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TOP > 100Qインタビュー > 横山剣(クレイジーケンバンド)
Q26 歌詞のネタ集めなどはするんですか?
曲を作ってるときに“ラララ〜”で歌ってもグルーヴが出ないから、パッと目についたものを歌うことが多いですね。『てんやわんやですよ』のときもそうで、曲を作ってるときにテツニがポタージュスープを飲んでたから、「一口ちょうだい」って言って、そのまま全部飲んじゃったんです。で、「ぃヒトの〜スープを〜〜〜盗みぃ飲む〜」って演歌調で歌ったら、「あ、これいいな」ってそのまま大サビの歌詞にしちゃった(笑)。そういう偶然の賜物ですね、歌詞は」「あとね、あんまり考えないほうがいいんですよ。「タイガー&ドラゴン」もそうだけど、一筆書きで出来たものがポピュラリティを得る場合が多いので。
Q27 リスペクトしている作詞家は?
松本隆さんですね。歌詞だけ見てもわかんなかったりするんだけど、メロディと一体になると言霊になるっていう。細野晴臣さんとやっても、大瀧詠一さんとやっても、矢沢永吉さんとやっても、松田聖子ちゃんとやっても、ぜんぶ素晴らしい。作詞、アレンジも含めて、どういうケミストリーが起こるのかわかってらっしゃるんでしょうね。
Q28 『そんなこと言わないで』では、堺正章さんとデュエット。この人に曲を書いてみたい! と思う日本のシンガーは?
堺さんは常に上位だったんですけど、まだ叶ってないのは北島三郎さん。あとは東方神起とKARA。東方神起はダンサブルな曲が多いけど、ときどき牧歌的なやつがあるんですよ。そっちのほうで、生演奏で歌ってもいいと思うんですよね。チャンミンのファンなんですよ。かつて西城秀樹さんや矢沢永吉さんが持っていた野性味、甘さがあるんですよねー。KARAはイヤミがなくて可愛らしい。職権乱用でサインしてもらったしね。ジヨンに「剣さんへ」って書いてもらって(笑)。あとはね、ベテランの方にNHKの紅白なんかで似合う曲を書いてみたいかな。
Q29 プロデュースしてみたい人は?
あ、それはないですね。面倒くさいので楽曲提供だけがいい。
Q30 剣さんが在籍していた「クールスR.C」時代の思い出をひとつ。
がんばってクリエイティブにやってたんですけど、レコード会社の人に「昔のクールスに戻れ」って言われてね。僕は途中から入ったから、昔のクールスには戻りようがない。ってことは、辞めろってことかなって思ったんですね。「リーダーにどう言えばいいんだろう?」って1日悩んだんですけど、夢のなかで「よし、わかった」って言ってくれたから(笑)、翌日、思い切って「辞めます」って伝えたたんです。そしたらリーダーが「じつは俺も辞めんだよ」って。なんだ、先に言ってよ!って一気にラクになっちゃいました。
Q31 クールス脱退後に結成した「ダックテイルズ」時代の思い出をひとつ。
野口五郎さんをトップとする音楽事務所だったんで、要は歌謡サイドの仕事が多かったんですよね。そこに入ると楽曲提供しやすいんじゃないかと思ったんだけど、ボタンの掛け違いでそうはいかなくて。ただ、芸能人運動会に出たのはおもしろかったですね! 徒競走に出たんですけど、1位がマッチで2位が僕だったんですよ。3位はシブがき隊のふっくん、4位がヒップアップの島崎さん。森尾由美ちゃんとか亡くなった岡田有希子ちゃんとか、アイドルもたくさんいて。僕はすごく浮いてたんだけど、イイ思い出です。
Q32 「ZAZOU」時代の思い出をひとつ
ボタンの掛け違いに始まり、ボタンの掛け違いに終わったグループですね。やんなきゃよかった(笑)
Q33 クレイジーケンバンドの前身「CK'S」時代の思い出をひとつ。
僕はもうバンドはこりごりだったんで「作曲だけやりたい」って言ってたんだけど、ドラムの廣石惠一さんが「遊びでいい。ジムで汗流すのと同じと思って、スタジオ来てよ」って誘われて。僕は「ひまわり」っていう曲が大ヒットした山田晃士さんの後釜だったんですけど、バンドのグルーヴが良かったもんで、「ちょっと歌わせてよ」って言っちゃって。ジェイムス・ブラウン、P-FUNKのカバーだったんですけどね。その後、本牧のライブハウスのブッキング担当者から「いま、バンドやってる?」って聞かれて、つい「やってる」って答えちゃって。結局、'91年から6年間やってました。
Q34 クレイジーケンバンドのメンバーを選ぶときの基準は何かありましたか?
