いまはレッズでプレーしていますから。今年のレッズは新しいスタイルを作ろうとしているので、自分もその中で監督に求められていることを理解して、表現してかないといけない」

将来的には海外でプレーしたい?

原口「もちろん行きたいです。もっとうまくなりたいし、もっと強くなりたいから。ずっとレッズにいて成功を収めることができたら、それはとても幸せなサッカー人生かもしれないけれど、色々な国で色々なサッカーに触れたいと思っています。海外へ行ったとしても、最終的にはレッズへ戻ってきたいですけどね」

そのためにも、ロンドン五輪はもちろん、2014年のブラジルW杯の出場も果たしたいですね。

原口「ブラジルW杯へ行くためにも、ロンドンでの経験は非常に大きなものになると思います。日本代表の選手に追いつくためにも重要だし、海外でプレーしたいという夢の実現のためにも重要。ホントに色んな意味が詰まっている大会になるんじゃないかな」

とくに意識している選手はいますか?

原口「ううん……意識と言うか、追いつきたい存在はシンジくん(香川真司)。代表で一緒にプレーしているとホントにうまくて、練習から違いを見せている。すごくお手本になる選手です。こういう選手が海外へ出て、さらに上へ行くんだと感じたし、実際にどんどん上へ登って行っているので、置いていかれないように、自分も追いついていきたい。このまま何も考えずにやっていたら、絶対に追いつけない。そこは意識してやっています」

五輪の登録メンバーは、W杯より5人少ない18人です。サバイバルは熾烈で、原口選手と同じ2列目のポジションはとりわけライバルが多い。

原口「ホントですよね。でも、大丈夫です。自分は必ず行きます。行くだけじゃなく、活躍するイメージもできています」

メダルを取るイメージも?

原口「絶対に取りたいですね。と言うか、取らなかったら、つまらない。シドニー五輪をテレビで観たとき、『日本は強いな、今度は自分が出たい』と思ったんです。同じように、いまの子どもたちにも夢を与えたい。僕らが先輩たちを超えてメダルをつかんだら、日本のサッカーがもっと盛り上がっていくんじゃないかって思うんです」

なでしこジャパン(日本女子代表)が表彰台に上がったけれど、男子はダメだった……なんてことにはしたくないですよね。

原口「なでしこジャパンはホントに強いと思う。素晴らしいサッカーをしてますよね。でも、ちょっと負けてられない。マジで負けてられない。完全に負けてられないです。男女が一緒にメダルを取ったら、日本のサッカーはマジでめっちゃ盛り上がるはずですから」

後記

この21歳と話をしていると、とてもすっきりとした気持ちにさせられる。
ロンドン五輪──出場します。
海外移籍──したいです。
五輪のメンバー18名は、まだ発表されていない。出場できない可能性もある中で、原口はあえて「行く」と断言するのだ。
海外移籍の希望を口にすると、所属クラブへの忠誠心を疑われることがある。リーグ戦で活躍できないと、「海外に移籍したいなんて言ってるからだ」と、サポーターやメディアに突っ込まれてしまうのだ。
どちらもハイリスクなコメントである。それでも彼は、ストレートな意思表示をためらわない。自分自身を追い込むためだろう。退路を断ち、ただひたすらに前進する。内面に宿る密やかな自信を、絶え間ない鍛練が磨き上げているのだ。
大胆とも受け取れる発言は、疾風のごときドリブラーの揺るぎない覚悟なのである。ロンドン五輪はもちろんその先も、この男から目を離すのはもったいない。

原口元気●はらぐちげんき
1991年、埼玉県生まれ。中学進学とともに浦和レッズジュニアユースに所属。その後、飛び級でユースに昇格し、’09年に日本人クラブ最年少でトップチームと契約。同年J1リーグ開幕戦にスタメン出場を果たす。’09年はリーグ戦32試合に出場し、1得点。昨季は同30試合9得点をマーク。U-16から各年代の日本代表として活躍、’11年日本代表デビューを果たすとともに、’12年U-23代表としてロンドン五輪出場を決める。左ウィングを本職としながらも、センターフォワード、トップ下、左サイドハーフまでこなすアタッカーである。

オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/genkiharaguchi/

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