皆様

僕がパソコンとデジカメを持って旅に出たのは、もう5年以上も前のことになります。

当時は確かに、そんな旅行者はどこにも見当たらず、現地の人はおろか、 日本人や欧米人にもデジカメを不思議がられ、WINDOWSを搭載した超小型パソコンに驚かれていたものでした。

もちろん、インターネットカフェというのは、とてもメジャーな街に1軒あるかないかで、そもそも、 インターネットとはなんぞやというところから説明しないと、なにも通じない、そんな世界でした。

あれから5年。

旅のスタイルというのは、劇的に変化しましたね。いまや、「秘境」と呼ばれるところに行ったとしても、 インターネットで簡単に連絡の取れる時代になりました。一人旅に出ても、 どこで何をしているのかわからないということもなくなりました。

大使館気付で手紙を送ってもらい、何ヶ月も前の日本の情報をむさぼるように読んでいたなんてスタイルは、 もう過去の遺物にすらなっているのではないでしょうか。世の中が便利になるとともに、 便利になりすぎて、旅の浪漫が薄れつつあるのかもしれません。

と同時に、こんな新しいスタイルの旅のおかげで、出会いの可能性が飛躍的に増えたのもまた事実です。 「旅で知り合った友人と、旅の間に、ネットを通じて待ち合わせをする」 なんてことは、 以前では考えられなかったことだし、現地の人々との交流もネットを通じてつながっていきます。

それに僕とこのコーナーの出会いのように、日本いる人達との出会いも用意されているのです。 (ちなみに、僕はそんなうちの一人と結婚までしてしまいました…)今の僕にとっては、 旅自体の経験もそうですが、その後の人との関係の広がりのほうが、より価値をもっているといえます。

そういう意味ではやっぱり「モバイルトラベラー」という旅のスタイルは画期的だったのだと思います。

僕がリアルタイム旅行記をはじめたころ、全く珍しかった「通信芸人」も、 いまや普通のことになりつつあります。 だからこそ、このコーナーも使命を終えたということになるのでしょう。 スタッフの皆様、長らくお疲れ様でした。

そして、皆さんが目をつけた「新しい」ことが、一時期のブームではなく、 「普通のこと」になったということは、素晴らしいことだと思います。

いままでどうもありがとうございました。 そして、これからもまた別の「新しい」ことを見つけて、僕らに紹介してください!

最後に、WWMの通信芸人の末端に加えさせていただいたことを、とても誇りに思っています。

石橋のり

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