のりNOW!


Subject:
ペルー
Date:
Mon, 19 Apr 1999 03:47:23 +0900
From:
nori1
To:
wwm@pia.co.jp



 みなさんこんにちは。「のり」です。

 とうとう恐れていたペルーにやってきてしまいました。それも、なんだかあれよ、あれよと言う間に入国して、気がつけば今朝まで名前も知らなかった街ピウレの、安宿の汚いベッドに寝そべっていました。僕はこんな旅が好きです。
 それにしてもペルーは侮れない。お金に関してはインド並みの警戒が必要だということが分かりました。

 さてその日は、午後一杯を使って近辺にある遺跡を見ようという計画でいたのですが、出発しようと思ったら、帽子が無い! いろいろ頭を巡らせるに、昨日食事を取ったホテルの一階にあるレストランに忘れた可能性が高いと気がつきました。

 実はこの帽子には、何故か特別な愛着があったのです。特に誰かにもらったという訳でも、特別な逸話があるという訳でもないのですが、帽子好きで、いままでに数え切れないほど帽子をかぶってきた僕にとって、これほどしっくりくる帽子はありませんでした。そして、この帽子を買った瞬間、僕はこの帽子と一緒に世界を一周するんだと意味も無く思ったのです。

 旅に出てから約二年。これが一つの限界なのだろうということを示すサインがあちこちにあらわれていました。ブラジルのマナウスでジーパンを買い替えて以来、ナイキのウオーキングシューズ、長袖のシャツ、デイパックのかばんも次々と使い物にならなくなってしまいました。そして今朝は大きなバックパックのほうのチャックもどうやらがたが来始めている事を発見。

 すべてが悲鳴をあげている。そしてまるで申し合わせたかのように、皆いっせいに旅を放棄しはじめました。本当はナイキの靴も、デイパックも、ジーパンも長袖のシャツも、みんな日本に連れてかえりたかったんです。常に身につけていたものだけに愛着もあり、時には彼らと一緒に旅をしているような気さえしていたのに。ところが僕は想像以上に彼らを酷使し続けていたようです。

 といっても今までに僕は何度かこの帽子を無くしかけています。けれどもその度にこの帽子は僕のところに戻って来てくれました。思い入れが強いくせに、よくいろいろなところに忘れてきてしまうのです。そしてまた今回も。もうフテ寝を決め込むしかないと横になっていたそのとき、ドアがノックされ、開けてみるとホテルの従業員が僕の帽子を持って立っていました。彼は僕が相当困っている様子だったので、レストランの人に無理を言って早めにレストランを開けてもらったのでしょう。その好意がうれしい。そしてこの帽子はやっぱり僕のところに戻ってきたなあと、それもまたうれしく思いました。

シパンの子供たち
 さてその日はチクラヨという街を経由して結局午後3時くらいに無事、シパンというところに到着。遺跡を見学したのですが、ペルー人の親子がやはり観光に来ており、自然と彼らと一緒に行動しました。ここはインカ帝国の支配が及ぶ前に栄えていた「シモン(?)」 の遺跡なのだそうで、インカが山の民で太陽を信仰していたのに対し、シモン(?)は海の民で、月と水を信仰していたのだとか。乾燥がちのこのあたりでは、太陽は邪魔ものでしかなかったのでしょう。もっとも僕は、この遺跡を見ているときは、すっかりインカ帝国の墓だと勘違いしていたのですが…。

 ここは、スペインの侵入時に荒らされることなく最近完全な状態で見つかったことから有名になったのだそうで、まだ発掘途中の様子でしたが、発掘が終わった墓は、レプリカではあるものの白骨から棺桶から装飾品から、発見された当時の状態が復元されていました。この墓の反対側に、単なる小山のようなものがあったのですが、ペルー人の親子によると、あの山も遺跡の一部なのだとか。確かに良く良く見ると山のところどころにはブロックを積み上げてあるような跡が。古代人の建築技術の素晴らしさの一端を垣間見たような気がしました。

のり


帽子のエピソード、いい話ですね。靴などはやはり消耗品ですから、2年もたせるのは大変だと思います。是非、その帽子と一緒に帰国してください。

のりさんのHPはこちら。
http://netpassport-wc.netpassport.or.jp/~wnori1/cover

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