KARAと同じで、イヤミがないこと(笑)。クセのある人はイヤですね〜。CK'Sのときにクセのある人がいて、いろんなこと言われたんですよ。「イイネ! って言わないでください」とか、クレイジーケンバンドの1stに入ってる『踊り子』って曲があるんですけど、「あれは下品だからやめましょう」とか。あと、英語の発音が悪いとかね。性格のキツイ人がいると、ギスギスしちゃいますからね。もちろん、ストイックにやるときはやるんだけど。
Q35 個性あふれるメンバーが揃っていますが、ケンカすることはありますか?
ありますけど、逆に言うと、ケンカが出来る関係っていうか。絶交とかもありましたけどね(笑)。2010年は色々モメることもあったんで、去年のツアーのタイトルを「NAKAYOSHI 2011」にしたんです。そしたら、元通り仲良しになれました。
Q36 クレイジーケンバンドにとっての転機とは?
2001年まで6人のメンバーでやってたんだけど、その編成だと出来ることと出来ないことがあったんですよね。楽曲至上主義に徹しようと思って、1年かけてリニューアルして、メンバーを増やして。そこがターニングポイントですね。
Q37 ライブの前に必ずやることは?
ユーミンさんが教えてくれたんだけど、力が入ってたらダメなんですよ。脱力してたほうがステージで瞬発力も出るし、歌詞も間違えない。だから、なるだけ気合いを入れないようにしてますね。本番前にメンバーでスクラムとか、絶対やんない(笑)。みんな好き勝手やって、本番で本領発揮するっていうね。
Q38 ライブ本番のときに心がけていることは?
持ってるポテンシャルは全部発揮! そうしないと、お客さんも満足しないから。
Q39 音楽活動を続けるうえで、いちばん大事なことは何でしょう?
楽曲ですね! 楽曲様って呼んで崇めてるくらいなんで。僕らにとってのファースト・プライオリティとなる武器は、とにかく楽曲です!
Q40 作曲家・横山剣から見た、ボーカリスト横山剣の魅力とは?
えー、そうですねー、まだまだ発展途上にあると思うけどね(笑)。おまえ、タバコやめて良かったな、っていうのは言ってやりたい。
Q41 現在、脳内サンプラーの調子はどうですか?
イイですね! 2008、9年くらいから、レコーダーを使ってないんだよね。ニューヨークに行ったときにいっぱい曲が浮かんで、それをレコーダーで録ってたんだけど、ぜんぶ飛んじゃって。でも、ホントにイイやつは頭の中に残ってる。だったら、レコーダーなんていらないよって。それより、浮かんだときにパッとスタジオに行く方が手っ取り早い。
Q42 剣さんにとって、イイ音とは?
目盛りが振り切ろうが何しようが、スピーカーから出てる音だけを信じるってことですね。クリアな音よりも、音魂があることが大事。ジャマイカのレコーディング風景を映像で見させてもらったことがあるんだけど、ツマミの動かし方が大胆なんだよね。でも、音はイイし、魂(たま)が宿ってるんだよね。
Q43 クレイジーケンバンドとしてのこれからの野望は?
どんなキラーパスが来るかわかんないし、生き残るだけでも奇跡ですけど、何とか世に憚りたいな。続けていれば何とかなるっていう根拠のない自信がある。
Q44 『ITALIAN GARDEN』に収録されている『MITSUBACHI』は二十歳ころの未完成曲がもとになってるそうですが、当時の横山剣さんに何かアドバイスすると?
早く歌詞を作れ!
Q45 音楽を志す若者にひとことお願いします。
いやー、何でしょうね…。まあ、ファースト・プライオリティをはっきりさせておくってことでしょうね。こだわりに執着するあまり、肝心なことを見落とすってことも多いでしょ。
Q46 ヨコハマの魅力とは?
住んでるアレで言うと、こういう特殊な商売の人を放っておいてくれること。声をかけてくれるときも「イイね!」とか、気楽な感じなんですよね。そういうところはラクですねぇ。
Q47 ヨコハマで、好きな場所は?
自分たちが住んでる本牧はホッとしますね。あとは野毛、中華街。
Q48 横浜、横須賀、本牧が剣さんの音楽性に与えた影響とは?
出発点ですからね。そこから始まったバンドなんで。あとね、気まぐれな人が多いというか、ザックリしてるところがあるんですよ。コールデン・カップスなんて、テレビに出るたびに若干メンバーが違ってたり(笑)。それでも、カッコイイ音出てればいい、っていう態度にもシビれましたね。
Q49 東京で好きな場所は?
青山通り、表参道、明治神宮、麻布。じつは横浜よりもいっぱいあります。
Q50 理想の休日の過ごし方
何でしょうね…。前は昼間の仕事をやって、休みの日にライブとかレコーディングしてたんですよね。レ コーディングしてるとね、いまでも「明日も早いから、そろそろ寝なきゃ」とか思ったり(笑)
