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アテネ五輪、北京五輪と不運に見舞われながらも、諦めない気持ちで、2大会連続の銅メダルを獲得した女子レスリング重量級の第一人者。北京五輪を最後の舞台と決めていた浜口京子は、3度目となるロンドンオリンピックで14歳から始めたレスリング人生の集大成を見せる。

取材・構成:宮﨑俊哉(CREW)  撮影:スエイシナオヨシ

北京五輪が集大成のつもりだった

4月1日、カザフスタンで行われたオリンピック予選で出場権を獲得。3大会連続で日本代表に選ばれました。大会直後はどのような気持ちでしたか?

浜口「正直、ホッとしています。48kg級の坂本日登美選手(自衛隊体育学校)、55kg級の吉田沙保里選手(ALSOK)、63kg級の伊調馨選手(ALSOK)の3人は昨年9月の世界選手権で優勝してオリンピック出場を決めて、72kg級の私だけ残っていたので。それでも、トライアルの代表に選んでいただき、責任を果たせました」

ロンドンオリンピックはこれまでの過去2大会と比べていかがですか?

浜口「8年前のアテネオリンピックは怖いもの知らずでした。前年、ニューヨークで行われた世界選手権で優勝しましたし、オリンピックイヤーに入ってからも、本番と同じ会場で開かれたプレオリンピックで優勝していましたから」

開会式では浜口選手は、日本選手団旗手も務められました。

浜口「選んでいただいて、本当に感謝しています。名誉なことですし、開会式は本当に楽しかったです。始まる前は、『入場行進で、転んだらどうしよう』とメチャメチャ緊張しましたけど」

アテネオリンピックの準決勝、電光掲示板の表示ミスがあり……。

浜口「負けは負けです」

その後の3位決定戦を制して、銅メダル。“感銅”のメダルと言われましたが、試合後、浜口選手はマットに口づけされました。

浜口「あれは深い意味はなく、ただただ『レスリング、ありがとう!』という気持ちだけで」

観客席では、お父さんのアニマル浜口さんが次のオリンピック開催地である“北京コール”をしていました。

浜口「表彰台の上でしっかり聞いていました」

アテネの後はいかがでしたか。

浜口「肉体的に少し休みたいとか、ちょっと気分転換したいなという気持ちはありましたが、すぐに次の目標に向かって走り出しました。もっと強くなりたかったし。アテネでひとつ上のレベルで、レスリングのおもしろさがわかったので」

次のオリンピックまで4年間は長いと思いませんでしたか?

浜口「そうですね。アテネから北京までの4年間は本当に長かったです。2006年の世界選手権決勝では(スタンカ・ズラテバ/ブルガリアのバッティング=頭突きを顔面に受け)鼻の骨を4か所も骨折させられましたし。翌年(の世界選手権)は“世紀の誤審”(2回戦で、因縁のズラテバと対戦。微妙な技の攻防でズラテバにのみポイントが加算されるという事態が発生)で敗れて、4階級で私だけオリンピック出場権が取れなくて」

そんなことがあっても、レスリングをやめようとは思わなかった?

浜口「思ったこともあります。3年続けて世界選手権で優勝できなかったときは……。やっぱり、アテネまでは世界選手権で5回優勝して、女王と呼ばれた時代もありましたから」

でも、やめずに続けられた。

浜口「あのときは『やめたら、楽になるだろうな』とか思いました。アテネでメダルも獲っていたし。安易な方に考えが行きがちで。でも、家族に叱咤激励されて」

また、オリンピックを目指した。

浜口「はい。けど、公表はしませんでしたが、自分の中では『北京オリンピックが最後』と決めていました。北京へ向けて出発する直前、浜口道場のマットに『北京オリンピック、夢の集大成!』と書いたんです」

北京でも準決勝、フォールの体勢に入りかけたところで、腕の関節が極まっているからとレフリーにブレイクされたり、不運に見舞われました。

浜口「あれは仕方ありません」

その試合は敗れましたが、3位決定戦では最高の勝ち方で2大会連続メダル獲得。なのに、“集大成”とはならなかった?

浜口「オリンピックの闘いが終わった瞬間、自分でも『燃え尽きた』と思いました」

ところが、いまこうしてロンドンオリンピックに挑むことになった。

浜口「自分でも不思議ですね……」

浜口京子●はまぐちきょうこ
1978年、東京都生まれ。ジャパンビバレッジ所属。プロレスラーであった父・アニマル浜口の指導のもと、ボディビルのトレーニングを開始し、14歳からレスリングを始める。1996年全日本選手70kg級で優勝すると、翌年の世界選手権75kg級も制覇。以後、全日本選手権史上最多のV15を達成。2004年アテネ五輪、2008年北京五輪はともに銅メダルを獲得。世界選手権は金5回、銀2回、銅3回。

オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/hamaguchi-kyoko/

レスリング女子ワールドカップ2012
5/26(土) 11:00
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